名字固定【篠崎】
灼熱!バードラモン!
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『あー……だよね』
村に到着したのは良いものの、どこかで見たことのある生き物たちがそこにはいた。小さくてピンクの体に頭には植物のような葉がついている。確かピヨモンの進化前のデジモンだったような…。そう以前の記憶を手繰り寄せていると太一くんが唖然とした様子で呟くのが聞こえた。
「ピョコモンの村だったのか」
不思議なものを見るような目でこちらを見上げてくる小さなデジモンを1体抱えて撫でてあげる。やはり人間はいないのだなと一人で納得した。彼らの言うことに間違いなどなかったのである。
ちょいちょい、と服の裾を控えめに引っ張ってきたアグモン(黒)に顔を向けると、でしょ?というような顔でこちらを見てきたのでそれが面白くてつい笑ってしまう。そうだねって頷くと彼も笑ってピョコモンを頭に乗せて遊び始めた。やはり彼は面倒見が良い。
「ピョコモン~!みんなピヨモンの仲間!」
「ねえねえ、なんていうデジモンなの?」
「ええ?あたし?」
ピョコモンの1体が空ちゃんを見上げて興味津々に問う。見慣れない生き物を見ているのは自分たちだけではなくデジモンたちも一緒のようだ。質問されて困ったように頬を掻く彼女を手助けするかのようにピヨモンが間に入って説明をする。
「違うの違うの!この人たちはデジモンじゃないの。人間って生き物。とーっても、良い人たち!」
「にんげん?」
「デジモンじゃないの?」
「いいひとたち?」
ピョコモンたちの疑問は嵐はしばらく止みそうになさそうである。それも仕方がないことだろうと、そういえば人間がいると期待していた丈はどうしているかと思い太一くんとミミちゃんと一緒にいる彼に歩み寄る。
「あーあ。人間がいると思ったのに…」
やはりと言うべきか、彼はピョコモンしかいない小さな村を見て落ち込んでおり、足元にいるゴマモンもそんな丈を見てやれやれと肩を竦めていた。
『残念だったね』
「何もかも全てピョコモンサイズだぜ!」
「あたし、前にママに読んでもらったガリバー旅行記を思い出しちゃった!ふふっ」
落ち込む丈の肩にポンッと手を置いて宥める。太一くんは自分の目線よりも低い家々を見て声を上げた。ミミちゃんもにこにこと楽しそうに家族との思い出を掘り起こしてこの村を見渡している。反応はそれぞれだがやはり大半はがっかり、という雰囲気が見て取れた。
「上手くしたらここで一泊くらい出来るかと思ったけど……無理みたいだな」
「これじゃあ、うちに入ることもできませんね」
「ボクたちならなんとかなるけどね!」
「人間は無理か……」
後方から聞こえるやり取りを耳に流しながら村を見渡す。まるでミニチュアの世界にやってきたかのような錯覚を覚えるほどにこの村は小さい。パタモンやゴマモンは家に入るかもしれないが、アグモンたちでは難しいようにも思えた。そこでふと、一つの疑問に辿り着き近くにいたピョコモンに声を掛ける。
『ねぇ、ここはピョコモンの村みたいだけど君たちだけだと危なくはないかい?悪いデジモンとか来たりしない?』
今までに出会ったクワガーモンやシェルモン、シードラモンを思い浮かべながら問う。弱肉強食なのはこの世界でも一緒で、それはここにいる小さいデジモンたちにも当てはまるだろう。悪いデジモンに見つかって攻撃を受ければ村も彼らもひとたまりもないはずだ。
しかしそんな心配は杞憂だとでも言いたげにピョコモンたちは暢気に飛び跳ねながら言った。
「だいじょーぶ!メラモンがまもってくれてるから!」
「へいき!へいき!」
メラモンという名前が聞こえたけれどまだ会ったことのないデジモンなので想像がつかない。けれど彼らが自慢気に言っている通り守ってくれているというならば彼らの保護者的存在で恐らく強いのだろう。今日まで無事に過ごしているピョコモンたちが何よりの証明になっていた。
『そう。それなら良かった』
ピョコモンの頭を撫でてあげると満更でもないのかすりすりと寄ってきてくれる。可愛いなあ、と彼らに囲まれながら頬を緩めていると自分を呼ぶ声が聞こえた。
「碧~!」
『アグモン。どうしたの?』
「皆あっちにある噴水の方に集まってるから呼びに来たんだ」
『そっか、ありがとう。じゃあ行こうか』
いつの間にやら他の子たちは移動していたらしく、その中に私の姿が見えないということで呼びに来たらしい。アグモン(黒)と共に皆がいる噴水のところへやって来ると、井戸を囲んで何やら騒がしく一大事であるようだった。一際険しい表情を作っていた光子郎の肩に手を置いて声を掛ける。
『光子郎、何があったの?』
「急に井戸から炎が噴き出したんです!」
『炎…?』
何でまたそんなことになってしまったのだろうか。どうやらこの井戸から汲み上げられるのはデジモン界隈では非常に有名な水らしく、タケルくんやミミちゃんが水を飲んでいないと嘆いていた。飲もうと思っていたのに出てきたのが炎なんて確かに酷い仕打ちではあるが、恐らく突っ込むべき着眼点はそこではない。何が原因で水ではなく炎が出てきたのかが分からなければこの問題も解決できそうにないだろう。
「どういうことだ!?」
「いったいどうしてー!?」
「だ、だいじょうぶ!あっちにいけがあるから!」
「行ってみよう!」
ピョコモンの案内で池の方へ走り出す。村の隣にあるその池穴は水が通っているのなら水源には困らないくらいの大きさを誇っていた。
「ああ!」
しかし実際には干上がっていてぽっかりとした穴とずっと昔に沈んだであろう船が一隻あるばかりで到底池には見えなかった。一体この短時間でどうしたというのだろうか。
そして極め付きには近くにある井戸である。残りの水源は村の中に設置されているこの井戸のみで、水が溜まっているか様子を見るため紐に括り付けた桶を中へ投げ込むが、ある程度下へ落ちたところでボッと何かが燃えるような音が響いた。
「とにかく上げてみろ!」
「わ、わかった!」
ヤマトくんに急かされて太一くんが手に持っていた紐を引っ張り上げると、そこには本来付いている筈の桶がなく、代わりに焼けて焦げた跡がついていた。井戸の中で紐が焼き切れるとは、何故。鼻につく異臭に顔を顰めながら顔を覗き込もうとした瞬間。
『わおっ』
途端、井戸から炎が勢いよく噴き出して周りにいた者全員が飛び跳ねた。ドッドッと今になって心臓が忙しなく脈打っている。少しでも上体を逸らすのが遅れていたならば大火傷をして顔が爛れていたことだろう。
干上がった池と炎の噴き上がる井戸を見て、ピョコモンたちが何かを言いたそうに飛び跳ねてこちらに視線を寄越してくる。促すと村の奥にある山を見ながら言った。
「じつは、みはらし山になにかおちるのみた!」
「ああ、俺たちが見たあれか!」
「黒い歯車ですね」
ピョコモンたちの言葉にわたしたち全員に心当たりがあった。森の方で見た空飛ぶ黒い歯車はまだ記憶に新しい。あれが原因なのかは分からないが確かめてみる価値はありそうだ。
「でも、みはらし山に歯車が落ちたからって、どうして?」
「な、何が起きてるんだ!?」
空ちゃんと丈の言葉を聞き、光子郎を見やると顎に手を当てて俯きながら何やら考え込んでいた。自分たちより年下な彼ではあるけれどその自慢の頭脳で原因を追究している。それがどれだけ頼もしい事であるかを彼は分かっているのだろうか。だからこそ、あまり考え込まないようにとその頭にポンッと手を置いた。
「碧さん…?」
『無理は禁物だからね』
一撫でして離した手を降ろしみはらし山を見上げる。わたしたちに訴えかけるようにピョコモンたちが再び騒ぎ出した。
「この辺りは全てみはらし山の泉が水源なの。だからみはらし山に何かあったら、水が全部干上がっちゃう!」
「そうなんだ…」
「でも、みはらし山にはメラモンがいるの!」
『……メラモン』
彼らの話を聞いてここに来る前までの会話を脳裏に浮かべる。確か、先程ピョコモンたちが話してくれた保護者的な存在のデジモンだったはず。みはらし山に何かあったから水が干上がっているわけで。つまりそこを守っているメラモンの身に何かがあった証拠だ。
ここから山は少し遠いため直接確かめるのには時間がかかる。どうしたものかと考え、そして子供たちの持ってきた荷物を思い出した。すぐに太一くんへ声を掛ける。
『太一くん』
「ああ、みはらし山だな。見てみようぜ!」
意図が伝わった、というよりも太一くんも同じ考えだったのだろう。単眼鏡を覗く彼の表情が徐々に驚愕の色に染まっていく。肉眼でも山の頂上が火柱を作り燃え広がっているのを確認できた。何故急に山が燃え始めたのだろう。みはらし山を見つめていると、原因を突き止めたのか太一くんが声を張る。
「何だ、あれ!?」
思わず、といった感じに単眼鏡を下ろす彼を見て一体何を見たのか問おうとするとピョコモンたちが山頂の火柱を見て飛び跳ねながら口々に叫んでいく。
「メラモンが山からおりてくるー!」
「メラモンが山をおりてきたー!」
「どうして?」
「いつものメラモンじゃない!」
ピョコモンたちはもう大パニックである。必死に目を凝らすと炎を纏った人型のような何かが山を下りているのが見えた。あれが彼らの話していたメラモンなのだろうが村やみはらし山を守ってくれているとの噂はどうやら今は違っているようにみえる。メラモンは山を下り森を抜けてきており、恐らくこの村へ侵入してくるのも時間の問題だ。
『ん…?何か叫んでいるね』
狂気染みたソレは、何だが随分暑苦しかった。
村に到着したのは良いものの、どこかで見たことのある生き物たちがそこにはいた。小さくてピンクの体に頭には植物のような葉がついている。確かピヨモンの進化前のデジモンだったような…。そう以前の記憶を手繰り寄せていると太一くんが唖然とした様子で呟くのが聞こえた。
「ピョコモンの村だったのか」
不思議なものを見るような目でこちらを見上げてくる小さなデジモンを1体抱えて撫でてあげる。やはり人間はいないのだなと一人で納得した。彼らの言うことに間違いなどなかったのである。
ちょいちょい、と服の裾を控えめに引っ張ってきたアグモン(黒)に顔を向けると、でしょ?というような顔でこちらを見てきたのでそれが面白くてつい笑ってしまう。そうだねって頷くと彼も笑ってピョコモンを頭に乗せて遊び始めた。やはり彼は面倒見が良い。
「ピョコモン~!みんなピヨモンの仲間!」
「ねえねえ、なんていうデジモンなの?」
「ええ?あたし?」
ピョコモンの1体が空ちゃんを見上げて興味津々に問う。見慣れない生き物を見ているのは自分たちだけではなくデジモンたちも一緒のようだ。質問されて困ったように頬を掻く彼女を手助けするかのようにピヨモンが間に入って説明をする。
「違うの違うの!この人たちはデジモンじゃないの。人間って生き物。とーっても、良い人たち!」
「にんげん?」
「デジモンじゃないの?」
「いいひとたち?」
ピョコモンたちの疑問は嵐はしばらく止みそうになさそうである。それも仕方がないことだろうと、そういえば人間がいると期待していた丈はどうしているかと思い太一くんとミミちゃんと一緒にいる彼に歩み寄る。
「あーあ。人間がいると思ったのに…」
やはりと言うべきか、彼はピョコモンしかいない小さな村を見て落ち込んでおり、足元にいるゴマモンもそんな丈を見てやれやれと肩を竦めていた。
『残念だったね』
「何もかも全てピョコモンサイズだぜ!」
「あたし、前にママに読んでもらったガリバー旅行記を思い出しちゃった!ふふっ」
落ち込む丈の肩にポンッと手を置いて宥める。太一くんは自分の目線よりも低い家々を見て声を上げた。ミミちゃんもにこにこと楽しそうに家族との思い出を掘り起こしてこの村を見渡している。反応はそれぞれだがやはり大半はがっかり、という雰囲気が見て取れた。
「上手くしたらここで一泊くらい出来るかと思ったけど……無理みたいだな」
「これじゃあ、うちに入ることもできませんね」
「ボクたちならなんとかなるけどね!」
「人間は無理か……」
後方から聞こえるやり取りを耳に流しながら村を見渡す。まるでミニチュアの世界にやってきたかのような錯覚を覚えるほどにこの村は小さい。パタモンやゴマモンは家に入るかもしれないが、アグモンたちでは難しいようにも思えた。そこでふと、一つの疑問に辿り着き近くにいたピョコモンに声を掛ける。
『ねぇ、ここはピョコモンの村みたいだけど君たちだけだと危なくはないかい?悪いデジモンとか来たりしない?』
今までに出会ったクワガーモンやシェルモン、シードラモンを思い浮かべながら問う。弱肉強食なのはこの世界でも一緒で、それはここにいる小さいデジモンたちにも当てはまるだろう。悪いデジモンに見つかって攻撃を受ければ村も彼らもひとたまりもないはずだ。
しかしそんな心配は杞憂だとでも言いたげにピョコモンたちは暢気に飛び跳ねながら言った。
「だいじょーぶ!メラモンがまもってくれてるから!」
「へいき!へいき!」
メラモンという名前が聞こえたけれどまだ会ったことのないデジモンなので想像がつかない。けれど彼らが自慢気に言っている通り守ってくれているというならば彼らの保護者的存在で恐らく強いのだろう。今日まで無事に過ごしているピョコモンたちが何よりの証明になっていた。
『そう。それなら良かった』
ピョコモンの頭を撫でてあげると満更でもないのかすりすりと寄ってきてくれる。可愛いなあ、と彼らに囲まれながら頬を緩めていると自分を呼ぶ声が聞こえた。
「碧~!」
『アグモン。どうしたの?』
「皆あっちにある噴水の方に集まってるから呼びに来たんだ」
『そっか、ありがとう。じゃあ行こうか』
いつの間にやら他の子たちは移動していたらしく、その中に私の姿が見えないということで呼びに来たらしい。アグモン(黒)と共に皆がいる噴水のところへやって来ると、井戸を囲んで何やら騒がしく一大事であるようだった。一際険しい表情を作っていた光子郎の肩に手を置いて声を掛ける。
『光子郎、何があったの?』
「急に井戸から炎が噴き出したんです!」
『炎…?』
何でまたそんなことになってしまったのだろうか。どうやらこの井戸から汲み上げられるのはデジモン界隈では非常に有名な水らしく、タケルくんやミミちゃんが水を飲んでいないと嘆いていた。飲もうと思っていたのに出てきたのが炎なんて確かに酷い仕打ちではあるが、恐らく突っ込むべき着眼点はそこではない。何が原因で水ではなく炎が出てきたのかが分からなければこの問題も解決できそうにないだろう。
「どういうことだ!?」
「いったいどうしてー!?」
「だ、だいじょうぶ!あっちにいけがあるから!」
「行ってみよう!」
ピョコモンの案内で池の方へ走り出す。村の隣にあるその池穴は水が通っているのなら水源には困らないくらいの大きさを誇っていた。
「ああ!」
しかし実際には干上がっていてぽっかりとした穴とずっと昔に沈んだであろう船が一隻あるばかりで到底池には見えなかった。一体この短時間でどうしたというのだろうか。
そして極め付きには近くにある井戸である。残りの水源は村の中に設置されているこの井戸のみで、水が溜まっているか様子を見るため紐に括り付けた桶を中へ投げ込むが、ある程度下へ落ちたところでボッと何かが燃えるような音が響いた。
「とにかく上げてみろ!」
「わ、わかった!」
ヤマトくんに急かされて太一くんが手に持っていた紐を引っ張り上げると、そこには本来付いている筈の桶がなく、代わりに焼けて焦げた跡がついていた。井戸の中で紐が焼き切れるとは、何故。鼻につく異臭に顔を顰めながら顔を覗き込もうとした瞬間。
『わおっ』
途端、井戸から炎が勢いよく噴き出して周りにいた者全員が飛び跳ねた。ドッドッと今になって心臓が忙しなく脈打っている。少しでも上体を逸らすのが遅れていたならば大火傷をして顔が爛れていたことだろう。
干上がった池と炎の噴き上がる井戸を見て、ピョコモンたちが何かを言いたそうに飛び跳ねてこちらに視線を寄越してくる。促すと村の奥にある山を見ながら言った。
「じつは、みはらし山になにかおちるのみた!」
「ああ、俺たちが見たあれか!」
「黒い歯車ですね」
ピョコモンたちの言葉にわたしたち全員に心当たりがあった。森の方で見た空飛ぶ黒い歯車はまだ記憶に新しい。あれが原因なのかは分からないが確かめてみる価値はありそうだ。
「でも、みはらし山に歯車が落ちたからって、どうして?」
「な、何が起きてるんだ!?」
空ちゃんと丈の言葉を聞き、光子郎を見やると顎に手を当てて俯きながら何やら考え込んでいた。自分たちより年下な彼ではあるけれどその自慢の頭脳で原因を追究している。それがどれだけ頼もしい事であるかを彼は分かっているのだろうか。だからこそ、あまり考え込まないようにとその頭にポンッと手を置いた。
「碧さん…?」
『無理は禁物だからね』
一撫でして離した手を降ろしみはらし山を見上げる。わたしたちに訴えかけるようにピョコモンたちが再び騒ぎ出した。
「この辺りは全てみはらし山の泉が水源なの。だからみはらし山に何かあったら、水が全部干上がっちゃう!」
「そうなんだ…」
「でも、みはらし山にはメラモンがいるの!」
『……メラモン』
彼らの話を聞いてここに来る前までの会話を脳裏に浮かべる。確か、先程ピョコモンたちが話してくれた保護者的な存在のデジモンだったはず。みはらし山に何かあったから水が干上がっているわけで。つまりそこを守っているメラモンの身に何かがあった証拠だ。
ここから山は少し遠いため直接確かめるのには時間がかかる。どうしたものかと考え、そして子供たちの持ってきた荷物を思い出した。すぐに太一くんへ声を掛ける。
『太一くん』
「ああ、みはらし山だな。見てみようぜ!」
意図が伝わった、というよりも太一くんも同じ考えだったのだろう。単眼鏡を覗く彼の表情が徐々に驚愕の色に染まっていく。肉眼でも山の頂上が火柱を作り燃え広がっているのを確認できた。何故急に山が燃え始めたのだろう。みはらし山を見つめていると、原因を突き止めたのか太一くんが声を張る。
「何だ、あれ!?」
思わず、といった感じに単眼鏡を下ろす彼を見て一体何を見たのか問おうとするとピョコモンたちが山頂の火柱を見て飛び跳ねながら口々に叫んでいく。
「メラモンが山からおりてくるー!」
「メラモンが山をおりてきたー!」
「どうして?」
「いつものメラモンじゃない!」
ピョコモンたちはもう大パニックである。必死に目を凝らすと炎を纏った人型のような何かが山を下りているのが見えた。あれが彼らの話していたメラモンなのだろうが村やみはらし山を守ってくれているとの噂はどうやら今は違っているようにみえる。メラモンは山を下り森を抜けてきており、恐らくこの村へ侵入してくるのも時間の問題だ。
『ん…?何か叫んでいるね』
狂気染みたソレは、何だが随分暑苦しかった。