合同合宿編
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日吉くんとミーティングルームへと戻る途中、廊下の先にバッグとかの荷物がたくさん置いてあるのが見えてきた。
あれは…もしかして山吹のかな?
あそこは山吹の部屋に続く廊下とミーティングルームへの分岐点だから、置いていったのかも。
樺地くん、迎えに行ってくれたんだ。
後でお礼言わなきゃ。
『山吹の人達、もう着いたんだね』
「………」
『日吉くん?』
「……………………」
答えがないのを不思議に思っていると、日吉くんはゆっくりと足をとめて視線を落とした。
…日吉くん、なんだか変だな。
ま、まさか…私と一緒にいるのがイヤなだけだったりして…。
まぁ実際嫌だろうけど…それでも日吉くんはさっきからずっと親切にしてくれてるし…。
あ、もしかして!
『山吹にライバルがいるとか?』
「は?」
思いっきり眉間にシワをよせる日吉くん。
あ、違ったみたい…。
『山吹の人達の荷物じっと見てたから、もしかしたらと思ったんだ。
変なこと言って、ごめんね』
「ライバル…………?
……べつに…あの人は……」
ポツリとつぶやくと、日吉くんは眉間のシワもそのままに、また歩き出した。
…やっぱりちょっと変だなぁ。
日吉くんの様子が気になりつつも、山吹が到着したなら早くこれを持っていかなきゃと、二人で少し足を速めた。
さっきは遠くに見えていた山吹の人達の荷物がすぐそばに近づいてきて、何気なくそっちに目を向けたとき、
―――っ!!
その中のひとつに、私の目は釘づけになった。
心臓がドキッと大きく鳴る。
そのバッグには、見覚えのあるものが付けられていた。
…サンタさんの、ストラップ。
………………………。
これって……。
「名無し?」
『…えっ』
「どうしたんだよ」
私を振り返った日吉くんは、怪訝な顔だ。
私…、無意識のうちに、立ち止まってしまってたみたい。
『ご、ごめん。なんでもない』
それからまた歩き出したんだけど、さっき見たあのストラップが頭からなかなか離れない。
あの日…あのクリスマスの日、あの男の子に渡したサンタさんのストラップ。
さっき見たのは、それと同じものだった。
すごく気に入って選んだものだから、間違いない。
………。
も、もしかして…。
まさか………まさか…。
…………………………。
…なんて、まさかね。
そんなこと…あるわけないか。
私が買ったのは確かにあのストラップだけど、同じものはお店にもまだいくつかあった。
クリスマスの時期だったから、私がお店に行く前からずっと置いてあっただろうし。
他の人が持ってたとしても、全然不思議じゃない。
……はぁ。
私、何考えてるんだろ。
あー、バカみたい。
そんなふうに思いながらも、頭の中があの日のことで、あの男の子のことでいっぱいになっていく。
日吉くんの少し後ろで私はなんとか足を進めていたけど、気持ちはどんどん落ち着かなくなっていった。
そしてそうしているうちに、私たちはミーティングルームへと戻ってきた。
………どうしよう。
入るの、緊張する……。
…だって、中にはもう山吹の人達もいるんだもんね。
ありえないって分かってるけど…。
でもやっぱり、ドキドキする。
ドアを開けてさっさと先に入っていく日吉くんに続いて、おそるおそる私も入る。
このザワザワ具合からすると、もうみんな集まってるみたい。
……あの男の子がいるかどうかなんて、思いきって部屋の中を見回してしまえばすぐにはっきりすることなんだけど…。
………で、できない。
………。
私、なんでこんなにドキドキしてるんだろう。
一度偶然会っただけの、もう二度と会うこともないはずだった大切な思い出の中の男の子に、もしかしたらまた会えるかもしれないから?
…そんな偶然が何度も重なることなんて、そうそうあるはずないのに。
そもそも、もし本当にあの男の子がいたとして、私の事を覚えてるかどうか分からない。
もう何ヵ月も前のことだし…。
……ああ、もう!
なんでそんなにドキドキするの、私の心臓!
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