名字固定【篠崎】
闇の使者デビモン!
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「なんてことだ…。ここは本当に、島だったんだ!これからどうすれば良いんだ、僕たちは!?」
崖っぷちで四つん這いになって項垂れる丈に誰も声を掛けることができない。先が見えない、とはまさにこのことだからだ。それにこのメンバーの中で一番希望を抱いていただけにかなり落ち込んでしまうのも無理はないだろう。
「どうすれば良いんだーッ!」
いつぞやのように丈の悲鳴が島に響いた。
『取り敢えず一度休憩しようよ。朝から山を登ってきて皆も疲れてるだろうしね』
「あたし賛成~」
そう言ってミミちゃんは地面に腰を下ろした。その近くでタケルくんも膝を抱えて座ったので、丈の肩をポンっと叩いて声を掛ける。
『君もあっちの方で一緒に休憩してきなよ。さっきのこともあって一番疲れたでしょ?』
「うん…そうするよ」
ファイル島、というだけあって島なのは予想していたが周りに海しかないとそれはそれで不安になる。もしかしたら一周してしまったかもしれないから、目的のない今どうすれば良いか分からないからだ。
ズキズキと痛む左肩には知らんぷりをし、丈の背中を押してミミちゃんやタケルくんたちのいるところへ連れていく。
「……碧」
『ん、なに?』
「……」
『わっ!どうしたの?』
アグモン(黒)に手を引っ張られて皆の死角になる小岩の方へ連れていかれる。途中どうしたのかと聞いても無言なので困ったものだ。小岩の陰へ来てからアグモン(黒)はきょろきょろと辺りを見渡して他の子供たちがいないことを確認している。そしてどこか険しい顔で彼はわたしの名を呼んだ。
「碧」
『なに?』
「肩、痛いんでしょ」
『……!』
浜辺でシェルモンに襲われ、丈が崖から落ちたのを真下で受け止めた時に肩をやってしまった。ヒビなのか脱臼なのか分からないけれど、動かすと痛いというだけで旅をするうえで支障はあまりないのだ。だからアグモン(黒)がこんなに悲しそうな顔をする必要はないし気にしないでほしいとも思う。
「やっぱり!さっき崖から落ちた時に痛めたんでしょ。タイチに言ってここでしばらく休憩しよう」
『ありがとうアグモン。でも歩くのに支障はないし、痛み止めの薬も持ってるから心配いらないよ』
「でも…!」
『心配してくれてるんだもんね。無茶しないでってさっき君に言われたばかりだから大丈夫』
そう言って彼の頭を撫でてあげるとムスッとした表情で抱き付いてきた。怒っていてもわたしからは離れたくないようで、それが嬉しくてわたしも抱きしめ返す。
「……何もできなくてごめん」
『何言ってるの。アグモンが傍にいるとね、それだけで痛みもなくなるし頑張ろうって思えるんだよ』
「ほんとに?」
『嘘を言ってどうするの?』
「だとしても、碧は頑張らなくて良いよ」
『ふふっ。ありがとう』
ぐいぐいと頭を押し付けてくるアグモン(黒)を撫でながらその場に座る。頑張らなくても良いと言ってくれているのだから、お言葉に甘えて気を張らず、少し体の力を抜くことにした。何もできなくてごめん、なんて、わたしが勝手にやったことなのだから謝らないでほしい。でもそれだけこの子は優しいし、本当に自分のことを不甲斐ないと思っているのだろう。そのような思いをさせてしまったのは、本当に不甲斐ないのはわたしだ。
『わたしの方こそ、ごめんね』
「どうして碧が謝る?」
『……いっぱい心配かけてるからね』
「なんだ、自覚してたんだ!」
『もう。アグモンったら…』
「ふふ」
『ははっ!』
下がりそうになる雰囲気も変えてくれる彼には頭が上がらない。改めてアグモン(黒)というパートナーの存在に感謝しつつ二人で笑い合っていると、ドォォォンという大きな音が辺り一帯に響いた。
急いで皆のところへ向かう。
「なんだ!?」
流石に今の音は皆も気付いたようで、何かあったのかを探るために音の発信源へと走る。
「「ああ!」」
「通れなくなってるぅ…」
頂上に来るまでに登ってきた道が崩れており、音の発信源はこの道が落ちてしまった時のだろう。道を引き返すことができなくなってしまった今、どうしたら良いのだろうか。先に道があったことは生憎だが覚えていなかった。
すると、崩れた道の向こう側に獣人がやってきた。
「あ、レオモンだぁ!」
パタモンが嬉しそうに声を上げる。
「レオモンって?」
「レオモンは良いデジモン!」
「とっても強い、正義のデジモン!」
タケルくんの質問にパタモンとガブモンが安心しきった表情でそう答えた。彼らにまるで警戒心がないので本当にそうなんだと思っていた矢先、そのレオモンが腰に差している剣に手を掛けて口を開いた。
「コドモタチ…タオス!」
「逃げろッ!」
抑揚のない声で放ったレオモンの物騒な言葉を合図に崩れた道を飛び越えてきたので、ヤマトくんが皆へ逃げるよう声を上げた。ここは道も狭く戦闘もできそうにない。ならばと広い頂上へ行くしかないと皆がレオモンに背を向けて走り出した。
「あぁっ」
太一くんが急に声を上げて立ち止まった。後ろを振り向くと、彼のポケットから落ちたであろう紙きれが風に流されてレオモンの方へ飛んで行く。
「太一ぃ!」
『太一くん、今はダメ!』
紙を取りに戻ろうとした太一くんを手を引いて止める。その間にもレオモンは走ってきており、このままでは追い付かれてしまうというところだった。
「「ベビーフレイム!」」
『アグモン!』
色の違う二体のアグモンが咄嗟に技を放ってレオモンの足止めをしてくれた。その隙を逃がさないようにと太一くんの手を引いたまま走り出す。
「太一ごめん!地図まで燃えちゃった~!」
「しょうがないよ!」
『ありがとう、アグモン』
「どういたしまして」
まさか太一くんが地図を描いていたことに驚いたがこの状況下だ、燃えてしまったのは彼の言う通り仕方がない。今は取り敢えず逃げようと走り続けたが、道の先にまた別のデジモンが現れた。
「へへっ、いらっしゃ~い!」
緑色の鬼のようなデジモンが棍棒を持って立ち塞がっている。わたしたちは、この狭い道で逃げ場を失ってしまったのだった。
崖っぷちで四つん這いになって項垂れる丈に誰も声を掛けることができない。先が見えない、とはまさにこのことだからだ。それにこのメンバーの中で一番希望を抱いていただけにかなり落ち込んでしまうのも無理はないだろう。
「どうすれば良いんだーッ!」
いつぞやのように丈の悲鳴が島に響いた。
『取り敢えず一度休憩しようよ。朝から山を登ってきて皆も疲れてるだろうしね』
「あたし賛成~」
そう言ってミミちゃんは地面に腰を下ろした。その近くでタケルくんも膝を抱えて座ったので、丈の肩をポンっと叩いて声を掛ける。
『君もあっちの方で一緒に休憩してきなよ。さっきのこともあって一番疲れたでしょ?』
「うん…そうするよ」
ファイル島、というだけあって島なのは予想していたが周りに海しかないとそれはそれで不安になる。もしかしたら一周してしまったかもしれないから、目的のない今どうすれば良いか分からないからだ。
ズキズキと痛む左肩には知らんぷりをし、丈の背中を押してミミちゃんやタケルくんたちのいるところへ連れていく。
「……碧」
『ん、なに?』
「……」
『わっ!どうしたの?』
アグモン(黒)に手を引っ張られて皆の死角になる小岩の方へ連れていかれる。途中どうしたのかと聞いても無言なので困ったものだ。小岩の陰へ来てからアグモン(黒)はきょろきょろと辺りを見渡して他の子供たちがいないことを確認している。そしてどこか険しい顔で彼はわたしの名を呼んだ。
「碧」
『なに?』
「肩、痛いんでしょ」
『……!』
浜辺でシェルモンに襲われ、丈が崖から落ちたのを真下で受け止めた時に肩をやってしまった。ヒビなのか脱臼なのか分からないけれど、動かすと痛いというだけで旅をするうえで支障はあまりないのだ。だからアグモン(黒)がこんなに悲しそうな顔をする必要はないし気にしないでほしいとも思う。
「やっぱり!さっき崖から落ちた時に痛めたんでしょ。タイチに言ってここでしばらく休憩しよう」
『ありがとうアグモン。でも歩くのに支障はないし、痛み止めの薬も持ってるから心配いらないよ』
「でも…!」
『心配してくれてるんだもんね。無茶しないでってさっき君に言われたばかりだから大丈夫』
そう言って彼の頭を撫でてあげるとムスッとした表情で抱き付いてきた。怒っていてもわたしからは離れたくないようで、それが嬉しくてわたしも抱きしめ返す。
「……何もできなくてごめん」
『何言ってるの。アグモンが傍にいるとね、それだけで痛みもなくなるし頑張ろうって思えるんだよ』
「ほんとに?」
『嘘を言ってどうするの?』
「だとしても、碧は頑張らなくて良いよ」
『ふふっ。ありがとう』
ぐいぐいと頭を押し付けてくるアグモン(黒)を撫でながらその場に座る。頑張らなくても良いと言ってくれているのだから、お言葉に甘えて気を張らず、少し体の力を抜くことにした。何もできなくてごめん、なんて、わたしが勝手にやったことなのだから謝らないでほしい。でもそれだけこの子は優しいし、本当に自分のことを不甲斐ないと思っているのだろう。そのような思いをさせてしまったのは、本当に不甲斐ないのはわたしだ。
『わたしの方こそ、ごめんね』
「どうして碧が謝る?」
『……いっぱい心配かけてるからね』
「なんだ、自覚してたんだ!」
『もう。アグモンったら…』
「ふふ」
『ははっ!』
下がりそうになる雰囲気も変えてくれる彼には頭が上がらない。改めてアグモン(黒)というパートナーの存在に感謝しつつ二人で笑い合っていると、ドォォォンという大きな音が辺り一帯に響いた。
急いで皆のところへ向かう。
「なんだ!?」
流石に今の音は皆も気付いたようで、何かあったのかを探るために音の発信源へと走る。
「「ああ!」」
「通れなくなってるぅ…」
頂上に来るまでに登ってきた道が崩れており、音の発信源はこの道が落ちてしまった時のだろう。道を引き返すことができなくなってしまった今、どうしたら良いのだろうか。先に道があったことは生憎だが覚えていなかった。
すると、崩れた道の向こう側に獣人がやってきた。
「あ、レオモンだぁ!」
パタモンが嬉しそうに声を上げる。
「レオモンって?」
「レオモンは良いデジモン!」
「とっても強い、正義のデジモン!」
タケルくんの質問にパタモンとガブモンが安心しきった表情でそう答えた。彼らにまるで警戒心がないので本当にそうなんだと思っていた矢先、そのレオモンが腰に差している剣に手を掛けて口を開いた。
「コドモタチ…タオス!」
「逃げろッ!」
抑揚のない声で放ったレオモンの物騒な言葉を合図に崩れた道を飛び越えてきたので、ヤマトくんが皆へ逃げるよう声を上げた。ここは道も狭く戦闘もできそうにない。ならばと広い頂上へ行くしかないと皆がレオモンに背を向けて走り出した。
「あぁっ」
太一くんが急に声を上げて立ち止まった。後ろを振り向くと、彼のポケットから落ちたであろう紙きれが風に流されてレオモンの方へ飛んで行く。
「太一ぃ!」
『太一くん、今はダメ!』
紙を取りに戻ろうとした太一くんを手を引いて止める。その間にもレオモンは走ってきており、このままでは追い付かれてしまうというところだった。
「「ベビーフレイム!」」
『アグモン!』
色の違う二体のアグモンが咄嗟に技を放ってレオモンの足止めをしてくれた。その隙を逃がさないようにと太一くんの手を引いたまま走り出す。
「太一ごめん!地図まで燃えちゃった~!」
「しょうがないよ!」
『ありがとう、アグモン』
「どういたしまして」
まさか太一くんが地図を描いていたことに驚いたがこの状況下だ、燃えてしまったのは彼の言う通り仕方がない。今は取り敢えず逃げようと走り続けたが、道の先にまた別のデジモンが現れた。
「へへっ、いらっしゃ~い!」
緑色の鬼のようなデジモンが棍棒を持って立ち塞がっている。わたしたちは、この狭い道で逃げ場を失ってしまったのだった。