少女は木箱と共に
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『子供が泣きそうな顔ですね』
「私が泣きそうだ」
開口一番、失礼なことを言った自覚はある。
骸骨のような顔の鎧はさながら死神で。わたしの魂を狩って死の世界へと運んでくれるのではないかと想像した。ただの妄想ではあるけれど少しだけ、それがなんとなく嬉しかったのは恐らく彼らには分かるまい。わたしはきっと早く死にたいのだ。
「紹介するよ!彼はクレニアムモン。基本的に医務室か情報処理室で仕事をしてるよ!」
「宜しく頼む。任務の管理も担当しているから何かあれば私に聞くと良い」
『シオリです。さっきは初対面で失礼なことを言ってしまい、ごめんなさい。悪気もなければ決してわたしが泣きそうだったわけでもないです』
「ああ。それなら良かった」
弁解は忘れずに。医務室や情報処理室に加えて任務も管理しているとなれば、相当頼りにされているのだろう。
今日挨拶することができて良かった。
「恐らく他のナイツにも言われたと思うが、基本的にイグドラシル以外にかしこまる必要はない」
『ずっと思っていたけれど、どうして?』
「深い理由はないが堅くなられるのが苦手な奴ばかりでな」
『……そう』
クレニアムモンの言葉にわたしは吹っ切れた。それがきっとロイヤルナイツの総意なのだろう。わたしとしてはお世話になる身だから何事も丁寧にならざるを得ないと思っていたが、彼らが良いというなら甘えさせてもらおう。
『分かった。よろしくね』
「ところで、これから何をする予定だったのだ?」
『アルがドゥフトモンの所へ連れて行ってくれる、と』
「ふむ。彼の所か…」
呟くと、顎に手を当てて考える素振りをする。
わたしとアルは顔を見合わせて首を傾げるが、しばらくするとクレニアムモンは何を思いついたのか、少し待っていてくれというとその場から離れて行ってしまった。
「なんだったんだろうね?」
『ドゥフトモンに何か用事があるのかな』
「さあ、俺にはよく分かんないや」
しばらく待っていると、廊下の先から木箱を持ってクレニアムモンが戻って来た。彼にとっては小さくて軽そうな箱も私から見たら大きくて重そうである。あれは何が入っているんだろう。
「待たせた。これをドゥフトモンに渡してくれ」
「これ、なあに?」
アルが興味深そうに木箱を凝視する。
「ドゥフトモンが欲しがっていた書物だ」
「書物?」
「ああ。南の遺跡で発見してきた」
クレニアムモンの言葉に驚いた。この世界にも書物という概念は存在するらしい。わたしも生きていくためにはこの世界の知識も身に付けていかなくてはいけないだろう。生活する中でナイツに教わりつつ自分でも勉強していかなくては。
そう決意し、クレニアムモンの持っている木箱に手を伸ばす。
『それ、わたしが持って行くよ』
「そなたでは重くて持ち上がらないぞ」
『……頑張る』
不安そうにしているクレニアムモンから少し大きめの木箱を受け取る。
重いのはもちろん覚悟していた。が、
『ひっ』
想像以上に重かった。
そんな私の反応を見てクレニアムモンは愉快そうに笑う。
「はは、だから言ったであろう」
「シオリ、やっぱり俺が持つよ?」
『だ、大丈夫』
これでドゥフトモンに勉強を教えてもらえるきっかけになれば良いんだけれど…。
それにしたって重すぎるよ。
「では頼む。何かあれば連絡をくれ」
「はーい」
『…行って、きます』
早くも腕がもげそうです。
「私が泣きそうだ」
開口一番、失礼なことを言った自覚はある。
骸骨のような顔の鎧はさながら死神で。わたしの魂を狩って死の世界へと運んでくれるのではないかと想像した。ただの妄想ではあるけれど少しだけ、それがなんとなく嬉しかったのは恐らく彼らには分かるまい。わたしはきっと早く死にたいのだ。
「紹介するよ!彼はクレニアムモン。基本的に医務室か情報処理室で仕事をしてるよ!」
「宜しく頼む。任務の管理も担当しているから何かあれば私に聞くと良い」
『シオリです。さっきは初対面で失礼なことを言ってしまい、ごめんなさい。悪気もなければ決してわたしが泣きそうだったわけでもないです』
「ああ。それなら良かった」
弁解は忘れずに。医務室や情報処理室に加えて任務も管理しているとなれば、相当頼りにされているのだろう。
今日挨拶することができて良かった。
「恐らく他のナイツにも言われたと思うが、基本的にイグドラシル以外にかしこまる必要はない」
『ずっと思っていたけれど、どうして?』
「深い理由はないが堅くなられるのが苦手な奴ばかりでな」
『……そう』
クレニアムモンの言葉にわたしは吹っ切れた。それがきっとロイヤルナイツの総意なのだろう。わたしとしてはお世話になる身だから何事も丁寧にならざるを得ないと思っていたが、彼らが良いというなら甘えさせてもらおう。
『分かった。よろしくね』
「ところで、これから何をする予定だったのだ?」
『アルがドゥフトモンの所へ連れて行ってくれる、と』
「ふむ。彼の所か…」
呟くと、顎に手を当てて考える素振りをする。
わたしとアルは顔を見合わせて首を傾げるが、しばらくするとクレニアムモンは何を思いついたのか、少し待っていてくれというとその場から離れて行ってしまった。
「なんだったんだろうね?」
『ドゥフトモンに何か用事があるのかな』
「さあ、俺にはよく分かんないや」
しばらく待っていると、廊下の先から木箱を持ってクレニアムモンが戻って来た。彼にとっては小さくて軽そうな箱も私から見たら大きくて重そうである。あれは何が入っているんだろう。
「待たせた。これをドゥフトモンに渡してくれ」
「これ、なあに?」
アルが興味深そうに木箱を凝視する。
「ドゥフトモンが欲しがっていた書物だ」
「書物?」
「ああ。南の遺跡で発見してきた」
クレニアムモンの言葉に驚いた。この世界にも書物という概念は存在するらしい。わたしも生きていくためにはこの世界の知識も身に付けていかなくてはいけないだろう。生活する中でナイツに教わりつつ自分でも勉強していかなくては。
そう決意し、クレニアムモンの持っている木箱に手を伸ばす。
『それ、わたしが持って行くよ』
「そなたでは重くて持ち上がらないぞ」
『……頑張る』
不安そうにしているクレニアムモンから少し大きめの木箱を受け取る。
重いのはもちろん覚悟していた。が、
『ひっ』
想像以上に重かった。
そんな私の反応を見てクレニアムモンは愉快そうに笑う。
「はは、だから言ったであろう」
「シオリ、やっぱり俺が持つよ?」
『だ、大丈夫』
これでドゥフトモンに勉強を教えてもらえるきっかけになれば良いんだけれど…。
それにしたって重すぎるよ。
「では頼む。何かあれば連絡をくれ」
「はーい」
『…行って、きます』
早くも腕がもげそうです。