名字固定【篠崎】
電光!カブテリモン
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ピョコモンの村を出て歩き続けているが相も変わらず日差しが強く体力も大幅に削られている。ようやく砂漠地帯を抜けられたのは幸いであるが、それでも他の子供たちは限界を迎えていた。最初にへたり込んだミミちゃんやタケルくん、それに続くようにデジモンたちもその場に座り込んでしまう。
「あぁ……もうダメ」
「一歩も、」
「歩けないよぉ」
絞り出すような声で降参し始める彼女らを先頭を歩いていた5年生組が振り向いた。今まで誰も弱音を吐かずにいたから歩みを止めていなかったが恐らく全員が疲弊していたのだろう。ミミちゃんが素直に言ってくれたおかげで休むきっかけができ、内心ホッとする者も少なからずいるようだった。
「限界かな」
「ずーっと歩きっぱなしだもん」
「よし、ここで休憩にしよう」
一行を見渡してこれ以上は歩けそうにないし無理をする必要もないと判断した太一くんが休憩を指示した。この周辺には少ないながらも樹木があり、しっかりと体を休めそうなそこへ移動する。
最後尾を歩いていたわたしも木陰になっている樹木に背を預けて座る。当たり前だというように膝の上に乗ってきたアグモン(黒)に苦笑いをせざるを得なかったが彼の好きなようにさせた。
『アグモン、疲れてない?』
「オレは平気だよ。碧は?」
『問題ないかな。暑さには強いよ』
「へへん、オレも~。お揃いだ」
『お揃いだね』
彼の身を包む黒色は熱を吸収しやすいはずなのに、未だ元気が衰えずにピンピンしているところを見るとどうやら本当に暑さに強いデジモンらしい。
「碧さん。隣、良いですか?」
アグモン(黒)と木陰を流れる涼しい風を感じていたら、目の前にノートパソコンを持った光子郎が遠慮がちに言ってきた。一言断りをいれるところは彼らしい。パートナーを膝の上に乗せたまま空いている右隣をポンポンと叩く。
『もちろん。どうぞ』
「失礼します」
少し気恥しい表情をしながらも素直に座り、それから持っていたパソコンを開いてキーボードで何やら打ち込み始める。けれどその画面が真っ黒から変わることはなく、光子郎は眉を下げて溜息を漏らしていた。
『どう?』
「駄目ですね。やっぱり動かない…」
「こういう時は、こう叩くと直るって!」
わたしたちのやり取りを見ていたであろう太一くんが光子郎のパソコンを奪い去ってバンバンと無遠慮に叩き始めた。突然のことに驚いて反応が遅れたようだが滅多に大声を出さない光子郎が声を荒げて先輩である太一くんに手を伸ばす。
「うわあ、ああ!やめて下さいよ!」
すぐに太一くんからパソコンを奪い返すことに成功したが恐らく彼の寿命は大幅に縮んだのではないだろうか。カリスマ性に富んでいるが無神経なところもあるらしい太一くんに光子郎は盛大な溜息を吐いて再び座り直した。
疲れた様子の光子郎の頭をお疲れ様の意味も込めて撫でながら太一くんを見上げる。壊したいと思ってパソコンを叩いたわけではないのは分かっている。困っている後輩の為に何ができるかを考えてあのような行動に出たのだろう。ただやはり、少し粗雑だとは思うけれども。
『ふふ。太一くん、機械を叩いて直す時代は終わったんだよ』
「そうです!無暗に叩かないで下さい!」
「俺は、お前の為を想って…」
「それは分かるけど、誰だって大切にしている物を他人に触られたくないでしょ?」
とどめだと言わんばかりに空ちゃんが腕を組みながらお説教をかますと太一くんはちぇっとそっぽ向く。しかしその時に何かを見つけたのだろうか、数回瞬きをして走り出し彼のアグモンも後を追った。一応休憩ということになっているからあまり遠くには行かないと思うが、誰かに何も言わずに駆け出した彼が少し心配である。近くで見ていた丈も太一くんが向かった先を見て首を傾げた。
「どうしたんだ、太一?」
「トイレだろ」
丈の疑問にすかさずヤマトくんが答えるが、思っていたよりも適当であまり心配している様子はない。太一くんがそういう性格だということは周知の事実のようで、周りも気にせず体を休めていた。
「やった!直ったぞ!」
ピッピッとこの場に似付かわしくない電子音が聞こえたあと光子郎が嬉しそうに声を上げる。どうしたのかと音の原因であるパソコンの画面を覗き込めば、先程まで真っ黒だったそこは白い画面に変わり起動を知らせる文字が書かれているではないか。
しかし喜んでいた光子郎だったがすぐにその表情を曇らせた。
「でも、バッテリーがゼロになっているのに動いてる……」
『ありゃ、本当だ。何でだろうね』
光子郎の言う通り右下の充電残量を見ても確かに動きそうにはないことを示しているが、一体どういうことだろうか。わたしも一緒に考えるがそもそも彼が分からないのならわたしがどれだけ思考を巡らせても詳しいことが分かるわけなど無い。あるとすれば、故障か不具合だと思うのだけれど。
『バグかな?』
「その可能性もありますね」
「おーい!みんなー!」
パソコンの不可解な現象に頭を悩ませていると遠くから太一くんの呼ぶ声が遠くに聞こえた。何かあったのかと急いでパソコンをケースへしまった光子郎とアグモン(黒)と共に皆でそちらへ駆け寄ると、段々と大きな建物が見えてくる。煙突らしきところからはもくもくと煙が立ち昇っていた。
「工場だ…!」
唖然としている一行の中、やっとの思いで丈が口を開く。廃墟というわけでもないのか、遠くからしか見た感じは稼働しているように見える。それでもきっと人間はいないのだろう。再び希望を見出す丈にアグモン(黒)は呆れたように肩を竦めていた。しぃー、と人差し指を口元へもっていってわたしは苦笑いをするしかないのであった。
「あぁ……もうダメ」
「一歩も、」
「歩けないよぉ」
絞り出すような声で降参し始める彼女らを先頭を歩いていた5年生組が振り向いた。今まで誰も弱音を吐かずにいたから歩みを止めていなかったが恐らく全員が疲弊していたのだろう。ミミちゃんが素直に言ってくれたおかげで休むきっかけができ、内心ホッとする者も少なからずいるようだった。
「限界かな」
「ずーっと歩きっぱなしだもん」
「よし、ここで休憩にしよう」
一行を見渡してこれ以上は歩けそうにないし無理をする必要もないと判断した太一くんが休憩を指示した。この周辺には少ないながらも樹木があり、しっかりと体を休めそうなそこへ移動する。
最後尾を歩いていたわたしも木陰になっている樹木に背を預けて座る。当たり前だというように膝の上に乗ってきたアグモン(黒)に苦笑いをせざるを得なかったが彼の好きなようにさせた。
『アグモン、疲れてない?』
「オレは平気だよ。碧は?」
『問題ないかな。暑さには強いよ』
「へへん、オレも~。お揃いだ」
『お揃いだね』
彼の身を包む黒色は熱を吸収しやすいはずなのに、未だ元気が衰えずにピンピンしているところを見るとどうやら本当に暑さに強いデジモンらしい。
「碧さん。隣、良いですか?」
アグモン(黒)と木陰を流れる涼しい風を感じていたら、目の前にノートパソコンを持った光子郎が遠慮がちに言ってきた。一言断りをいれるところは彼らしい。パートナーを膝の上に乗せたまま空いている右隣をポンポンと叩く。
『もちろん。どうぞ』
「失礼します」
少し気恥しい表情をしながらも素直に座り、それから持っていたパソコンを開いてキーボードで何やら打ち込み始める。けれどその画面が真っ黒から変わることはなく、光子郎は眉を下げて溜息を漏らしていた。
『どう?』
「駄目ですね。やっぱり動かない…」
「こういう時は、こう叩くと直るって!」
わたしたちのやり取りを見ていたであろう太一くんが光子郎のパソコンを奪い去ってバンバンと無遠慮に叩き始めた。突然のことに驚いて反応が遅れたようだが滅多に大声を出さない光子郎が声を荒げて先輩である太一くんに手を伸ばす。
「うわあ、ああ!やめて下さいよ!」
すぐに太一くんからパソコンを奪い返すことに成功したが恐らく彼の寿命は大幅に縮んだのではないだろうか。カリスマ性に富んでいるが無神経なところもあるらしい太一くんに光子郎は盛大な溜息を吐いて再び座り直した。
疲れた様子の光子郎の頭をお疲れ様の意味も込めて撫でながら太一くんを見上げる。壊したいと思ってパソコンを叩いたわけではないのは分かっている。困っている後輩の為に何ができるかを考えてあのような行動に出たのだろう。ただやはり、少し粗雑だとは思うけれども。
『ふふ。太一くん、機械を叩いて直す時代は終わったんだよ』
「そうです!無暗に叩かないで下さい!」
「俺は、お前の為を想って…」
「それは分かるけど、誰だって大切にしている物を他人に触られたくないでしょ?」
とどめだと言わんばかりに空ちゃんが腕を組みながらお説教をかますと太一くんはちぇっとそっぽ向く。しかしその時に何かを見つけたのだろうか、数回瞬きをして走り出し彼のアグモンも後を追った。一応休憩ということになっているからあまり遠くには行かないと思うが、誰かに何も言わずに駆け出した彼が少し心配である。近くで見ていた丈も太一くんが向かった先を見て首を傾げた。
「どうしたんだ、太一?」
「トイレだろ」
丈の疑問にすかさずヤマトくんが答えるが、思っていたよりも適当であまり心配している様子はない。太一くんがそういう性格だということは周知の事実のようで、周りも気にせず体を休めていた。
「やった!直ったぞ!」
ピッピッとこの場に似付かわしくない電子音が聞こえたあと光子郎が嬉しそうに声を上げる。どうしたのかと音の原因であるパソコンの画面を覗き込めば、先程まで真っ黒だったそこは白い画面に変わり起動を知らせる文字が書かれているではないか。
しかし喜んでいた光子郎だったがすぐにその表情を曇らせた。
「でも、バッテリーがゼロになっているのに動いてる……」
『ありゃ、本当だ。何でだろうね』
光子郎の言う通り右下の充電残量を見ても確かに動きそうにはないことを示しているが、一体どういうことだろうか。わたしも一緒に考えるがそもそも彼が分からないのならわたしがどれだけ思考を巡らせても詳しいことが分かるわけなど無い。あるとすれば、故障か不具合だと思うのだけれど。
『バグかな?』
「その可能性もありますね」
「おーい!みんなー!」
パソコンの不可解な現象に頭を悩ませていると遠くから太一くんの呼ぶ声が遠くに聞こえた。何かあったのかと急いでパソコンをケースへしまった光子郎とアグモン(黒)と共に皆でそちらへ駆け寄ると、段々と大きな建物が見えてくる。煙突らしきところからはもくもくと煙が立ち昇っていた。
「工場だ…!」
唖然としている一行の中、やっとの思いで丈が口を開く。廃墟というわけでもないのか、遠くからしか見た感じは稼働しているように見える。それでもきっと人間はいないのだろう。再び希望を見出す丈にアグモン(黒)は呆れたように肩を竦めていた。しぃー、と人差し指を口元へもっていってわたしは苦笑いをするしかないのであった。