合同合宿編
主人公(あなた)の姓名を入力してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日の練習が終わった。
私達お手伝いメンバーは、このあと夕食の準備にとりかかる予定だけど、まだ少し時間がある。
他のみんなはごはんまで自由時間。
さてどうしようかな、と思いつつ何となく自分の部屋に向かって歩いていると、遠くから名前を呼ばれた。
「名無しさーーん!」
『ん?』
声がするほうを見てみると、葵くんがこっちに大きく手をふっていた。
あれは…。
葵くんと…、壇くんと、越前くんだ。
学校はバラバラだけど、みんな一年生。
たくさん置かれた四人掛けのソファーのひとつに座って、何か話してたみたいだ。
仲いいのかな?
みんなこの合宿の前から顔見知りだったみたいだし。
私は三人のところに小走りで向かった。
『みんな何してるの?
三人とも、仲いいんだね』
「そうなんです!
今、同じ一年生同士、親交を深めてたところだったんですよ」
『へぇ、そうなんだ』
他校だからライバルだけど、仲間でもあるんだ。
こういう関係って、部活!って感じでいいなぁ。
「名無しさん、今時間あるですか?
もし良かったら、名無しさんも一緒にお話しませんか?」
『うん、ありがとう』
「よかったです!
さ、座ってくださいです」
壇くんが座るようにうながしてくれた。
お礼を言って、空いていた壇くんの隣に座る。
「名無しさん、さっきはありがとうございました!」
突然、葵くんが私にビシッと頭を下げた。
『え?さっき?』
…?
私…お礼言われるようなこと、何かしたっけ?
「向日さんから聞きました。
名無しさんが僕のこと気にしてくれてたって」
……。
えーっ!?
向日先輩、葵くんに言っちゃったの!?
「僕、すごく嬉しかったです!
ありがとうございます!」
私を見る葵くんは、目をキラキラさせてる。
…こういうのって、本人に伝わると一気に恥ずかしい。
葵くんには言わないでくださいって、言っておけばよかった…。
『そ、そんな、お礼言われるようなことじゃないよ。
むしろ余計なお世話っていうか…。
私が心配しなくても、葵くんはちゃんとやってるって、向日先輩も言ってたし』
「いえ、余計なお世話なんかじゃありません!
僕が困ってたら向日さんが助けに来てくれて、そのときに聞きました。
僕、本当に嬉しくて」
『そ、そっか』
こんなふうに言ってもらえると…。
私も少しは役にたてたのかな?
それに…。
向日先輩、葵くんのことちゃんと気にかけてくれたんだ。
先輩だって自分の練習があるわけだから、なかなか難しいかなと思ってたのに…。
「こういう合宿はすごい人達からいろんなことをたくさん勉強できる、大きなチャンスなんです。
僕は選手としても部長としてもまだまだ未熟ですから」
言いながら、葵くんはぐっと自分の手を握りしめた。
「でもいくら未熟でも、部長は部長です。
六角中の部長としてしっかりしないといけないんです。
それなのに頑張ってもうまくいかないときは、やっぱりちょっと落ち込んでしまって…」
…葵くん、本当に一生懸命な子だな。
まだ一年生なのに、ここまでしっかり考えてるなんて。
責任感が強くて頑張りやさんなんだね…。
「だから向日さんが助けてくれたときも、名無しさんが心配してくれてるって聞いたときも、すごく心強くて…もっと頑張ろうと思いました」
そこまで言うと、葵くんはうつむいてしまった。
『葵くん…ありがとう。
そんなふうに言ってくれると、なんだか私も嬉しいよ。
これからも、私に何かできることがあったら言ってね』
「…はい、ありがとうございます。
…………………………………………ぐすっ」
…え?
……ぐすっ???
『あ、葵くん?』
「すみません……なんか、嬉しくて……うぅっ。
名無しさん、本当に優しいですね……………ぐすっぐすっ」
………………………。
えーーーーーっ!?
ちょ、ちょっと待って!
なにも泣かなくても!
『そそそんな、大げさだよ。
私、ぜっ、全然優しくなんてないし、人の心配する前に自分の心配しろって感じなんだよ、ホントに。
今日だって手塚さんに迷惑かけちゃったし、わ、私のほうこそもっと頑張らないといけなくてっ』
泣き出した葵くんにものすごく動揺した私は、助けを求めて隣にいる壇くんをバッと見た。
『ね、ねぇ、大げさだよね、壇く――』
「…えぐっ、えぐっ」
……って。
えーーーーーーーーっ!!
壇くんまで泣いてる!
な、なぜ?
一体なぜに?
「えぐっ……。
僕…僕……、感動したです…。
葵くんの気持ち、分かるです…………グスン」
『だ、壇くん。
ね、泣かないで…」
ああ……。
二人とも、泣いちゃった…。
どどどうしよう…。
というか、なんだろう…この状況。
なんか…。
ものすっごく悪いことしてる気分…。
.