合同合宿編
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*千石side
約束の時間、20分前。
待ち合わせの場所。
彼女を一人待つオレ。
…うーん。
誰かに見られたら、“うわ、あいつ張りきりすぎだろ”とか思われちゃうかな~。
でも…。
まぁ、いっか!
ホントに張りきってるし。
だってもうすぐ彼女がここに来る。
やっと会える。
…本当に、会えるんだ。
あの日からずっと、もう一度会いたいと思ってた女の子に……名無しさんに。
…………………。
あのときはお互いに名乗らなかったし、そもそも会うことももう無いんだろうと思ってた。
だけど今は名前も知ってるし、待ち合わせまでしてる。
なんか…、夢をみてるんじゃないかと思ってしまう。
本当に…夢みたいだ。
あの日、ふたつのクリスマスプレゼントをくれたキミと、もう一度…出会えたなんて。
――――――――――
今日はクリスマス。
夕方から、部のみんなとパーティーの約束がある。
ホントは女の子と一緒に過ごせたら最高だったんだけど、仲間と過ごすのもそれはそれで楽しみだ。
…さて、もうそろそろ家を出発したほうがいいかな。
部屋の時計に目をやると、予定していた時間が迫ってきていた。
「あーーーーーーーーーーっ!!
オ、オレとしたことが…忘れてた!」
テーブルに置いてあった雑誌を、あわてて手にとる。
今日のラッキーカラーとラッキーアイテムをチェックするの、忘れてた!
毎日の習慣なのに~!
―――パラパラパラ
えーっと、なになに…?
…おおっ!
ラッキーカラーは今着てる服と同じ色だ!
さっそくラッキ~!
それじゃ、ラッキーアイテムは…?
――“今日のあなたのラッキーアイテムは、サンタクロースグッズです。
サンタさんから素敵なプレゼントがもらえるかも?”
ふむふむ、なるほどー、サンタクロースグッズかぁ。
クリスマスって感じがして、いいなー。
………ん?待てよ?
オレ、サンタクロースグッズなんて持ってたっけ?
部屋の思い当たるところを探してみるけど、見つからない。
こ、困った…どうしよう?
…あ、そうか!
どうせ今から出掛けるんだし、途中で買えばいいんだ!
よかった~。
さぁ、そうと決まれば出発だ!
みんなのところに向かう途中でオレは少し遠回りして、お店がたくさんあって人通りも多い、にぎやかな大通りへとやって来た。
ここならきっとあるはずだ。
…………………。
うーん…。
可愛いなぁ…。
街を歩く女の子達は、どの子もみんな可愛い。
いつだって女の子は可愛いけど、今日はいつにもまして可愛いなぁ。
おしゃれしてて楽しそうで、クリスマスらしく彩られた街の中でみんなキラキラしてる。
やっぱり、女の子はいいな~。
キレイな街と可愛い女の子達に心が踊るのを感じながら通りを歩いていたオレは、ある店の前で足をとめた。
ここは確か…。
クラスの女の子達と話してたときのことを、ふと思い出した。
最近人気が出てきてるお店だって言ってたな。
特に目的の店があったわけじゃなかったオレは、そのまま店内へと入った。
一歩足を踏み入れた瞬間、目に入ってきたのは、カップル、カップル、カップル……。
う……。
なんか、切なくなってきた。
が、がんばれ、オレ!
負けるな、オレ!
へこたれずに、ここに来た目的を達成するんだ!
サ、サンタさん、どこにいますか~。
さみしさを感じていたのもつかの間、クリスマスらしい商品が並ぶ店内を見てまわるうちに、いつのまにかオレはサンタグッズ探しに夢中になっていた。
予想どおりたくさんあって、楽しいけど迷う。
そんなとき、あるサンタに目がとまった。
ストラップのサンタさん。
なんとなく気になったオレは、吸い寄せられるようにそれをひとつ手にとって、目の前に掲げてみた。
ぽてっとしていて、愛嬌たっぷりの笑顔をこっちに向けているサンタさん。
うーん…。
なんか、いいことをオレに運んできてくれそうな気がする。
…よし、決めた!
そう思ったとき、50%オフのタグに気がついた。
オレって、つくづくラッキ~!
会計を済ませて店から出たオレは、サンタさんをカバンにしまって歩き出した。
それにしても、レジのお姉さん、忙しそうだったなぁ。
可愛かったなぁ……………。
…とか考えてる場合じゃなかった。
早く行かないとマズイ!
このまま行けば、約束の時間になんとか間に合いそうだ。
よかったよかった。
それにしても、冬はあっという間に日が暮れて暗くなっちゃうなぁ。
さっきあの店に入ったときにはまだ明るかったのに。
でもそのぶん、冬ならではのこんなきれいな街並みを早い時間から楽しめるんだから、これも冬のいいところかな。
たくさんの人でにぎわうこの通りも、ずっと先までイルミネーションで飾りつけられていて、本当にきれいだ。
そんなふうに思いながら街を眺めていたとき、人混みの中、オレと同年代くらいのひとりの女の子の姿が目に入った。
大きなリボンがついたワンピースを来たその子は、通りのオレがいるのとは反対側をこっちに向かって歩いていた。
その子はすごく幸せそうで…。
見ているオレまで幸せな気分を少し分けてもらえたような、そんな気がした。
あの子、これから何か楽しいことがあるのかな~。
家族とパーティーかな?
それとも彼氏?
あ、オレみたいに友達とかもしれない。
そんなことを考えているうちに、いつのまにかオレはその子を目で追っていた。
そうしているうちにその子とオレの距離はどんどん狭まって…。
…そして、すれ違った。
オレは視線を戻して、そのまま二歩三歩と歩いていたけど…。
気になって、振り返った。
振り返ったって、遠くなっていく後ろ姿が見えるだけなのに。
そんなことは分かっていたけど…、どうしても気になった。
振り返ったオレの目に、思っていたとおり彼女の後ろ姿がうつった。
そしてもう一度前に視線を戻そうとしたとき…。
彼女に男がぶつかって、体勢をくずした彼女が転ぶのが見えた。
ぶつかった男は何か言いながら小さく頭を下げて、その場を離れていく。
彼女は膝と手を地面についてうつむいたまま、動かない。
次の瞬間、オレは彼女に向かって走り出していた。
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