名字固定【篠崎】
漂流?冒険の島!
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「やっと止んだみたいだな」
「うわーい!雪だー!すごーい!」
「寒いわね。夏とは思えない」
「早く大人のいるところへ戻ろう」
「きゃはー!きれーい!」
吹雪がようやく止み、子供たちは各々の感想を述べながら外へ出ていく。子供は風の子元気の子、けれどわたし自身寒いのはどうにも苦手だった。良いなぁ、あの子たちみたいにわたしも雪原を駆け回れたら楽しいんだろうなあ。絶対そんな自殺行為じみたことはしないけれど。
「ダメか。吹雪が止んだら、電波届くと思ったのに」
『あらあら、やっぱりダメだったんだ』
「はい。電波障害が発生しているようです」
『もともと山奥だし、あの吹雪じゃ仕方がないね』
パソコンや携帯が繋がらなくて溜息を吐く光子郎の肩にポンと手を乗せて励ます。どうしようもないさ。こんな異常気象、人間も機械も予想できるはずがないのだから。
「光子郎ー!早く来いよー!」
祠の中で休んでいるわたしたちを余所に何やら外は騒がしい。ゴーグル少年の声が光子郎の名を呼んでいた。知り合いなのだろうか。確か光子郎はあの少年の所属するサッカークラブに勧誘されていたような気がする。名前までは把握していないが、半年くらいは少年の誘いを断りきれずにサッカーをしていた記憶がある。半年だけとはいえ光子郎をスポーツ系クラブに引き入れるとは中々やるじゃないか。その事が少し嬉しくて後ろから光子郎の両肩をぽんと押す。
『光子郎。呼ばれているよ』
「……何言ってるんですか。碧さんも行きますよ」
『ふふ。はーい』
呼ばれたのは光子郎だけだからわたしは祠の中で待っていようと思ったのだが、光子郎がわたしの手を引いて外へ連れ出してくれた。手袋越しに感じた温かさに笑みが零れる。
しかし外へ出ると、皆が見上げている曇天には驚きの光景が広がっていた。
「あ、あれは!」
『何でオーロラ?』
「すごいよねー!」
緑色の帽子を被った小さい男の子が感嘆の声を上げた。確かに凄いんだけれどもそこそこ知識を持った人間ならわかるだろう。今起きていることの不可解な現象が。
「そんな、変ですよ!日本でオーロラなんて!」
「そうなんだよね」
良くぞ言ってくれた光子郎。青帽子の少女も光子郎の言葉に便乗していた。その昔、東北や北海道では見ることができたらしいけれど関東圏では絶対に見ることができない光景のはず。オーロラはさまざまな気象条件が揃ってようやく見れるもので世界を探しても数え切れる程度しか観測することができないのだ。
まあでもオーロラが見られるなんて生きていて良かった。適応力が高いが故にそんなことを思うが楽観的思考も時には大事だと思う。現実逃避と言ってはいけない。
「は、早く大人たちのいるキャンプ場の方へ戻らなきゃ!」
「そうだな。風邪ひいちゃつまんねえしな」
丈のもっともな意見にクール少年も同意する。猛暑からの吹雪、そしてオーロラ。次は何が起こるか分からないからこんな丘ではなく先生方のいるところへ避難した方が良いのは確かだが、多分風邪とかの問題ではないような気がする。
『ん…?』
ふとオーロラを凝視していると、何やら緑色の渦巻のような何かが見えてしまった。
「おい、あれ!」
どうやらゴーグル少年も気が付いたらしく、あれは何だろうかと見ていた時だった。
『わあ』
その渦巻のようなところから何かが勢いよくわたしたちの元へ降ってくる。このままでは危ないと、取り敢えず近くにいた丈と光子郎を引き寄せて地面に伏せることにした。隕石なら助からないかもしれないが気休めにはなるだろう。
ドーン、ズドーン
「きゃあ!」
「うわあ!」
皆の悲鳴が聞こえるが、雪が派手に舞っていて何も見えない。直撃していたらただでは済まないし最悪の場合もある。誰もそんなことは望んでいない。焦りで早まる鼓動を抑え、どうか皆無事でいてくれと祈るばかりだった。
しばらくして他に落ちてくる様子もなく、安全を確保したのち顔をあげる。
「皆、怪我はない!?」
「なんとかな」
「吃驚したぁ」
青帽子少女の呼びかけにより、皆の安否を確認することができた。丈も光子郎も怪我はしておらず、怪我どころか皆無傷で一先ずは安心できる。とにかく良かった。ホッと胸を撫で下ろし改めて辺りを見回す。
「隕石…?えっ!」
光子郎が落ちてきたものを確認すると、そこから何か小さな物体が浮かび上がってきた。不思議な光を放っている。どこか懐かしく、己を満たしてくれるような暖かい光。導かれるようにわたしたちはその物体に手を伸ばした。それはどうやら機械のようで、手で触れると放っていた光は収まったがそれでもその機械の存在感はこの場では異常なほどだ。
「ポケベルでも、携帯でもないし…」
光子郎がそう呟いた瞬間。液晶の部分が動き出して、それに連動するようにわたし達の目の前には大きな津波が現れた。ここは丘で、海なんてものはないはずなのに。一体どうして、なんで。さっきまで暢気だったわたしの思考が一気に暗転する。
ドクンと心臓が跳ねた気がした。
『光子郎…』
思わず幼馴染の名を呼ぶ。
『海…?』
津波がわたし達を容赦なく飲み込んだ。
「碧さん!」
変な浮遊感に襲われているときに聞こえたのは大好きな可愛い幼馴染の声。抗う術もなく、意識は深く沈んでいった。
「うわーい!雪だー!すごーい!」
「寒いわね。夏とは思えない」
「早く大人のいるところへ戻ろう」
「きゃはー!きれーい!」
吹雪がようやく止み、子供たちは各々の感想を述べながら外へ出ていく。子供は風の子元気の子、けれどわたし自身寒いのはどうにも苦手だった。良いなぁ、あの子たちみたいにわたしも雪原を駆け回れたら楽しいんだろうなあ。絶対そんな自殺行為じみたことはしないけれど。
「ダメか。吹雪が止んだら、電波届くと思ったのに」
『あらあら、やっぱりダメだったんだ』
「はい。電波障害が発生しているようです」
『もともと山奥だし、あの吹雪じゃ仕方がないね』
パソコンや携帯が繋がらなくて溜息を吐く光子郎の肩にポンと手を乗せて励ます。どうしようもないさ。こんな異常気象、人間も機械も予想できるはずがないのだから。
「光子郎ー!早く来いよー!」
祠の中で休んでいるわたしたちを余所に何やら外は騒がしい。ゴーグル少年の声が光子郎の名を呼んでいた。知り合いなのだろうか。確か光子郎はあの少年の所属するサッカークラブに勧誘されていたような気がする。名前までは把握していないが、半年くらいは少年の誘いを断りきれずにサッカーをしていた記憶がある。半年だけとはいえ光子郎をスポーツ系クラブに引き入れるとは中々やるじゃないか。その事が少し嬉しくて後ろから光子郎の両肩をぽんと押す。
『光子郎。呼ばれているよ』
「……何言ってるんですか。碧さんも行きますよ」
『ふふ。はーい』
呼ばれたのは光子郎だけだからわたしは祠の中で待っていようと思ったのだが、光子郎がわたしの手を引いて外へ連れ出してくれた。手袋越しに感じた温かさに笑みが零れる。
しかし外へ出ると、皆が見上げている曇天には驚きの光景が広がっていた。
「あ、あれは!」
『何でオーロラ?』
「すごいよねー!」
緑色の帽子を被った小さい男の子が感嘆の声を上げた。確かに凄いんだけれどもそこそこ知識を持った人間ならわかるだろう。今起きていることの不可解な現象が。
「そんな、変ですよ!日本でオーロラなんて!」
「そうなんだよね」
良くぞ言ってくれた光子郎。青帽子の少女も光子郎の言葉に便乗していた。その昔、東北や北海道では見ることができたらしいけれど関東圏では絶対に見ることができない光景のはず。オーロラはさまざまな気象条件が揃ってようやく見れるもので世界を探しても数え切れる程度しか観測することができないのだ。
まあでもオーロラが見られるなんて生きていて良かった。適応力が高いが故にそんなことを思うが楽観的思考も時には大事だと思う。現実逃避と言ってはいけない。
「は、早く大人たちのいるキャンプ場の方へ戻らなきゃ!」
「そうだな。風邪ひいちゃつまんねえしな」
丈のもっともな意見にクール少年も同意する。猛暑からの吹雪、そしてオーロラ。次は何が起こるか分からないからこんな丘ではなく先生方のいるところへ避難した方が良いのは確かだが、多分風邪とかの問題ではないような気がする。
『ん…?』
ふとオーロラを凝視していると、何やら緑色の渦巻のような何かが見えてしまった。
「おい、あれ!」
どうやらゴーグル少年も気が付いたらしく、あれは何だろうかと見ていた時だった。
『わあ』
その渦巻のようなところから何かが勢いよくわたしたちの元へ降ってくる。このままでは危ないと、取り敢えず近くにいた丈と光子郎を引き寄せて地面に伏せることにした。隕石なら助からないかもしれないが気休めにはなるだろう。
ドーン、ズドーン
「きゃあ!」
「うわあ!」
皆の悲鳴が聞こえるが、雪が派手に舞っていて何も見えない。直撃していたらただでは済まないし最悪の場合もある。誰もそんなことは望んでいない。焦りで早まる鼓動を抑え、どうか皆無事でいてくれと祈るばかりだった。
しばらくして他に落ちてくる様子もなく、安全を確保したのち顔をあげる。
「皆、怪我はない!?」
「なんとかな」
「吃驚したぁ」
青帽子少女の呼びかけにより、皆の安否を確認することができた。丈も光子郎も怪我はしておらず、怪我どころか皆無傷で一先ずは安心できる。とにかく良かった。ホッと胸を撫で下ろし改めて辺りを見回す。
「隕石…?えっ!」
光子郎が落ちてきたものを確認すると、そこから何か小さな物体が浮かび上がってきた。不思議な光を放っている。どこか懐かしく、己を満たしてくれるような暖かい光。導かれるようにわたしたちはその物体に手を伸ばした。それはどうやら機械のようで、手で触れると放っていた光は収まったがそれでもその機械の存在感はこの場では異常なほどだ。
「ポケベルでも、携帯でもないし…」
光子郎がそう呟いた瞬間。液晶の部分が動き出して、それに連動するようにわたし達の目の前には大きな津波が現れた。ここは丘で、海なんてものはないはずなのに。一体どうして、なんで。さっきまで暢気だったわたしの思考が一気に暗転する。
ドクンと心臓が跳ねた気がした。
『光子郎…』
思わず幼馴染の名を呼ぶ。
『海…?』
津波がわたし達を容赦なく飲み込んだ。
「碧さん!」
変な浮遊感に襲われているときに聞こえたのは大好きな可愛い幼馴染の声。抗う術もなく、意識は深く沈んでいった。