合同合宿編
主人公(あなた)の姓名を入力してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんだかおかしくて三人で笑っていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「よお、お前ら仲がいいな。
遊びに行く約束か?」
振り向いて見上げると、六角の黒羽さんとダビ…じゃなかった、天根くんがいた。
…ふぅ、ダメだ、気をつけないと。
天根くんを見ると、あだ名のほうが先に浮かんじゃう。
最初に覚えたのがあだ名のほうだったってこともあるけど、六角の人達のなかでもダ…天根くんだけは本名とあだ名に全然つながりがないんだもん。
なのに妙にしっくりくるし…。
でも、なんでダビデ?
気になるなぁ。今度聞いてみようかな。
「そうだけどよ、なんで分かったんだ?」
「俺達のところまで聞こえてきたからな、お前の声が」
そう言うと、黒羽さんは私を見て、いたずらっぽくニッと笑った。
「“遊びに行きたいです!”って」
『え!ほ、本当ですか?』
いやー!
ははは恥ずかしい!
「ははっ、いいじゃねぇか。
なんか、可愛かったぜ。率直でよ」
『ぜ、全然可愛くないですよ。恥ずかしいです…』
「まぁこれだけ騒がしいから、俺達より向こうにいるやつらには聞こえてねぇさ。気にすんな」
「いや、バネさんに言われたから気にしたんだと思いますけど」
「げっ、そうか?ワリィ」
天根くんに指摘されて、ものすごくスッパリと謝る黒羽さん。
うーん、爽やかだなぁ。
まさにスポーツマンって感じの人だ。
そのとき黒羽さんが、いいこと思いついだぜ、と言って私を見た。
???
「名無し、このあと時間あるか?
もし暇なら俺達とも遊ぼうぜ」
『えっ』
「剣太郎がお前のこと、いい人だ、素敵な人だってすげぇ言っててな。
みんなもお前と話してみたいなって言ってたんだよ。
あ、もちろん俺もだぜ」
あ…、それは嬉しい。
すごく嬉しいけど、このあとは…。
『えっと、あの…すみません。
そんなふうに言ってもらえてすごく嬉しいんですけど、あの…えぇっと…』
うっ…。
な、なんて言おう。
このあとは千石さんとの約束が…。
でもなんだか、はっきりそう言うのは恥ずかしい。
千石さんと再会したときのこと、黒羽さんと天根くんにも全部見られてたわけで…というかこの合宿の参加者全員に見られてたわけで……。
べ、べつに、口ごもるようなことじゃないんだけどさ。
でも宍戸先輩と鳳くんにも言ってないし、なんか…なんとなく、言いにくい。
あぁ…、どうしよう。
「バネさん、バネさん」
天根くんの声がして見上げると、天根くんが黒羽さんの肩をポンポンと叩いていた。
「ん?なんだよ、ダビデ」
「名無しは、今日はもう俺達と遊んでる時間はない。忙しい」
え?
ダビ…天根くん?
ポカンとしているみんなをよそに、天根くんは真顔のまま続けて言った。
「今日のナイトにはナイトと会うから。
だから、空気読まナイト……………………プッ」
ザワザワしている食堂の中で、私達の周りだけが静まり返った。
天根くんのギャグが寒いっていうわけじゃなくて……ううん、もしかしたらそれもあるかもしれないけど…、たぶんそれ以前に、みんな意味が分かってないんだと思う。
でもそんなみんなの中で、私はいち早く意味が分かって、だんだん顔が熱くなる。
天根くん、なななんで知ってるんだろう…?!
千石さんが誘ってくれたときにあの場にいた人しか知らないと思ってたのに…。
「……あ!そういうことか!」
何かを思いついたらしく、ポンッと手を叩く黒羽さん。
「千石とデートか!」
!!!
デっ……?!
『ちっ、違います!
デ、デートじゃないですよ、黒羽さん!』
「え?違うのか?」
『違います!』
もう…。
黒羽さんって、こういう感じの人なんだ。
本当にサッパリしてるなぁ。
それから、宍戸先輩と鳳くんにも千石さんとの約束について聞かれた。
やっぱり二人も知らなかったんだ。
でもそれじゃあどうして天根くん知ってたんだろう。
誰かから聞いたのかな?
「でも天根、どうしてこのこと知ってたんだ?」
『あ、それ私も不思議に思ってた』
私と同じ疑問を鳳くんも持ったみたい。
「べつに、知ってたわけじゃない」
『え?でも』
「ただの、予想」
「予想?」
「あぁ」
???
…予想?
「再会したときの二人の様子からして、二人とも時間をとってちゃんと話をしたいんじゃないかと思った。
でもあれから今までそれほど長い時間をとれるようなところは無かったはずだから、それなら夜の自由時間、だろ」
「なるほど…」
『なるほど…』
鳳くんと二人で、思わず2、3回うなずく。
天根くんは相変わらず真顔のままだ。
ここに来てから表情が変わったのはギャグを言い終わった時だけ。
「それと、名無しの顔で分かった」
『えっ、私の顔?』
「うん」
『え、えっ?
わ、私、どんな顔してた?』
「………………プッ」
それまで真顔だった天根くんが、急に吹き出した。
…な、何?
『ちょ、なんで笑うの?』
「思い出し笑い」
『えーっ!?
何を思い出したの?』
「…ナイショ」
『えぇーーっ!?
ず、ずるいよ!気になる!』
「知りたい?」
『知りたい知りたい!』
「む……」
天根くん、黙りこんじゃった。
き、気になるよー。
.