名字固定【篠崎】
漂流?冒険の島!
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『あ、いた』
小道から広い空間へ出たところで割とすぐに見つけることができた。やはり皆このファイル島というところに来ていたようで、見る限りどうやらほとんどが合流できていたようだ。大事もないみたいで良かった。
「碧さん!良かった、ご無事で。ずっと心配していました」
『ありがとう。わたしは大丈夫だよ。光子郎も怪我とかなくて良かった』
眉尻を下げて心配そうに駆け寄ってくれた光子郎の頭を撫でる。まだまだわたしより低い身長が愛らしい。
「碧さん、ソレ…」
『ん?ああ、コロモンって名前らしいよ』
「太一さんのと一緒だ」
『太一くん?』
誰だ太一くん。そう思っていると光子郎が手で指し示してくれた。目線の先にはゴーグル少年がいるので、恐らくあの子が太一くんだろう。見やれば、確かに彼が手に持っている生き物はコロモンだった。
初対面なので挨拶も兼ねて声を掛ける。
『初めまして。6年の篠崎碧です』
「おう!俺は八神太一。5年生だ!」
元気のよい挨拶をもらえてこちらも気持ちが良い。
『太一くん、わたしもコロモンなのです』
「へえ!これじゃあ見分けがつかねえな!」
確かにその通りだ。コロモン同士で並ばれるとまるきり分からない。まあ、それはそれで面白いかと割り切ろうとした時。
「ぎゃあああああああ!」
聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。
「『丈!』」
太一くんと声が揃う。
「助けてくれえ!変な奴に追われてて…」
変な奴とは、もしかして皆が出会ったこの生き物のことだろうか。分かる、気持ちは凄く分かるよ丈や。
「変な奴じゃないよ!プカモンだよ」
「ぎゃああああああああ!」
丈の悲鳴は今日も清々しいなあ、なんて暢気な気分になれる。あそこまで慌てている人が現れると冷静になれると言われているからか、皆は丈をただマジマジと見ているだけだった。いやでも、普通は丈のような反応のはずなのに皆適応力が高いね。わたしが言えたことではないけれど。
「な、なんだ!こいつら!」
\ぼくたち、デジタルモンスター!/
妙な生き物たちが一箇所に集まり笑顔でそう言い放つ。デジタルモンスター、とはやはり聞いたこともない名前だ。
「ぼく、コロモン!」
「同じく、おれもコロモン」
見分けが全然つかない。
「ツノモン、です」
「ピョコモンだよ」
「わて、モチモンでんがな」
「プカモンだよ。くわっ」
「ぼく、トコモン!」
デジタルモンスターたちがそれぞれ自己紹介を終えると、続くように太一くんも自分たちの自己紹介を始めた。
「俺は八神太一。お台場小学校の5年生だ!
……同じ5年生の空!」
「武之内空よ。よろしくね」
「やっぱり同じ、5年生のヤマト」
「石田ヤマトだ」
「そっちは、丈」
「城戸丈。6年だ」
「丈と同じ6年生の碧」
『篠崎碧。宜しく頼むよ』
「4年の光子郎」
「泉光子郎です」
「えーっと、それから…」
太一くんの紹介が止まったのは、緑色の帽子の子。
「タケル。高石タケル。小学校2年生だよ!」
「これで全員だっけ?」
結構な人数がいるから把握ができないのだろう。皆はぐるりと周りを見渡した。
「待って。確かもう一人…」
空ちゃんが自信なさげに口に出す。確かに何となく、もう一人いたような気がする。皆が悩ましげに考えていると、思い出したように声を上げたのは光子郎だった。
「ミミさんが、太刀川ミミさんがいません!」
「そうだ、4年生のミミくんだ!僕はあの子に…」
「きゃああああああ!」
丈の言葉を遮ったのは、耳を劈くような女の子の悲鳴。今のがミミちゃんの声なら何かあったのかもしれない。考えるよりも早く、一同で声の元まで走ると茂みの奥からテンガロンハットの少女が泣きそうになりながらこちらへ向かってきていた。
「ミミちゃん!」
太一くんが声を上げる。やはりミミちゃんか。丈のように小さなデジタルモンスターから逃げているようには見えない。一体何があったのだろうか。
『あれは…!』
見てしまった。ミミちゃんの後ろ、茂みから木々を薙ぎ倒してきた赤い巨大なクワガタ。ありゃダメだ。人間なんて一捻りできるような生き物だ。
『何あれ。大きければ良いわけじゃないでしょ』
「いってるばあいじゃないよ!あれはクワガーモン。きょうあくなデジモンなんだよ」
コロモンにツッコミを入れられた。どうやらあのクワガタはクワガーモンというらしく、デジモンというのはデジタルモンスターを略したもののようだ。
「うわっ」
クワガーモンが威嚇するようにわたしたちの頭上スレスレを飛んでいく。風圧に負けぬよう踏ん張ってその場に留まる。どうにも心臓に悪い。
「ミミ、だいじょうぶ?」
「タネモン…」
ミミちゃんと一緒にいた植物のようなデジモンはタネモンという名前らしい。
「しっかりして!」
「空さぁん…」
恐怖でへこたれてしまったミミちゃんを空ちゃんが力強く励ましていた。あんな巨大生物が迫っているのだから怖いのは仕方のないことだけれど、あまり長くジッとしているわけにもいかない。クワガーモンが旋回してまたこちらを襲ってきていた。
「また来るぞ!」
空ちゃんがミミちゃんを立ち上がらせ、わたし達は走り出す。
けれど子どもであるわたし達の足とクワガーモンのスピードの差は歴然。すぐに追いつかれてしまった。
「伏せろ!」
ヤマトくんの叫び声に皆の本能が従った。とっさに伏せると、すぐにクワガーモンが通り抜けた。もし立ったままだったのなら。そこにわたしの頭は存在していただろうか。ぶるり、考えただけで身震いがする。
「一体ここはどういうところなんだー!」
『弱肉強食のようだよ』
「そういうことじゃなーい!」
『ははは、分かっているって』
「分かってないだろ!?」
恐怖心を隠したわたしのいつもの調子に丈は幾分落ち着いたようだった。それは良かったのだが、代わりにわたしの株が下落したような気がする。
「また来る!」
ピョコモンの声に顔を上げた。見れば、クワガーモンがもう一度襲い掛かってきているところだ。
「くそぅ!あんな奴にやられてたまるか!」
「太一、無理よ!」
「そうだ!俺たちには何の武器もないんだぞ!」
頭に血が上った太一くんに、空ちゃんとヤマトくんが引き留めた。立ち向かうのは悪いことではない。けれど、それは時と場合によるものであって、今この場においては無謀でしかないのだ。
「ここは、逃げるしか…!」
『太一くん。今はまだダメだよ』
光子郎の意見に反対する者はいない。逃げるしか選択肢のないわたし達はとにかく走り続けた。
生き延びるために。
小道から広い空間へ出たところで割とすぐに見つけることができた。やはり皆このファイル島というところに来ていたようで、見る限りどうやらほとんどが合流できていたようだ。大事もないみたいで良かった。
「碧さん!良かった、ご無事で。ずっと心配していました」
『ありがとう。わたしは大丈夫だよ。光子郎も怪我とかなくて良かった』
眉尻を下げて心配そうに駆け寄ってくれた光子郎の頭を撫でる。まだまだわたしより低い身長が愛らしい。
「碧さん、ソレ…」
『ん?ああ、コロモンって名前らしいよ』
「太一さんのと一緒だ」
『太一くん?』
誰だ太一くん。そう思っていると光子郎が手で指し示してくれた。目線の先にはゴーグル少年がいるので、恐らくあの子が太一くんだろう。見やれば、確かに彼が手に持っている生き物はコロモンだった。
初対面なので挨拶も兼ねて声を掛ける。
『初めまして。6年の篠崎碧です』
「おう!俺は八神太一。5年生だ!」
元気のよい挨拶をもらえてこちらも気持ちが良い。
『太一くん、わたしもコロモンなのです』
「へえ!これじゃあ見分けがつかねえな!」
確かにその通りだ。コロモン同士で並ばれるとまるきり分からない。まあ、それはそれで面白いかと割り切ろうとした時。
「ぎゃあああああああ!」
聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。
「『丈!』」
太一くんと声が揃う。
「助けてくれえ!変な奴に追われてて…」
変な奴とは、もしかして皆が出会ったこの生き物のことだろうか。分かる、気持ちは凄く分かるよ丈や。
「変な奴じゃないよ!プカモンだよ」
「ぎゃああああああああ!」
丈の悲鳴は今日も清々しいなあ、なんて暢気な気分になれる。あそこまで慌てている人が現れると冷静になれると言われているからか、皆は丈をただマジマジと見ているだけだった。いやでも、普通は丈のような反応のはずなのに皆適応力が高いね。わたしが言えたことではないけれど。
「な、なんだ!こいつら!」
\ぼくたち、デジタルモンスター!/
妙な生き物たちが一箇所に集まり笑顔でそう言い放つ。デジタルモンスター、とはやはり聞いたこともない名前だ。
「ぼく、コロモン!」
「同じく、おれもコロモン」
見分けが全然つかない。
「ツノモン、です」
「ピョコモンだよ」
「わて、モチモンでんがな」
「プカモンだよ。くわっ」
「ぼく、トコモン!」
デジタルモンスターたちがそれぞれ自己紹介を終えると、続くように太一くんも自分たちの自己紹介を始めた。
「俺は八神太一。お台場小学校の5年生だ!
……同じ5年生の空!」
「武之内空よ。よろしくね」
「やっぱり同じ、5年生のヤマト」
「石田ヤマトだ」
「そっちは、丈」
「城戸丈。6年だ」
「丈と同じ6年生の碧」
『篠崎碧。宜しく頼むよ』
「4年の光子郎」
「泉光子郎です」
「えーっと、それから…」
太一くんの紹介が止まったのは、緑色の帽子の子。
「タケル。高石タケル。小学校2年生だよ!」
「これで全員だっけ?」
結構な人数がいるから把握ができないのだろう。皆はぐるりと周りを見渡した。
「待って。確かもう一人…」
空ちゃんが自信なさげに口に出す。確かに何となく、もう一人いたような気がする。皆が悩ましげに考えていると、思い出したように声を上げたのは光子郎だった。
「ミミさんが、太刀川ミミさんがいません!」
「そうだ、4年生のミミくんだ!僕はあの子に…」
「きゃああああああ!」
丈の言葉を遮ったのは、耳を劈くような女の子の悲鳴。今のがミミちゃんの声なら何かあったのかもしれない。考えるよりも早く、一同で声の元まで走ると茂みの奥からテンガロンハットの少女が泣きそうになりながらこちらへ向かってきていた。
「ミミちゃん!」
太一くんが声を上げる。やはりミミちゃんか。丈のように小さなデジタルモンスターから逃げているようには見えない。一体何があったのだろうか。
『あれは…!』
見てしまった。ミミちゃんの後ろ、茂みから木々を薙ぎ倒してきた赤い巨大なクワガタ。ありゃダメだ。人間なんて一捻りできるような生き物だ。
『何あれ。大きければ良いわけじゃないでしょ』
「いってるばあいじゃないよ!あれはクワガーモン。きょうあくなデジモンなんだよ」
コロモンにツッコミを入れられた。どうやらあのクワガタはクワガーモンというらしく、デジモンというのはデジタルモンスターを略したもののようだ。
「うわっ」
クワガーモンが威嚇するようにわたしたちの頭上スレスレを飛んでいく。風圧に負けぬよう踏ん張ってその場に留まる。どうにも心臓に悪い。
「ミミ、だいじょうぶ?」
「タネモン…」
ミミちゃんと一緒にいた植物のようなデジモンはタネモンという名前らしい。
「しっかりして!」
「空さぁん…」
恐怖でへこたれてしまったミミちゃんを空ちゃんが力強く励ましていた。あんな巨大生物が迫っているのだから怖いのは仕方のないことだけれど、あまり長くジッとしているわけにもいかない。クワガーモンが旋回してまたこちらを襲ってきていた。
「また来るぞ!」
空ちゃんがミミちゃんを立ち上がらせ、わたし達は走り出す。
けれど子どもであるわたし達の足とクワガーモンのスピードの差は歴然。すぐに追いつかれてしまった。
「伏せろ!」
ヤマトくんの叫び声に皆の本能が従った。とっさに伏せると、すぐにクワガーモンが通り抜けた。もし立ったままだったのなら。そこにわたしの頭は存在していただろうか。ぶるり、考えただけで身震いがする。
「一体ここはどういうところなんだー!」
『弱肉強食のようだよ』
「そういうことじゃなーい!」
『ははは、分かっているって』
「分かってないだろ!?」
恐怖心を隠したわたしのいつもの調子に丈は幾分落ち着いたようだった。それは良かったのだが、代わりにわたしの株が下落したような気がする。
「また来る!」
ピョコモンの声に顔を上げた。見れば、クワガーモンがもう一度襲い掛かってきているところだ。
「くそぅ!あんな奴にやられてたまるか!」
「太一、無理よ!」
「そうだ!俺たちには何の武器もないんだぞ!」
頭に血が上った太一くんに、空ちゃんとヤマトくんが引き留めた。立ち向かうのは悪いことではない。けれど、それは時と場合によるものであって、今この場においては無謀でしかないのだ。
「ここは、逃げるしか…!」
『太一くん。今はまだダメだよ』
光子郎の意見に反対する者はいない。逃げるしか選択肢のないわたし達はとにかく走り続けた。
生き延びるために。