合同合宿編
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………………………。
………………。
………ん…。
ここは…。
…………………。
あ…、そっか。
私、きのう………。
目が覚めて、いつもと違う天井をボーッと眺めていた私は、しばらくしてやっと今の自分の状況を思い出した。
きのうから、合宿に来てたんだった…。
いろんな人達と出会って…、お手伝いして…。
それから……。
……千石さん……。
千石さんとまた会えて…。
千石さんと…いっぱい、いっぱい話して……。
すごーく、楽しかった……。
んー…、今、何時だろ?
まだ半分夢見心地で目覚まし時計に目をやると、起きる予定の時間より一時間以上早い。
…えっ?まだこんな時間?
いつもだったら誰かに起こされるか目覚ましが鳴るかしないと、目が覚めないのに…。
うーん…どうしよう。
もう一回寝るか、起きちゃうか…。
……起きようかな。
天気も良さそうだし、散歩でもしよう。
敷地内なら大丈夫だよね。
そう決めて身体を起こすと、大きなあくびが出た。
…あー、眠い……。
普段の私ならたぶん二度寝を選ぶだろうけど…。
いつもと違う場所に来てると思うと、ただ寝てるのもなんだかもったいない気がするんだよね。
同じ部屋で眠っている小坂田さんと竜崎さんを起こさないように、私は静かに身支度をして部屋を出た。
廊下に出ても、辺りはシンと静まり返っていた。
…まぁ、当たり前か。
みんなまだ寝てるんだろうなー。
きのうは初日だったから、移動と練習とで疲れてるはずだし。
でもたくさん人がいるのに私だけ起きてるって、なんだかワクワクしちゃう。
こんなに朝早く起きることなんて滅多にないもんね。
きっと外に出たらもっと気持ちいいだろうなー。
玄関から外に出ると、早朝の風がそっと流れていった。
大きく息を吸って吐くと、眠気も消えて、心地よさで身体が満たされる。
見慣れない景色が、余計にそう感じさせるのかもしれない。
やっぱり起きることにしてよかったと思いながら、私は建物のまわりを歩き始めた。
しばらくして、見覚えのある景色に足が止まった。
それはきのうの夜、千石さんと二人で見た景色だった。
今は明るいし、きのうはもっと高いところにいたから、見え方は違ってるけど…。
きのうは途中から椅子を隣に並べて、窓から見えるきれいな夜景を眺めながら話をして過ごした。
その間も、千石さんはずっと優しかった。
――“寒くない?”
――“疲れてない?”
――“眠くなったら遠慮なく言ってね”
いたわるように私を見つめる目はすごく穏やかで、暖かくて…。
私が大丈夫ですと答えるたびに、安心したようにニコッとほほえんでくれた。
まるで千石さんの優しさに包まれているような気がして、ちゃんと話すのは初めてだったのに、不思議なくらいに気持ちが落ちついていた。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎて、千石さんは私を部屋まで送ってくれた。
千石さんも疲れてるだろうし、同じ建物の中だから大丈夫って言ったんだけど…。
――“ここでお別れだと、オレがさみしいんだ。
だからオレのわがままなんだけど、もし名無しさんがイヤじゃなかったら、もう少しだけ一緒にいさせてほしいな”
………………。
あんなこと言われたら、誰だってドキドキしちゃうよ。
…思い出したら、またドキドキしてきた。
なんか…千石さんといると、いつもこんな感じになっちゃうなぁ、私。
初めて会ったときも、きのうも。
うーん…。
千石さんって、すごいなぁ。
私は普段、男子とそんなに話さないし関わらない。
男の子に何か言われたりされたりしてドキドキするなんてことも、相手が男の子だからっていう意味でのドキドキはたぶん無い…かもしれない。
でも千石さんといるときのドキドキは、きっと千石さんが男の子だからだと思う。
私が今まで体験したことがないことを、千石さんはさらっとしたり言ったりするから。
だからいつも、ドキドキするんだと思う。
千石さんって、きっと…。
女の子と接することに抵抗がないっていうか、慣れてるんだろうなぁと思う。
小坂田さんにも竜崎さんにも私にも、同じようによく話しかけてくれて、気にかけてくれる。
会ったばかりの私にもあんなふうに優しく接してくれて、なんていうか…女の子扱いしてくれてるなって感じるから。
千石さんみたいな人と今まで出会ったことがなかったから、びっくりさせられることばっかりだけど…。
これからもっと、千石さんのこと知っていけたらいいな。
一緒にいると、不思議と気持ちが落ちついて前向きになる。
本当に、不思議…。
合宿が終わってもまた会えるし…よかった。
きのう千石さんが遊ぼうって誘ってくれたときは、すごく嬉しかった。
デートだなんて言うから、びっくりしたしちょっと恥ずかしかったけど。
でもやっぱり一番嬉しかったのは…。
千石さんもあのクリスマスの日のことを、大切な思い出だと思ってくれてたこと。
本当に……すごく、嬉しかった…。
なんだかいろいろ嬉しいことがありすぎて、嘘みたい。
夢を見てるみたいだなぁ…。
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