名字固定【篠崎】
漂流?冒険の島!
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逃げる選択肢を取ったわたしたちを嘲笑うかのように、終わりは唐突にやってきた。生きるためだと走り続けた先に待っていたのは崖。恐らくその下は、人間には抗うことのできない川。
「こっちはダメだ!別の道を探すんだ!」
「べ、別の道って…!?」
川を見て、キャンプ場に現れた津波を見た時のようにわたしの心臓が脈を打った。大きな水というのは、とてつもなく恐ろしい。
自分でも触れたくない、忘れたくても忘れられない記憶が蘇る。海の上、もがく己の姿、そして気が狂った男の…。
「碧さん。大丈夫ですよ」
ハッと意識が浮上する。目の前には愛おしき幼馴染の姿。
『こうしろう…』
「大丈夫ですよ」
大丈夫。そういう光子郎の言葉はいつだって魔法が掛かっているようだ。先程まで見ていた悪夢のような記憶がすぐに霧散した。すぐにいつもの調子で笑おうとするが、多分上手くできていないだろう。
『あはは。情けないなあ』
「悪いことじゃないんだから、良いんですよ」
光子郎は何でも受け止めてくれる。甘えちゃってるんだよなあ、わたしも。よし、と気合を入れなおしたところで今の状況を改めて把握する。クワガーモンに崖へと追い詰められるが道がなかったのだ。仕方がない、別の道を探すかと行動しようとした時には既に遅かった。
「うわあ!」
茂みの奥からクワガーモンが勢いよく突進してきた。
逃げることも叶わずわたしたちは逃げ、崖の先にいた太一くんも伏せる。
「今のうちに!」
上空へ飛んで行ったクワガーモンを見て空ちゃんが声を掛け、太一くんも立ち上がりわたし達の方へ逃げてこようとするがクワガーモンは予想よりも早く戻ってきてしまう。
『太一くん、危ない!』
「たいちぃ~!」
太一くんを飛び越えるように彼のコロモンが飛び出していった。その口から泡を出してクワガーモンへ攻撃をするが、コロモンも敵の巨大なハサミをモロに喰らい、地面に叩きつけられる。コロモンが出した泡のお陰でクワガーモンの軌道が外れ、太一くんは助かったのだがそれも一瞬のこと。敵はわたしたちの方へ勢いを殺さず襲い掛かってきていた。
「碧、あぶない!」
『あ、コロモン!』
ずっと足元にいたわたしのコロモンが、他のデジモンたちとともにクワガーモンへ泡の攻撃をするのに飛び出した。一斉の攻撃が効いたのか、クワガーモンは制御が利かずに茂みの方へ突っ込んで行ったが、その分の犠牲は何よりも大きかった。
『コロモン!』
「碧、ぶじならいいんだ」
『こんなの、良くないじゃない…!』
「うーん…、おれのがんばり、もっとほめて」
『!』
嗚呼、ずるいなあ。そうだよね。わたしを守るために飛び出してくれたんだもんね。無茶をするのはいただけないけれど、それでも、何よりも嬉しかったのは本当だ。
『ありがとう。ありがとう、コロモン』
「うん」
抱きしめることに遠慮はしなかった。腕の中にいるこの小さい存在がとても愛おしく、とても大切な存在になるのに時間は必要なかったようだ。
「こっちはダメだ!別の道を探すんだ!」
「べ、別の道って…!?」
川を見て、キャンプ場に現れた津波を見た時のようにわたしの心臓が脈を打った。大きな水というのは、とてつもなく恐ろしい。
自分でも触れたくない、忘れたくても忘れられない記憶が蘇る。海の上、もがく己の姿、そして気が狂った男の…。
「碧さん。大丈夫ですよ」
ハッと意識が浮上する。目の前には愛おしき幼馴染の姿。
『こうしろう…』
「大丈夫ですよ」
大丈夫。そういう光子郎の言葉はいつだって魔法が掛かっているようだ。先程まで見ていた悪夢のような記憶がすぐに霧散した。すぐにいつもの調子で笑おうとするが、多分上手くできていないだろう。
『あはは。情けないなあ』
「悪いことじゃないんだから、良いんですよ」
光子郎は何でも受け止めてくれる。甘えちゃってるんだよなあ、わたしも。よし、と気合を入れなおしたところで今の状況を改めて把握する。クワガーモンに崖へと追い詰められるが道がなかったのだ。仕方がない、別の道を探すかと行動しようとした時には既に遅かった。
「うわあ!」
茂みの奥からクワガーモンが勢いよく突進してきた。
逃げることも叶わずわたしたちは逃げ、崖の先にいた太一くんも伏せる。
「今のうちに!」
上空へ飛んで行ったクワガーモンを見て空ちゃんが声を掛け、太一くんも立ち上がりわたし達の方へ逃げてこようとするがクワガーモンは予想よりも早く戻ってきてしまう。
『太一くん、危ない!』
「たいちぃ~!」
太一くんを飛び越えるように彼のコロモンが飛び出していった。その口から泡を出してクワガーモンへ攻撃をするが、コロモンも敵の巨大なハサミをモロに喰らい、地面に叩きつけられる。コロモンが出した泡のお陰でクワガーモンの軌道が外れ、太一くんは助かったのだがそれも一瞬のこと。敵はわたしたちの方へ勢いを殺さず襲い掛かってきていた。
「碧、あぶない!」
『あ、コロモン!』
ずっと足元にいたわたしのコロモンが、他のデジモンたちとともにクワガーモンへ泡の攻撃をするのに飛び出した。一斉の攻撃が効いたのか、クワガーモンは制御が利かずに茂みの方へ突っ込んで行ったが、その分の犠牲は何よりも大きかった。
『コロモン!』
「碧、ぶじならいいんだ」
『こんなの、良くないじゃない…!』
「うーん…、おれのがんばり、もっとほめて」
『!』
嗚呼、ずるいなあ。そうだよね。わたしを守るために飛び出してくれたんだもんね。無茶をするのはいただけないけれど、それでも、何よりも嬉しかったのは本当だ。
『ありがとう。ありがとう、コロモン』
「うん」
抱きしめることに遠慮はしなかった。腕の中にいるこの小さい存在がとても愛おしく、とても大切な存在になるのに時間は必要なかったようだ。