第七特殊消防隊
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真夏の月夜
日中のうだる暑さが抜け、風を涼しく感じられるそんな夜
詰所の縁側で一人○○は、膝を抱えて座っていた
「○○ひとりかぃ?」
ちょうどそこに風呂をすませ、寝る支度を整えた紺炉が通りかかる
「紅丸にフラれた……」
膝を抱えこんで○○は答える
フラれたと言う言葉に一瞬ドキッとする紺炉
「フラれたと言うと……」
「晩酌に誘ったの紅丸なのに……町で博打込みの飲みに誘われたから、そっちに行っちゃった……」
「そりぁ、気の毒で……」
よく見ると○○の隣には、お盆に徳利とお猪口がふたつ
すでに飲んでいるのか、ひとつのお猪口には透明な液体が入っていた
「俺で良ければつきあいおうか?」
「いいの?」
○○は顔を上げ、きらっとした瞳を向ける
えぇ。と答えるとバンバンと床を叩いて、早く座るように促した
○○は浅草生まれでも、浅草育ちでもない。
その為夜の寝間着に着物は着ない
夏の暑さもあってか今は、短いズボンと薄いシャツである
「はい!」
「どうも」
お猪口を渡され、一升瓶から日本酒が注がれる
一度口に運ぶ
少し辛目の日本酒
「○○は日本酒いけるのかぃ?」
「ここに来てから飲めるようにはなったよ」
お猪口の日本酒をチョビチョビ口に入れる○○
その頬は次第に赤く染める
「浅草は私に色々教えてくれるよ」
「そりぁ」
「人の温かさ、人の繋がりや信頼……色々」
「浅草に来て良かったかい?」
「うん。後悔してない」
○○はそう言うと紺炉の膝に頭を乗せる
下から彼を見上げニコリと笑う
「こーんろ」
「はい?」
「忙しいかったよ、ここ数日」
「頑張ってたな」
その言葉を聞いて○○はぎゅーっと紺焜の服に顔を押し付ける
温かく優しい、安心する匂い
「無理をするなよ」
紺炉の大きな手が○○の頭を撫でる
サラサラと砂の様に滑らかに髪が指の間を抜ける
「またには、人に甘えろよ」
落ち着いた声が、優しいおまじないの様に頭に響く
「紺炉」
「なんだい、○○」
「こんろ」
「……」
「…こん……ろ……」
○○の手にあった徳利が床に落ちる
すやすやと穏やかな寝息が紺炉の耳に届く
日本酒は呑めるようだが、アルコールに強い訳ではないようだ
紺炉はお猪口の酒を呑み干した
そっと○○の頬に手を添える
色白の肌は酒に火照り、気持ちが良い熱を持っている
「こんな無防備他の奴には見せないでくだせぃよ」
そう言って○○に向けられる紺炉の視線は、紅丸やヒカゲ、ヒナタに向けられるものとはまた違う愛情の籠もったものだった