氷帝での出会い編
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芥川先輩が来たときの衝撃がやっと少し落ち着いて、女の子たちが遠巻きに私達を…というより私以外を見ている、そんな状況になってきた頃。
また突然廊下が騒がしくなった。
ん…?なんだろう。
今度こそ、何かあったのかな。
「…ジロー。
また何かしたんじゃねぇだろうな」
「A~?
俺ここにずっといたC~」
「またかよ。
落ち着きのないやつらだな」
「?どうしたんだろうね」
その騒ぎがどんどん近づいてきて、私達の教室の外まで来たと思ったとき…。
「おっ、いたいた!
おーい、ななしー!」
………えっ。
今、また名前呼ばれたような…。
「ちょ、何なんだよ、こいつら。
なんでこんなに人いるんだ?」
人混みの隙間からチラチラ見え隠れする、独特の髪の色。
ぴょんぴょんとジャンプしているその人は……。
………向日先輩!!?
な、なんでここに…。
一気にざわつく教室内、再び。
向日先輩はその騒ぎに眉をしかめながら私達のところまで来た。
「何かあったのか?
人すげーたくさんいるけど」
『え?あ、あのー、それは…』
「まぁ、いっか。
それよりななし」
向日先輩は私を見てニカッと笑った。
「やっとおまえのとこに来られたぜ」
向日先輩が少し照れくさそうにそう言った瞬間、女の子の黄色い声で教室が埋めつくされた。
(可愛い~!!)
(やっとおまえのとこに来られた、だって!)
(キャー、言われたーい!)
す、すごい……。
アイドルが来たみたいになってる…。
……って、デジャヴ?
「向日!?
おまえ何しに来たんだよ?」
「今言ったじゃねーか。
ななしのところに遊びにきたんだよ。
…って、うおっ?
宍戸いつからいたんだ?
全然気がつかなかったぜ」
「…………………」
「あれ?
鳳はともかく、日吉も…ジローまでいるじゃねーか!」
向日先輩は芥川先輩がいるのを見てすごくびっくりしたみたいだったけど、次の瞬間、あ!とつぶやいてポンッと手を打った。
「ジロー、おまえだろ、この人混みの原因!
さては何かうるさくするようなことしたな?」
「………向日さんがそれ言いますか」
呆れたようにため息をついて日吉くんがそう言った瞬間、また廊下がザワザワし始めた。
……………な、何?
今度はなに?
い、嫌な予感が…。
「……ま、まただぜ…」
「……………」
「もしかして…」
「二年生って、いつもこんなに賑やかなの?
お祭りみたいだC~」
「だから、これはジローのせいだろ?」
お弁当を食べるのも忘れて、みんなで教室の入り口を見ていると…。
「…あ、おった。
はぁ…、やっぱりななしちゃんのところに来とったんやな。
って、ジローもおるやん」
一気にざわつく教室内、三度。
「げっ、侑士!」
うわっ、忍足先輩!
「ちょっと堪忍な。
ここ、通してや」
忍足先輩は盛り上がる女の子たちにほんの少しだけ困ったような顔をして私達のところまで来ると、大きくため息をついた。
「ななしちゃん、迷惑かけてしもてほんまにごめんな。
今すぐ連れて帰るから。
ほら行くで、岳人」
「えー!」
「えー!やない。ほら、ジローもや」
「A~!」
「A~!やない。
二人とも、はよ行くで」
忍足先輩は二人をうながすけど、向日先輩と芥川先輩は納得がいかない様子で唇を尖らせた。
「俺、今来たばっかりだぜ?
せっかくななしと遊ぼうと思ってたのに」
「俺だってもっとななしちゃんと遊びたいC~」
「……この人だかり、見えてへんわけやないやろ?岳人、ジロー」
……忍足先輩が…笑顔だ…。
こ、怖い……。
「そ、それはジローが何かしたからだろ?」
「お、俺は何もしてないC~。
二年生が元気なんだC~」
忍足先輩の笑顔の裏にある何かを感じ取ったらしい向日先輩と芥川先輩は、微かに声を震わせながら答えた。
「宍戸」
「お、おう。なんだ?」
笑顔のままの忍足先輩に急に話をふられて、ビクッとする宍戸先輩。
「こんな状況になったんはいつからやった?」
「……ジローと向日が来てからだな」
「さぁ、行こか。岳人、ジロー」
「ハイ」
「ハイ」
忍足先輩、すごい…。
向日先輩と芥川先輩が素直に返事を…。
シュンとしてる二人を見ると、なんだかちょっとかわいそうな気もするけど…。
観念したように二人が忍足先輩とその場を離れようとした、そのとき。
廊下がまた騒がしくなった。
今度は今までよりさらにすごい。
ま、まさか…。
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