名字固定【篠崎】
パルモン怒りの進化!
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「もんざえモンのラブリーアタックは、幸せの詰まったハートを飛ばすハッピーな攻撃の筈なんだけどなあ」
『へえ。素敵な技なんだね』
パルモンの言うことが本当なら、感情が消えてしまう技というわけじゃないのだろう。
ならばやはりメラモンやアンドロモンと同じ、黒い歯車が関係していると考えた方が良いのだろうか。
「ばんざーい、ばんざーい」
わたしたちの横をタケルくんが先程と同じように走り抜けていく。目には光が宿っていなくて見ているだけで寂しくなる。
「どこがハッピーなのよ…」
確かにこの光景は異様だ。幸せからはかけ離れている。違和感しかないこの町は、本当はもっと楽しい町なのかな。
そうであってほしい。
『早く解決したいね』
「ええ…」
ミミちゃんは肩を落として溜息を吐いた。
すると、突如シンバルを叩く音が大きく響く。
『ミミちゃん、足元にある』
彼女の足元には先程空ちゃんを追い掛け回していた猿のおもちゃがあった。おもちゃが勝手に動くなんてホラーもいいところだ。
猿のおもちゃはジッとミミちゃんの顔を見つめて未だにそのシンバルを勢い良く叩いている。
「うるさいわねッ」
『あらら。足で蹴るのは流石に駄目だよ』
乱雑に扱うミミちゃんに注意するも虚しく、大きな振動と共に建物の陰からもんざえモンが姿を現した。
その両手には熊の形をした風船を持っている。
「おもちゃの町へようこそ」
「もんざえモン!」
「お嬢さん方、お待ちしておりました」
草原の方で会った時と同じ言葉。
それを聞いたミミちゃんは怒り心頭である。
「なによ!何があったか知らないけど、あたしの友だちの感情を取ることないでしょーっ!」
『ごもっとも』
「返しなさいよ!」
その瞬間、もんざえモンの瞳が赤く光ったのを見逃さなかった。急いでミミちゃんの手を取って走り出す。
すると、もんざえモンが目から光線のようなものを出して、今までわたしたちの立っていた地面は少しだけ抉れていた。
「冗談じゃないわよ!どうしてあたしが熊のぬいぐるみに追い掛けられなきゃいけないのよ!」
『やっぱり今日はよく走るね』
「嬉しくなーい!」
もんざえモンの追撃は止まない。ここでわたしたちが捕まってしまえば太一くんたちを助けてあげられなくなる。
かといってずっと逃げているだけでは意味がない。
どうしよう、ぐるぐると思考を回す。
「碧」
『なに』
「オレ、行くよ」
その言葉を聞いた瞬間。
「え、碧さん!?」
ミミちゃんの手を離し、アグモン(黒)と共に方向転換をしてもんざえモンの方へと走り出す。
『固まっていては相手の的が大きくなるだけ!ミミちゃんはそのまま前へ、わたしたちはもんざえモンの後ろへ回る』
「パルモン、挟み撃ちだよ」
「分かったわ!」
わたしの代わりに、今度はそのままパルモンがミミちゃんの手を引いて前を走り出した。
わたしたちはもんざえモンの横を通り抜けて後ろへ回り込む。こうして捕まえるべき相手が前後にいることでもんざえモンの動きが止まった。
「お姉ちゃんたちー!助けに来たでー!」
聞こえたのはヌメモンたちの声。
『あれは、』
「ヌメモン!?」
「ヌメモンが、なんで!?」
投げつけられたうんちがもんざえモンに付着したのだろうか。怒りを露わにしてその大きな足でヌメモンたちを踏みつけていく。
「ベビーフレイム!」
少しでも意識がこちらへ向くように。アグモン(黒)の放った攻撃がもんざえモンの後頭部へ直撃する。
前はヌメモン、後ろはわたしたち。もんざえモンは数の少ないわたしたちを先に始末しようとこちらを向いた。
『……ヌメモン、離れて!』
こちらへと攻撃しようとするもんざえモンの邪魔をしようとヌメモンたちが相手を囲んでいく。
鬱陶しく感じたもんざえモンがその手足で振り払い、ばたばたとヌメモンたちが地面に倒れていった。
「ポイズンアイビー!」
「ベビーフレイム!」
パルモンが右腕を押さえつけている間にアグモンが攻撃するが、どちらもあまり効いていないようだった。
今度こそ始末しようともんざえモンが飛び上がる。
「ラブリーアタック!」
その攻撃はわたしたちではなく、ミミちゃんとパルモンの方へと放たれた。
『ミミちゃんッ』
逃げようと走ってもその攻撃は徐々にミミちゃんたちの背中へと迫っていた。
当たる。そう思った瞬間、地面に倒れていたヌメモンたちが起き上がりミミちゃんたちの壁になるように立ちはだかる。
「ヌメモンたちが、頑張ってくれてるんだ」
『……アグモン。少しでもヌメモンたちの負担を軽減しよう。もんざえモンから放たれるあの技へ直接攻撃して』
「分かった」
ヌメモンたちが少しでも耐えられているのなら、あの泡みたいな技はそこまで耐久力がないのかもしれない。
次々と放たれる技に向かって攻撃することで少しでも、ほんの少しでも彼らの負うダメージが少なくなればいい。
「ベビーフレイム!」
『よしっ』
思っていた通り、泡にはそれほどの耐久力がない。アグモン(黒)の技でも十分に対抗することができる。
攻防戦にはなってしまうけれど、こちら側が一方的にやられるよりかはマシだった。
『あっ!』
それでも限界というものは存在している。
放たれる技にばかり気を取られていたために、もんざえモンから繰り出された蹴りへ気が付かなかった。
『アグモン、避けてッ』
「あ、」
叫んだものの回避するのが間に合わず、もんざえモンの蹴りを喰らったアグモン(黒)が近くの建物の壁へとめり込んで地面にへたり込む。
急いで彼のところへ向かうと、どうやら意識を失っているようだった。
『無理させちゃった。ごめんね』
謝りながらアグモン(黒)を抱きかかえる。
腕の中の存在はよく頑張ってくれた。感謝の気持ちを伝えるために、自分の額と彼の額をくっつける。
『ありがとう』
そして追い打ちをかけようと近付いてくるもんざえモンを睨みつける。
打つ手はなし。どうしようか。今から逃げても遅いだろうな、なんて考えていた時だった。
大きな光がパルモンを包み込んでいく。
「パルモン進化ー! トゲモン!」
光が収まった先、そこにいたのは手に赤いグローブを着用したサボテンのようなデジモンだった。
「とりゃー!」
トゲモンともんざえモンが殴り合う。
これでは本当にボクシングの試合だ。
「碧さん!アグモンは大丈夫?」
『ミミちゃん。…アグモンは少し頑張り過ぎたみたい』
言い回しを変えてそう言うとミミちゃんも察してくれたのか、アグモン(黒)の頭を撫でてありがとう、と言ってくれた。
クワガーモンの時に知ったこと。アグモン(黒)は心配して泣かれることよりも、その時の頑張りを一番に褒めてほしいタイプなのだ。
『ところで、戦ってくれているトゲモンって…パルモンが進化したの?』
「えへへ、そうよ!」
自慢げにそう話すミミちゃんの顔は晴れやかだ。
なんでも、一方的にやられるヌメモンやわたしたちを見て、もんざえモンの非道さに怒って進化したらしい。
ミミちゃんもパルモンも優しい心をもっている。
「チクチクバンバン!」
どうやら戦いも最終局面なようで、トゲモンが大量の棘やら針やらを大量にもんざえモンへ放つ。
これには流石に耐えられなかったらしく、もんざえモンの後ろのチャックからは、綿と一緒に黒い歯車が飛び出していった。
これは確信して良いだろうか。あの黒い歯車はデジモンを凶暴化させると。
「パルモン!」
見事戦いに勝利したトゲモンがパルモンへ戻り、アグモン(黒)を抱えたままミミちゃんとともに駆け寄る。
『お疲れ様。ありがとう、パルモン』
「パルモン、素敵!」
興奮の冷めないミミちゃんがパルモンへ抱き着いているが、どうにも首が締まっているように見える。
パルモンの顔は真っ青である。
『ミミちゃん、パルモンが苦しそうだよ』
それでもしばらく彼女のテンションは収まらなかった。
『へえ。素敵な技なんだね』
パルモンの言うことが本当なら、感情が消えてしまう技というわけじゃないのだろう。
ならばやはりメラモンやアンドロモンと同じ、黒い歯車が関係していると考えた方が良いのだろうか。
「ばんざーい、ばんざーい」
わたしたちの横をタケルくんが先程と同じように走り抜けていく。目には光が宿っていなくて見ているだけで寂しくなる。
「どこがハッピーなのよ…」
確かにこの光景は異様だ。幸せからはかけ離れている。違和感しかないこの町は、本当はもっと楽しい町なのかな。
そうであってほしい。
『早く解決したいね』
「ええ…」
ミミちゃんは肩を落として溜息を吐いた。
すると、突如シンバルを叩く音が大きく響く。
『ミミちゃん、足元にある』
彼女の足元には先程空ちゃんを追い掛け回していた猿のおもちゃがあった。おもちゃが勝手に動くなんてホラーもいいところだ。
猿のおもちゃはジッとミミちゃんの顔を見つめて未だにそのシンバルを勢い良く叩いている。
「うるさいわねッ」
『あらら。足で蹴るのは流石に駄目だよ』
乱雑に扱うミミちゃんに注意するも虚しく、大きな振動と共に建物の陰からもんざえモンが姿を現した。
その両手には熊の形をした風船を持っている。
「おもちゃの町へようこそ」
「もんざえモン!」
「お嬢さん方、お待ちしておりました」
草原の方で会った時と同じ言葉。
それを聞いたミミちゃんは怒り心頭である。
「なによ!何があったか知らないけど、あたしの友だちの感情を取ることないでしょーっ!」
『ごもっとも』
「返しなさいよ!」
その瞬間、もんざえモンの瞳が赤く光ったのを見逃さなかった。急いでミミちゃんの手を取って走り出す。
すると、もんざえモンが目から光線のようなものを出して、今までわたしたちの立っていた地面は少しだけ抉れていた。
「冗談じゃないわよ!どうしてあたしが熊のぬいぐるみに追い掛けられなきゃいけないのよ!」
『やっぱり今日はよく走るね』
「嬉しくなーい!」
もんざえモンの追撃は止まない。ここでわたしたちが捕まってしまえば太一くんたちを助けてあげられなくなる。
かといってずっと逃げているだけでは意味がない。
どうしよう、ぐるぐると思考を回す。
「碧」
『なに』
「オレ、行くよ」
その言葉を聞いた瞬間。
「え、碧さん!?」
ミミちゃんの手を離し、アグモン(黒)と共に方向転換をしてもんざえモンの方へと走り出す。
『固まっていては相手の的が大きくなるだけ!ミミちゃんはそのまま前へ、わたしたちはもんざえモンの後ろへ回る』
「パルモン、挟み撃ちだよ」
「分かったわ!」
わたしの代わりに、今度はそのままパルモンがミミちゃんの手を引いて前を走り出した。
わたしたちはもんざえモンの横を通り抜けて後ろへ回り込む。こうして捕まえるべき相手が前後にいることでもんざえモンの動きが止まった。
「お姉ちゃんたちー!助けに来たでー!」
聞こえたのはヌメモンたちの声。
『あれは、』
「ヌメモン!?」
「ヌメモンが、なんで!?」
投げつけられたうんちがもんざえモンに付着したのだろうか。怒りを露わにしてその大きな足でヌメモンたちを踏みつけていく。
「ベビーフレイム!」
少しでも意識がこちらへ向くように。アグモン(黒)の放った攻撃がもんざえモンの後頭部へ直撃する。
前はヌメモン、後ろはわたしたち。もんざえモンは数の少ないわたしたちを先に始末しようとこちらを向いた。
『……ヌメモン、離れて!』
こちらへと攻撃しようとするもんざえモンの邪魔をしようとヌメモンたちが相手を囲んでいく。
鬱陶しく感じたもんざえモンがその手足で振り払い、ばたばたとヌメモンたちが地面に倒れていった。
「ポイズンアイビー!」
「ベビーフレイム!」
パルモンが右腕を押さえつけている間にアグモンが攻撃するが、どちらもあまり効いていないようだった。
今度こそ始末しようともんざえモンが飛び上がる。
「ラブリーアタック!」
その攻撃はわたしたちではなく、ミミちゃんとパルモンの方へと放たれた。
『ミミちゃんッ』
逃げようと走ってもその攻撃は徐々にミミちゃんたちの背中へと迫っていた。
当たる。そう思った瞬間、地面に倒れていたヌメモンたちが起き上がりミミちゃんたちの壁になるように立ちはだかる。
「ヌメモンたちが、頑張ってくれてるんだ」
『……アグモン。少しでもヌメモンたちの負担を軽減しよう。もんざえモンから放たれるあの技へ直接攻撃して』
「分かった」
ヌメモンたちが少しでも耐えられているのなら、あの泡みたいな技はそこまで耐久力がないのかもしれない。
次々と放たれる技に向かって攻撃することで少しでも、ほんの少しでも彼らの負うダメージが少なくなればいい。
「ベビーフレイム!」
『よしっ』
思っていた通り、泡にはそれほどの耐久力がない。アグモン(黒)の技でも十分に対抗することができる。
攻防戦にはなってしまうけれど、こちら側が一方的にやられるよりかはマシだった。
『あっ!』
それでも限界というものは存在している。
放たれる技にばかり気を取られていたために、もんざえモンから繰り出された蹴りへ気が付かなかった。
『アグモン、避けてッ』
「あ、」
叫んだものの回避するのが間に合わず、もんざえモンの蹴りを喰らったアグモン(黒)が近くの建物の壁へとめり込んで地面にへたり込む。
急いで彼のところへ向かうと、どうやら意識を失っているようだった。
『無理させちゃった。ごめんね』
謝りながらアグモン(黒)を抱きかかえる。
腕の中の存在はよく頑張ってくれた。感謝の気持ちを伝えるために、自分の額と彼の額をくっつける。
『ありがとう』
そして追い打ちをかけようと近付いてくるもんざえモンを睨みつける。
打つ手はなし。どうしようか。今から逃げても遅いだろうな、なんて考えていた時だった。
大きな光がパルモンを包み込んでいく。
「パルモン進化ー! トゲモン!」
光が収まった先、そこにいたのは手に赤いグローブを着用したサボテンのようなデジモンだった。
「とりゃー!」
トゲモンともんざえモンが殴り合う。
これでは本当にボクシングの試合だ。
「碧さん!アグモンは大丈夫?」
『ミミちゃん。…アグモンは少し頑張り過ぎたみたい』
言い回しを変えてそう言うとミミちゃんも察してくれたのか、アグモン(黒)の頭を撫でてありがとう、と言ってくれた。
クワガーモンの時に知ったこと。アグモン(黒)は心配して泣かれることよりも、その時の頑張りを一番に褒めてほしいタイプなのだ。
『ところで、戦ってくれているトゲモンって…パルモンが進化したの?』
「えへへ、そうよ!」
自慢げにそう話すミミちゃんの顔は晴れやかだ。
なんでも、一方的にやられるヌメモンやわたしたちを見て、もんざえモンの非道さに怒って進化したらしい。
ミミちゃんもパルモンも優しい心をもっている。
「チクチクバンバン!」
どうやら戦いも最終局面なようで、トゲモンが大量の棘やら針やらを大量にもんざえモンへ放つ。
これには流石に耐えられなかったらしく、もんざえモンの後ろのチャックからは、綿と一緒に黒い歯車が飛び出していった。
これは確信して良いだろうか。あの黒い歯車はデジモンを凶暴化させると。
「パルモン!」
見事戦いに勝利したトゲモンがパルモンへ戻り、アグモン(黒)を抱えたままミミちゃんとともに駆け寄る。
『お疲れ様。ありがとう、パルモン』
「パルモン、素敵!」
興奮の冷めないミミちゃんがパルモンへ抱き着いているが、どうにも首が締まっているように見える。
パルモンの顔は真っ青である。
『ミミちゃん、パルモンが苦しそうだよ』
それでもしばらく彼女のテンションは収まらなかった。