名字固定【篠崎】
闇の使者デビモン!
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「待ってたぜ~!覚悟しな!」
「オーガモンだっ」
前方からわたしたちを挟み追い込んできた緑色の鬼の名はオーガモンというらしい。パタモンはあからさまに嫌そうな顔をしている。
「あれも本当は良いデジモンなの?」
「正真正銘の、悪いヤツだよ!」
タケルくんのもっともな疑問にゴマモンが叫ぶように言い放つ。オーガモンが前にいては先へ進めない。かといって後ろへ下がればレオモンがいる。良いデジモンな筈のレオモンがわたしたちを襲ってくるということは、今までと同じ黒い歯車に憑りつかれているのかもしれない。
「エラバレシコドモタチ、タオス!」
後ろには先程と同じようにレオモンが何かを呟きながら剣を構えていた。
「しまった!挟まれた!」
「最初から僕たちをここに追い込む作戦だったんですよ!」
「そんなー!レオモンとオーガモンは敵同士なのに!」
光子郎の冷静な分析にピヨモンが声を上げた。あの二人が敵同士?ということはやはりレオモンは黒い歯車か何かに操られているということだろうか。
「碧、下がって」
『アグモン…』
何かを感じたのか、腕を広げてアグモン(黒)がわたしを崖の方へ押しやる。それと同時にオーガモンとレオモンが武器を構えて動き出した。
「骨棍棒!」
「獅子王丸!」
「うわあああ」
「きゃあああ」
襲い掛かってきた二体に成す術なく子供たちが悲鳴を上げる。すると、それに反応するかのようにあの小さな機械が輝きを放ち、それぞれのデジモンたちを包み込んでいく。
「アグモン進化ー!グレイモン!」
「ガブモン進化ー!ガルルモン!」
「パルモン進化ー!トゲモン!」
「ピヨモン進化ー!バードラモン!」
「テントモン進化ー!カブテリモン!」
「ゴマモン進化-!イッカクモン!」
前方のオーガモンはバードラモン、カブテリモン、イッカクモンが相手をし、後方のレオモンは残りの三体が相手をする形になった。なるべくデジモンたちの邪魔にならないようにわたしたちは小岩へ隠れることにした。
「いけー!グレイモン!」
『太一くん、あんなに前に出て大丈夫かな…』
いつも危険な目に遭っているというのに彼は懲りずに前に出ている。彼のパートナーであるグレイモンを応援するためとはいえ、こんな狭い道で大丈夫かなと心配になってしまう。それは他の子供たちも同じようで、はらはらとした表情で太一くんやデジモンたちを見守っていた。
「チクチクバンバン!」
「ハープーンバルカン!」
「いけるぞー!一気にやっつけろ!」
トゲモンとイッカクモンがそれぞれレオモンとオーガモンへ攻撃を放って圧倒する。
「とどめだ!」
「メガフレイ――」
いよいよグレイモンがレオモンにトドメの技を放とうとした時、ドシャァッと大きな音を立ててわたしたちの真上の崖が崩れた。
「ああっ!?」
「崖崩れだ!」
『…ッ!』
逃げるのが間に合わない。無数の岩がわたしたち目掛けて落ちてくる。絶体絶命、子供たちが悲鳴を上げて動けないでいると、レオモンやオーガモンと対峙していたデジモンたちが落石へと技を放った。
「フォックスファイヤー!」
「メテオウィング!」
「メガブラスター!」
「メガフレイム!」
攻撃は見事落石へと命中し、全ての岩は粉砕されて辺りに散らばっていく。あと少し遅ければ、わたしたちは全員下敷きになって生きていたかも分からない。ドッドッと脈を打つ心臓に手を当てて深呼吸する。そして自分に降りかかった砂埃を払い落とし、同じく砂をたくさん被ったアグモン(黒)の頭や体を優しく払ってあげた。
「皆、大丈夫か!?」
「こっちは何とかな!」
「もう嫌っ、こんなの!」
太一くんの声にヤマトくんが答え、ミミちゃんは帽子を引っ張りながら叫ぶ。怪我人はいないようで全員無事のようだ。ただ、戦ってくれたデジモンたちは退化してその場に倒れていた。彼らの元へ急いで駆け寄る。
「あぁ!アグモン!」
「だいじょぶ、ちょっと疲れただけ~…」
「今日、二回目の進化だからな…」
太一くんの言う通り、今日は朝に一度進化をしている。彼らの体力的負担は相当なものだろう。どこかきちんと休めるところがあれば良いのだけれど。
「あいつらは…!?」
「そうだ、オーガモンが!」
「いてませんな…」
辺りを見渡してもわたしたち以外に誰もおらず、先程の戦闘の跡があるだけだった。
「レオモンも…」
「今の崖崩れに巻き込まれたのかも」
『分が悪かったし逃げた可能性もあるね』
落石は全てここにいるデジモンたちが処理してくれたから、巻き込まれたという線は薄いと思う。どちらにせよ、追撃してくる敵がいないのであればそれに越したことはない。
「うええ、ここから落ちたら助からないよ」
「レオモンもオーガモンも飛べそうもないわよね?」
「ええ」
丈と空ちゃんとピヨモンが崖の下を眺めながらあの二体のことについて話していた。彼らに翼はなかったから、仮に落ちたのだとしたら強そうな彼らでも軽い怪我ではすまないだろう。
「じゃ、じゃあ助かったんだ僕たちは!なんてついてるんだ!あははははは!」
丈が嬉しそうに笑い声を上げる。ひとまず去っていった危機に皆はホッとした表情を浮かべていた。その中で太一くんだけはジッと崩れた崖の部分を見て何やら考え事をしている。
「どうした太一?」
「何で急に崖が崩れたのかと思ってさ」
『あまりにもタイミングが良かったもんね』
「あぁ。そうなんだよ」
『……グレイモンの技を妨害した感じもする』
「うーん」
さっきは必至だったから考えられなかったが、今思うと可笑しなことが多すぎる。レオモンは「選ばれし子供たちを倒す」と、確かにそう言っていた。その選ばれし子供たちというのが何のかわたしたちには分からないし、操られているとはいえ何か知っている可能性がある。だからあの崖崩れは意図的なものかもしれない。
「向こう側の道が崩された時に、ヒビでも入っていたのかもしれませんよ」
「そっか…」
光子郎がそう推測して言う。そうだとしても、あまりにも狙ったタイミングだっただけに太一くんもわたしも晴れない顔のまま歩き出した皆の後ろをついて行く。
『何かが、可笑しい』
「……碧はオレが守るよ」
小さく呟いたわたしの言葉に隣を歩くアグモン(黒)が答えた。その瞳が場違いにも綺麗に感じてしまうくらいに真剣な顔で前を見る彼に、わたしはその手をぎゅっと握って歩みを再開する。
『うん、ありがとう』
何も起こらないと良いな、なんて。
「オーガモンだっ」
前方からわたしたちを挟み追い込んできた緑色の鬼の名はオーガモンというらしい。パタモンはあからさまに嫌そうな顔をしている。
「あれも本当は良いデジモンなの?」
「正真正銘の、悪いヤツだよ!」
タケルくんのもっともな疑問にゴマモンが叫ぶように言い放つ。オーガモンが前にいては先へ進めない。かといって後ろへ下がればレオモンがいる。良いデジモンな筈のレオモンがわたしたちを襲ってくるということは、今までと同じ黒い歯車に憑りつかれているのかもしれない。
「エラバレシコドモタチ、タオス!」
後ろには先程と同じようにレオモンが何かを呟きながら剣を構えていた。
「しまった!挟まれた!」
「最初から僕たちをここに追い込む作戦だったんですよ!」
「そんなー!レオモンとオーガモンは敵同士なのに!」
光子郎の冷静な分析にピヨモンが声を上げた。あの二人が敵同士?ということはやはりレオモンは黒い歯車か何かに操られているということだろうか。
「碧、下がって」
『アグモン…』
何かを感じたのか、腕を広げてアグモン(黒)がわたしを崖の方へ押しやる。それと同時にオーガモンとレオモンが武器を構えて動き出した。
「骨棍棒!」
「獅子王丸!」
「うわあああ」
「きゃあああ」
襲い掛かってきた二体に成す術なく子供たちが悲鳴を上げる。すると、それに反応するかのようにあの小さな機械が輝きを放ち、それぞれのデジモンたちを包み込んでいく。
「アグモン進化ー!グレイモン!」
「ガブモン進化ー!ガルルモン!」
「パルモン進化ー!トゲモン!」
「ピヨモン進化ー!バードラモン!」
「テントモン進化ー!カブテリモン!」
「ゴマモン進化-!イッカクモン!」
前方のオーガモンはバードラモン、カブテリモン、イッカクモンが相手をし、後方のレオモンは残りの三体が相手をする形になった。なるべくデジモンたちの邪魔にならないようにわたしたちは小岩へ隠れることにした。
「いけー!グレイモン!」
『太一くん、あんなに前に出て大丈夫かな…』
いつも危険な目に遭っているというのに彼は懲りずに前に出ている。彼のパートナーであるグレイモンを応援するためとはいえ、こんな狭い道で大丈夫かなと心配になってしまう。それは他の子供たちも同じようで、はらはらとした表情で太一くんやデジモンたちを見守っていた。
「チクチクバンバン!」
「ハープーンバルカン!」
「いけるぞー!一気にやっつけろ!」
トゲモンとイッカクモンがそれぞれレオモンとオーガモンへ攻撃を放って圧倒する。
「とどめだ!」
「メガフレイ――」
いよいよグレイモンがレオモンにトドメの技を放とうとした時、ドシャァッと大きな音を立ててわたしたちの真上の崖が崩れた。
「ああっ!?」
「崖崩れだ!」
『…ッ!』
逃げるのが間に合わない。無数の岩がわたしたち目掛けて落ちてくる。絶体絶命、子供たちが悲鳴を上げて動けないでいると、レオモンやオーガモンと対峙していたデジモンたちが落石へと技を放った。
「フォックスファイヤー!」
「メテオウィング!」
「メガブラスター!」
「メガフレイム!」
攻撃は見事落石へと命中し、全ての岩は粉砕されて辺りに散らばっていく。あと少し遅ければ、わたしたちは全員下敷きになって生きていたかも分からない。ドッドッと脈を打つ心臓に手を当てて深呼吸する。そして自分に降りかかった砂埃を払い落とし、同じく砂をたくさん被ったアグモン(黒)の頭や体を優しく払ってあげた。
「皆、大丈夫か!?」
「こっちは何とかな!」
「もう嫌っ、こんなの!」
太一くんの声にヤマトくんが答え、ミミちゃんは帽子を引っ張りながら叫ぶ。怪我人はいないようで全員無事のようだ。ただ、戦ってくれたデジモンたちは退化してその場に倒れていた。彼らの元へ急いで駆け寄る。
「あぁ!アグモン!」
「だいじょぶ、ちょっと疲れただけ~…」
「今日、二回目の進化だからな…」
太一くんの言う通り、今日は朝に一度進化をしている。彼らの体力的負担は相当なものだろう。どこかきちんと休めるところがあれば良いのだけれど。
「あいつらは…!?」
「そうだ、オーガモンが!」
「いてませんな…」
辺りを見渡してもわたしたち以外に誰もおらず、先程の戦闘の跡があるだけだった。
「レオモンも…」
「今の崖崩れに巻き込まれたのかも」
『分が悪かったし逃げた可能性もあるね』
落石は全てここにいるデジモンたちが処理してくれたから、巻き込まれたという線は薄いと思う。どちらにせよ、追撃してくる敵がいないのであればそれに越したことはない。
「うええ、ここから落ちたら助からないよ」
「レオモンもオーガモンも飛べそうもないわよね?」
「ええ」
丈と空ちゃんとピヨモンが崖の下を眺めながらあの二体のことについて話していた。彼らに翼はなかったから、仮に落ちたのだとしたら強そうな彼らでも軽い怪我ではすまないだろう。
「じゃ、じゃあ助かったんだ僕たちは!なんてついてるんだ!あははははは!」
丈が嬉しそうに笑い声を上げる。ひとまず去っていった危機に皆はホッとした表情を浮かべていた。その中で太一くんだけはジッと崩れた崖の部分を見て何やら考え事をしている。
「どうした太一?」
「何で急に崖が崩れたのかと思ってさ」
『あまりにもタイミングが良かったもんね』
「あぁ。そうなんだよ」
『……グレイモンの技を妨害した感じもする』
「うーん」
さっきは必至だったから考えられなかったが、今思うと可笑しなことが多すぎる。レオモンは「選ばれし子供たちを倒す」と、確かにそう言っていた。その選ばれし子供たちというのが何のかわたしたちには分からないし、操られているとはいえ何か知っている可能性がある。だからあの崖崩れは意図的なものかもしれない。
「向こう側の道が崩された時に、ヒビでも入っていたのかもしれませんよ」
「そっか…」
光子郎がそう推測して言う。そうだとしても、あまりにも狙ったタイミングだっただけに太一くんもわたしも晴れない顔のまま歩き出した皆の後ろをついて行く。
『何かが、可笑しい』
「……碧はオレが守るよ」
小さく呟いたわたしの言葉に隣を歩くアグモン(黒)が答えた。その瞳が場違いにも綺麗に感じてしまうくらいに真剣な顔で前を見る彼に、わたしはその手をぎゅっと握って歩みを再開する。
『うん、ありがとう』
何も起こらないと良いな、なんて。
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