少女の初任務②
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「シオリ!」
『デュークモン。良かった、無事だったんだ』
はじまりの町の中心部へ来てようやくデュークモンと合流することができた。流石というべきか、怪我一つないことに一安心である。ただやはりその表情は険しかった。
「相手はアーマー体。このデュークモンの敵ではないが…」
『アーマー体って、マグナモンみたいな?』
「さよう。名はセトモンだ」
聞いたことのないデジモンだ。アーマー体のデジモンについてはまだ勉強していなかったから仕方がないのだけれど。そんなわたしの為にデュークモンはできる限りの情報を教えてくれた。
「ブイモンが愛情のデジメンタルでアーマー進化した姿だ」
『ブイモンが……?』
ブイモンはマグナモンとアルが成長期の頃の名前。勇気があり常に真っ直ぐで元気なデジモン。そんなデジモンが、一体どうして。
「愛情のデジメンタルとの相性が悪かったのだろう。あれは間違いなく、暴走だ」
『そ、そんな』
そうだ、デジモンタルとの相性が合わなかったデジモンは、そのデジメンタルにデータを乗っ取られてしまう。デジメンタルとの進化を解く解かないに関わらず、成長期の体は膨大なデータ量を持つデジメンタルに耐えられず死を迎えるのだ。
それを通称、暴走という。
『助ける方法はないの?』
「残念だが、我らとて対策は分からぬ」
『マグナモン。マグナモンは分からないの?』
モニターを開いてマグナモンを呼び出す。
<ない……わけではないのかもしれない>
『じゃあ助けるよ。方法を教えて』
何をそんなに焦っているのだろう。自分でもよく分からなかったけれど、愛情を求めただけなのに暴走することが酷く悲しく思えたのかもしれない。
<セトモンはブイモンが愛情に取り込まれて暴走したデジモンだ>
『うん。でも、愛情って悪いものじゃないよね…?』
<そもそもデジメンタルに悪いものなんてない。あれは危険視こそされているが、もともとは世界を救うために選ばれた者たちの心の特性そのものだ>
話の内容が難しい。待って、少しずつ砕かせてください。急に規模が大きくなった話を理解できるほどわたしの頭の容量は広くない。マグナモンの言ったことを少しずつ整理していく。
『つまり、デジメンタルは世界を救った者たちの心ってこと?』
<ああ。だからこそ、そんなデジメンタルとの相性はピンキリだ>
古代種ならばどんなデジモンでもしっかりと進化できるわけじゃないんだ。それを分からないままデジメンタルに手を出してしまったデジモンももしかしたらいたのではないだろうか。
<愛情のデジメンタルはそのデジモンの愛に対する思いに共鳴するが、それでも相性というのは存在する。相性が悪ければ、愛は憎しみや妬みへと変わってしまう>
『そんなのって、あんまりだよ』
「それが古代種とデジメンタルの運命なのだ」
<……>
デュークモンの言葉をマグナモンは否定しない。それはすなわち肯定を意味していた。同じアーマー体のマグナモンも、その運命を受けて入れているということになる。
それって、想像以上に苦しいのではないか。
『助けるには、どうしたら良いの』
<愛が憎しみや妬みに変わってしまったのなら元に戻せば良い>
『戻す?』
<ああ。憎しみを超えるくらいの愛情をセトモンに注ぐんだ>
きっと簡単なことじゃない。
それでも、助けたいと思った。
<敵がブイモンとしての意識を取り戻して愛情を注がれていると自覚することができれば、デジメンタルは自主的に離れていくはずだ>
『相性が良くなることはないの?』
<残念ながらない>
『そっか』
あまり欲張ってはいけない。
今はセトモンを助けることができると分かっただけでも収穫だ。
「シオリ、これは非常に危険である。このデュークモンが無理だと判断すれば、即刻敵を葬るぞ」
『……分かった』
ドォォォォォォン
「時間がない。行くぞ、シオリ!」
『うん!』
そうしてわたしはデュークモンと共にセトモンのいるであろう場所まで向かった。
町もセトモンも、助けてみせるんだ。
<どうか、助けてやってくれ……>
マグナモンの呟きは聞こえなかった。
『デュークモン。良かった、無事だったんだ』
はじまりの町の中心部へ来てようやくデュークモンと合流することができた。流石というべきか、怪我一つないことに一安心である。ただやはりその表情は険しかった。
「相手はアーマー体。このデュークモンの敵ではないが…」
『アーマー体って、マグナモンみたいな?』
「さよう。名はセトモンだ」
聞いたことのないデジモンだ。アーマー体のデジモンについてはまだ勉強していなかったから仕方がないのだけれど。そんなわたしの為にデュークモンはできる限りの情報を教えてくれた。
「ブイモンが愛情のデジメンタルでアーマー進化した姿だ」
『ブイモンが……?』
ブイモンはマグナモンとアルが成長期の頃の名前。勇気があり常に真っ直ぐで元気なデジモン。そんなデジモンが、一体どうして。
「愛情のデジメンタルとの相性が悪かったのだろう。あれは間違いなく、暴走だ」
『そ、そんな』
そうだ、デジモンタルとの相性が合わなかったデジモンは、そのデジメンタルにデータを乗っ取られてしまう。デジメンタルとの進化を解く解かないに関わらず、成長期の体は膨大なデータ量を持つデジメンタルに耐えられず死を迎えるのだ。
それを通称、暴走という。
『助ける方法はないの?』
「残念だが、我らとて対策は分からぬ」
『マグナモン。マグナモンは分からないの?』
モニターを開いてマグナモンを呼び出す。
<ない……わけではないのかもしれない>
『じゃあ助けるよ。方法を教えて』
何をそんなに焦っているのだろう。自分でもよく分からなかったけれど、愛情を求めただけなのに暴走することが酷く悲しく思えたのかもしれない。
<セトモンはブイモンが愛情に取り込まれて暴走したデジモンだ>
『うん。でも、愛情って悪いものじゃないよね…?』
<そもそもデジメンタルに悪いものなんてない。あれは危険視こそされているが、もともとは世界を救うために選ばれた者たちの心の特性そのものだ>
話の内容が難しい。待って、少しずつ砕かせてください。急に規模が大きくなった話を理解できるほどわたしの頭の容量は広くない。マグナモンの言ったことを少しずつ整理していく。
『つまり、デジメンタルは世界を救った者たちの心ってこと?』
<ああ。だからこそ、そんなデジメンタルとの相性はピンキリだ>
古代種ならばどんなデジモンでもしっかりと進化できるわけじゃないんだ。それを分からないままデジメンタルに手を出してしまったデジモンももしかしたらいたのではないだろうか。
<愛情のデジメンタルはそのデジモンの愛に対する思いに共鳴するが、それでも相性というのは存在する。相性が悪ければ、愛は憎しみや妬みへと変わってしまう>
『そんなのって、あんまりだよ』
「それが古代種とデジメンタルの運命なのだ」
<……>
デュークモンの言葉をマグナモンは否定しない。それはすなわち肯定を意味していた。同じアーマー体のマグナモンも、その運命を受けて入れているということになる。
それって、想像以上に苦しいのではないか。
『助けるには、どうしたら良いの』
<愛が憎しみや妬みに変わってしまったのなら元に戻せば良い>
『戻す?』
<ああ。憎しみを超えるくらいの愛情をセトモンに注ぐんだ>
きっと簡単なことじゃない。
それでも、助けたいと思った。
<敵がブイモンとしての意識を取り戻して愛情を注がれていると自覚することができれば、デジメンタルは自主的に離れていくはずだ>
『相性が良くなることはないの?』
<残念ながらない>
『そっか』
あまり欲張ってはいけない。
今はセトモンを助けることができると分かっただけでも収穫だ。
「シオリ、これは非常に危険である。このデュークモンが無理だと判断すれば、即刻敵を葬るぞ」
『……分かった』
ドォォォォォォン
「時間がない。行くぞ、シオリ!」
『うん!』
そうしてわたしはデュークモンと共にセトモンのいるであろう場所まで向かった。
町もセトモンも、助けてみせるんだ。
<どうか、助けてやってくれ……>
マグナモンの呟きは聞こえなかった。