少女は出会う
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『あの』
「なんだ」
『イグドラシルって誰ですか』
現在、オメガモンの片腕に抱えられながら空を飛んでいます。初の空中飛行がこんな形になるとは思わなかったが、これはこれで新鮮である。
飛行速度が速すぎて体に負担が掛かると思っていたけれどオメガモンが透明な障壁のようなものを張ってくれているため私の身は安全だった。その為口を開いて喋ることも可能なので先程オメガモンが言っていたイグドラシルについて聞いてみると、彼は淡々と答える。
「……この世界の神だ」
『へぇ』
私が全然驚いていないのは、いきなり神という大規模な存在を出されても信じられずにいるからなのかもしれない。
しかもこの世界ではどうやらその神にご対面できるらしかった。それは果たして良いことなのか悪いことなのか。今はまだ知る由もない。
「ついて来い」
気が付けば目的地に着いたようだ。目の前にはテレビでも見たことがないくらい大きな木が立っており、どうやらここが拠点だと思われる。見た目はただの大きい樹木なのにここを活動場所にしているというギャップにも見惚れていると、オメガモンがその木の中へ入っていく。ここで置いて行かれては困ると足早に行ってしまった彼を走って追いかけた。
「ここだ」
寄り道せずただオメガモンに付いて行くと、案内された場所には頑丈な扉が立ち塞がっていた。扉を開けてもらい中へ入ると真っ白な空間が私を出迎え、視線を上に向けると巨大な水晶が浮遊している。オメガモンはこの部屋には入らず外で待っていようだ。
≪人間の娘よ、この世界へ来た意図はなんだ≫
気持ち悪い。第一印象は最悪だ。男や女、子供や老人の声がごちゃ混ぜになったような声が空間に響いて脳裏を刺激する。
声を発しているのはあの水晶しかないだろう。意図、と言われても心当たりは何もなかった。私はただアルバイトに行こうとしただけなのに。そういえばバイト先のお兄さんには連絡していないけれど大丈夫だろうか、と場違いにものんびりとそんなことを考えた。
『分かりません。意図なんて、私が知りたい』
≪ほう≫
この世界にとって人間という存在がいてはいけないものなら、もしかしたら神様に死刑を命じられるかもしれない。それでも良いと思う。私に命乞いをする資格もなければ自分の命を惜しいと思う道理もなかった。そうしてまで生きたいだなんて思わない。
そんな事を考えていると神様は問うた。
≪ならば、帰りたいか≫
『…帰れるんですか』
≪娘が望むのならばな≫
どうやらここの神様の心は寛大らしい。私が帰りたいと願えば元の世界へ帰してくれるようだ。不法侵入者な異端児の私に対してそのような気遣いを持ってくれるとは思わなかったが、まぁでも。
『帰りたいとは思いません』
≪訳を聞こうか≫
『帰る理由が見つからないから』
≪……なるほど≫
どれだけ探したとしても帰る理由なんて私には見つけられなかった。学校やアルバイトがあってもそれが理由になることはない。家族もいなければ友人と呼べる人もいなかった。愛がない場所で育つと人間はいずれ犯罪者になる、とそう言っていたのはどこのお偉いさんだっただろう。ならば私がこのまま元の世界へ戻ってしまったら犯罪者になってしまうのだろうか。そうはなりたくない。
神様がくれたせっかくの親切心を無碍にしてしまったからどんな理由であれ罰が当たりそうだなぁ。そう呑気に考えていると、神様は一度水晶を眩い程に光らせて、その脳を刺激する声で突拍子もない提案を投げ掛けてきた。
≪ならば娘、ロイヤルナイツと共にここで暮らせ≫
いやいやいや、ロイヤルナイツって誰ですか。
「なんだ」
『イグドラシルって誰ですか』
現在、オメガモンの片腕に抱えられながら空を飛んでいます。初の空中飛行がこんな形になるとは思わなかったが、これはこれで新鮮である。
飛行速度が速すぎて体に負担が掛かると思っていたけれどオメガモンが透明な障壁のようなものを張ってくれているため私の身は安全だった。その為口を開いて喋ることも可能なので先程オメガモンが言っていたイグドラシルについて聞いてみると、彼は淡々と答える。
「……この世界の神だ」
『へぇ』
私が全然驚いていないのは、いきなり神という大規模な存在を出されても信じられずにいるからなのかもしれない。
しかもこの世界ではどうやらその神にご対面できるらしかった。それは果たして良いことなのか悪いことなのか。今はまだ知る由もない。
「ついて来い」
気が付けば目的地に着いたようだ。目の前にはテレビでも見たことがないくらい大きな木が立っており、どうやらここが拠点だと思われる。見た目はただの大きい樹木なのにここを活動場所にしているというギャップにも見惚れていると、オメガモンがその木の中へ入っていく。ここで置いて行かれては困ると足早に行ってしまった彼を走って追いかけた。
「ここだ」
寄り道せずただオメガモンに付いて行くと、案内された場所には頑丈な扉が立ち塞がっていた。扉を開けてもらい中へ入ると真っ白な空間が私を出迎え、視線を上に向けると巨大な水晶が浮遊している。オメガモンはこの部屋には入らず外で待っていようだ。
≪人間の娘よ、この世界へ来た意図はなんだ≫
気持ち悪い。第一印象は最悪だ。男や女、子供や老人の声がごちゃ混ぜになったような声が空間に響いて脳裏を刺激する。
声を発しているのはあの水晶しかないだろう。意図、と言われても心当たりは何もなかった。私はただアルバイトに行こうとしただけなのに。そういえばバイト先のお兄さんには連絡していないけれど大丈夫だろうか、と場違いにものんびりとそんなことを考えた。
『分かりません。意図なんて、私が知りたい』
≪ほう≫
この世界にとって人間という存在がいてはいけないものなら、もしかしたら神様に死刑を命じられるかもしれない。それでも良いと思う。私に命乞いをする資格もなければ自分の命を惜しいと思う道理もなかった。そうしてまで生きたいだなんて思わない。
そんな事を考えていると神様は問うた。
≪ならば、帰りたいか≫
『…帰れるんですか』
≪娘が望むのならばな≫
どうやらここの神様の心は寛大らしい。私が帰りたいと願えば元の世界へ帰してくれるようだ。不法侵入者な異端児の私に対してそのような気遣いを持ってくれるとは思わなかったが、まぁでも。
『帰りたいとは思いません』
≪訳を聞こうか≫
『帰る理由が見つからないから』
≪……なるほど≫
どれだけ探したとしても帰る理由なんて私には見つけられなかった。学校やアルバイトがあってもそれが理由になることはない。家族もいなければ友人と呼べる人もいなかった。愛がない場所で育つと人間はいずれ犯罪者になる、とそう言っていたのはどこのお偉いさんだっただろう。ならば私がこのまま元の世界へ戻ってしまったら犯罪者になってしまうのだろうか。そうはなりたくない。
神様がくれたせっかくの親切心を無碍にしてしまったからどんな理由であれ罰が当たりそうだなぁ。そう呑気に考えていると、神様は一度水晶を眩い程に光らせて、その脳を刺激する声で突拍子もない提案を投げ掛けてきた。
≪ならば娘、ロイヤルナイツと共にここで暮らせ≫
いやいやいや、ロイヤルナイツって誰ですか。