氷帝での出会い編
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今日はカフェテリアに季節限定のスイーツを食べに来た。
クラスの友達と一緒だ。
ここのスイーツ、ホントに美味しい。
とても学校で食べられるものだとは思えないよ。
入学して初めて食べたときは、すっごく感動したなぁ。
もちろん今でも食べる度に感動するけどね。
こんなに美味しいスイーツを女の子同士で集まって食べていると、いつもより会話もはずむ。
で、こういうときは話題はだいたいある方向に向かっていくもので…。
「ねえねえ、前から気になってたんだけど、ななしって彼氏いる?」
「あ、それ私も聞きたかったー!
やっぱりもう鳳くんと付き合ってるの?もしかして…宍戸先輩だったりして!」
「キャー!!」
…たぶん女の子特有のパターンだよね、これ。
すぐこういう話になるんだから。
私はあんまり得意じゃないんだけど…みんな、ものすごく楽しそう。
『もう、そんなわけないよ。
どっちとも…じゃないや、誰とも付き合ってないし、そもそも好きな人もいないし』
なんで鳳くんや宍戸先輩の名前が出てくるんだろう?
それに困るよ。
根も葉もないことだけど、もし万が一にでも噂になったりしたら…。
…確実に一部の人達から目の敵にされる。
鳳くんと宍戸先輩にも迷惑になるし…。
「え~?ホントかな~。あやしいな~」
『本当だって!
鳳くんは席が近いからよく話すけど、特別仲がいいわけじゃないと思うし、宍戸先輩とは会ったことも何回かしかないよ』
「でも鳳くん、ななしと話してるときホント楽しそうだよ。
鳳くんて誰にでも優しいけどさ、女子に対してはちょっと距離おいてるっていうか、他人行儀な感じするときもあるけど、ななしに対してはなんかもっと普通な態度だもん」
「分かる!
宍戸先輩なんて、そもそも女子と話してる時点で珍しいし」
『うーん、そうかなぁ』
「そうなの!
あー、私もカッコいい人と仲良くなりたーい」
「ねー。運命の出会い!みたいなの、ないかな~。
テニス部の人達とかすっごいカッコいいけど、なんかスターすぎて別世界の人だし」
…運命の出会い。
友達の言葉で、私は去年のクリスマスを思い出していた。
そんなドラマチックなものとは無縁な毎日を送ってきた私だけど、そんな私にも1度だけあった、少しだけロマンチックな出来事。
…それは去年のクリスマスの出来事。
去年のクリスマスの日。
私はカフェやショップがたち並ぶ通りを歩いていた。
目的は雑貨屋さん。
学校帰りに時々寄ることもある、気に入ってるお店だ。
さすがに人通りが多い。
クリスマスだから当たり前か。
もともと上品で可愛い感じのお店が多いこの通りは、イルミネーションに彩られて一段とその雰囲気を増していた。
私も今日はいつもとはちょっと違う服を着てきた。
基本的に、服は、着やすい!動きやすい!がモットーの私は、あまりスカートははかないんだけど、今日はワンピースを着ている。
しかもリボンがポイントの、思いっきり女の子らしいやつ。
私にしては珍しいタイプの服をじっと見てたら、一緒に買い物に来ていたお母さんがたまにはこういうのも可愛くていいじゃない、とか言って買ってくれた。
なんだかよく分からないけど気になったんだよね、このワンピース。
クリスマスの街に出掛けるんだからせっかくだしと思って、今日初めて着たんだけど…。
うん、やっぱり可愛いなぁ。
…私に似合ってるかは別として。
好きな服を着てると、それだけでウキウキしてきちゃうな。
今日はいい事ありそう。
目的の雑貨屋さんに入ると、たくさんのカップルが目に入る。
…うわーすごい。クリスマスなんだなぁ。みんな謳歌してるなぁ。
でも、私だって謳歌している。
今日はクリスマスセール!
おこづかいの範囲でやりくりする為に、いつもは買いたいものがあっても大抵我慢するけど、今日は気に入ったものがあったら買おうと決めてきた。
店内を見てまわっていると、さっそく気になるものを見つけた。
サンタクロースのモチーフがついた、ストラップ。
これ、可愛いなー。
もうクリスマス終わっちゃうからこんな安いのかな?
タグには50%OFFとある。
でも部屋に飾る分には別にいいよね。
このサンタさん、なんだか愛嬌があって、気に入っちゃった。
よし!これ買おうっと。
えーっと、何か他にないかなー…。
…あ、このタオル、さわり心地よさそう。
そこにはきれいな色のタオルがたくさん並んでいた。
何気なく手を伸ばして触れてみると、モコモコフワフワで気持ちいい。
真っ白なタオルはまるで降ったばかりの雪みたいだ。
その白いタオルを手に取って、ちょこんとさっきのサンタを乗せてみる。
………なんかすごくいい感じ。
そのあと、レジのお姉さんにプレゼント用に包装してもらった。
…自分用だけど。
忙しそうなお姉さんに少し悪いような気もしたけど、クリスマス限定のラッピング、すごく可愛いんだもん。してもらわなきゃ損だよ。
…さ、そろそろ帰ろうかな。
家族みんなで選んで予約したクリスマスケーキもあるし、お母さんが作ってくれる特製クリームシチューもあるし、お父さんが帰りにチキン買ってきてくれるし…。
あー、楽しみ!
いい買い物もできたし…私って幸せ者だなぁ。
…なんて浮かれてたから、少し注意が欠けていたのかもしれない。
こんな人混みの中を歩いていたのに。
――――――――あっ!
誰かと肩がぶつかった拍子に、バランスをくずして転んでしまった。
…い、痛い…。
膝と、とっさに出た手のひらが痛い。擦りむいたみたいだ。
私とぶつかったらしい男の人は急いでいたようで、すみません!と言うと、そのまま小走りでどこかへ行ってしまった。
大きな怪我をしたわけじゃなさそうだし、いいけど…。
なかなか立ち上がらずにいる私をチラチラ見ているような周りからの視線を感じるけど、それでも私は動けずにいた。
突然、悲しい気持ちが襲ってくる。
ついさっきまで楽しい気持ちでいっぱいだったからか、冷たい地面も、痛む手足も、周りからの視線も、落としてしまった雑貨屋さんの袋も……なんだか悲しい。
…早く立たないと。
こんなところでこんなことしてたら、人の邪魔になっちゃう。
分かっているのに涙がにじんできて…。
………ダメだ、泣きそう。
…嫌だな、こんなところで…。
「大丈夫かい?」
突然、視界に手が差し出された。
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