少女と蒼の聖騎士
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『もう朝だ…』
世界に朝を告げる光が窓から差し込み、1日の始まりを合図する小鳥のさえずりが聞こえてくる。結局、ベッドが広すぎて落ち着かず一睡もできずに朝を迎えてしまった。昨日のお昼頃にオメガモンから部屋を案内されてやったことといえば、部屋の換気と掃除のみ。あまりにも今まで過ごしてきた環境と違いすぎて食欲はおろか睡魔はどこかへ消え去り、ベッドに身を預けても意識が沈むこともなく気が付けば外は明るくなっていた。
ボーとしながら外を眺めていると、大きな音を立てて部屋の扉が開かれた。いきなりのことに吃驚して後方の扉を振り返る。
「シオリおはよー!」
『わっ。……おはようございます』
勢いよく部屋に入って来たのは蒼い鎧を纏い、大きな翼が生えている竜人だった。姿は格好良いけれど口調は少年のようで、ズンズンとこちらに歩いてきたかと思えば唐突に私を持ち上げた。所謂親が子供にしてあげる高い高いをされてしまったのである。急に目線が高くなって心臓がきゅっとなるがそういえば昨日はオメガモンに抱えてもらって空を飛んでいたことを思い出した。この蒼い竜人はオメガモンの仲間であるロイヤルナイツなのかもしれないと私は彼に問う。
『あの、どなたでしょうか』
「俺ー?俺はね、アルフォースブイドラモン!」
『あるふぉーすぶいどらもん』
オメガモンに比べると長い名前である。覚えられるか不安だから今度からアルと呼んでも良いだろうか。笑顔のよく似合うその顔を見ていれば彼は言葉を続けた。
「今日は非番なんだー!本当は昨日のうちに訪ねようと思ったんだけど、夜も遅いからやめろってマグナに怒られちゃった!」
私を高く抱き上げてくるくると回りながら彼は元気よく答える。その中にはマグナという知らない人物が出てきた。誰なのだろうと思っていると、アルは動きを止めてこれまた可愛らしい笑顔で言う。
「あ、マグナっていうのはマグナモンね!俺の相棒で先輩でロイヤルナイツの古株!格好良いんだ!」
『へぇ』
彼の相棒であり先輩。そして組織内の古株であるマグナモンは一体どんな方なのだろうか。でもこんなのびのびとしているアルの相棒ならば同じくらい元気な性格なのかもしれない、なんて思っているとアルはやっと私を降ろしてくれた。
「人間の子は初めてだからワクワクしてる!
ねえシオリ、今日は何するの?」
『まだ世界樹の中を案内されていないから、お願いしても良いですか?』
「任せて!あと俺たちに敬語はいらないよ!」
人懐っこい、とはまさにアルの為の言葉だと思った。この世界において得体の知れない生物は私の方なのに、それでも彼は楽しみだと笑ってくれる。これが嬉しくない人間など果たしてこの世に存在するのだろうか。しばらく使っていなかった表情筋を精一杯動かして彼を見る。
『ありがとう、アル』
「!」
驚いたような彼の顔を見てしまったと内心冷や汗をかく。急に名前を略してしまったから機嫌が悪くなったらどうしようと思っていると、彼は正反対にパァッと顔を綻ばせた。
「マグナ以外でその呼び方されたの初めてだ!すーっごく嬉しい!ありがとシオリ!」
その大きな翼で包むように抱き締めてくれるアルは純粋だと思った。彼は私にはないような綺麗な心を持っている。喜ばれるようなことはしていないけれど、小さなことでも心の底から喜んでくれている彼を見てしまえば私も釣られて同じ気持ちになるわけで。
こんなに誰かが愛おしいと、初めて思った。
「シオリ、案内してあげる!行こ!」
『うん。お願いするね』
眠気も空腹も全てが吹き飛んだのは、そんなことがどうでも良くなるくらいに天真爛漫なアルがやってきたからでした。
世界に朝を告げる光が窓から差し込み、1日の始まりを合図する小鳥のさえずりが聞こえてくる。結局、ベッドが広すぎて落ち着かず一睡もできずに朝を迎えてしまった。昨日のお昼頃にオメガモンから部屋を案内されてやったことといえば、部屋の換気と掃除のみ。あまりにも今まで過ごしてきた環境と違いすぎて食欲はおろか睡魔はどこかへ消え去り、ベッドに身を預けても意識が沈むこともなく気が付けば外は明るくなっていた。
ボーとしながら外を眺めていると、大きな音を立てて部屋の扉が開かれた。いきなりのことに吃驚して後方の扉を振り返る。
「シオリおはよー!」
『わっ。……おはようございます』
勢いよく部屋に入って来たのは蒼い鎧を纏い、大きな翼が生えている竜人だった。姿は格好良いけれど口調は少年のようで、ズンズンとこちらに歩いてきたかと思えば唐突に私を持ち上げた。所謂親が子供にしてあげる高い高いをされてしまったのである。急に目線が高くなって心臓がきゅっとなるがそういえば昨日はオメガモンに抱えてもらって空を飛んでいたことを思い出した。この蒼い竜人はオメガモンの仲間であるロイヤルナイツなのかもしれないと私は彼に問う。
『あの、どなたでしょうか』
「俺ー?俺はね、アルフォースブイドラモン!」
『あるふぉーすぶいどらもん』
オメガモンに比べると長い名前である。覚えられるか不安だから今度からアルと呼んでも良いだろうか。笑顔のよく似合うその顔を見ていれば彼は言葉を続けた。
「今日は非番なんだー!本当は昨日のうちに訪ねようと思ったんだけど、夜も遅いからやめろってマグナに怒られちゃった!」
私を高く抱き上げてくるくると回りながら彼は元気よく答える。その中にはマグナという知らない人物が出てきた。誰なのだろうと思っていると、アルは動きを止めてこれまた可愛らしい笑顔で言う。
「あ、マグナっていうのはマグナモンね!俺の相棒で先輩でロイヤルナイツの古株!格好良いんだ!」
『へぇ』
彼の相棒であり先輩。そして組織内の古株であるマグナモンは一体どんな方なのだろうか。でもこんなのびのびとしているアルの相棒ならば同じくらい元気な性格なのかもしれない、なんて思っているとアルはやっと私を降ろしてくれた。
「人間の子は初めてだからワクワクしてる!
ねえシオリ、今日は何するの?」
『まだ世界樹の中を案内されていないから、お願いしても良いですか?』
「任せて!あと俺たちに敬語はいらないよ!」
人懐っこい、とはまさにアルの為の言葉だと思った。この世界において得体の知れない生物は私の方なのに、それでも彼は楽しみだと笑ってくれる。これが嬉しくない人間など果たしてこの世に存在するのだろうか。しばらく使っていなかった表情筋を精一杯動かして彼を見る。
『ありがとう、アル』
「!」
驚いたような彼の顔を見てしまったと内心冷や汗をかく。急に名前を略してしまったから機嫌が悪くなったらどうしようと思っていると、彼は正反対にパァッと顔を綻ばせた。
「マグナ以外でその呼び方されたの初めてだ!すーっごく嬉しい!ありがとシオリ!」
その大きな翼で包むように抱き締めてくれるアルは純粋だと思った。彼は私にはないような綺麗な心を持っている。喜ばれるようなことはしていないけれど、小さなことでも心の底から喜んでくれている彼を見てしまえば私も釣られて同じ気持ちになるわけで。
こんなに誰かが愛おしいと、初めて思った。
「シオリ、案内してあげる!行こ!」
『うん。お願いするね』
眠気も空腹も全てが吹き飛んだのは、そんなことがどうでも良くなるくらいに天真爛漫なアルがやってきたからでした。