名字固定【篠崎】
灼熱!バードラモン!
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「そーら!そーら!頑張って歩こ!」
「あなた元気ね…」
先程少し水浴びして元気になったからといって砂漠に照り付ける日差しはやはり肌を刺激しており、じわじわと一行の体力を削っていた。そんな暑い中ピヨモンが空ちゃんに寄り添い歩いていることにどうやら当の本人である彼女はフラストレーションが溜まっているようだった。そのことに気が付いていないピヨモンは尚も彼女に寄り添って元気に声を掛け続けている。
「そーら!そーら!」
「あーもう、いい加減にしてよ!あたしはね、今喉が渇いてて疲れてるし、歩いてて疲れてるし、無邪気にじゃれつかないの!余計に疲れるわ!」
ついにピヨモンに対してしびれを切らしてしまったようで、普段温厚そうな空ちゃんが怒鳴り散らした。もちろん彼女の気持ちは分からないわけではない。この二日間だけでも太一くんやヤマトくんを支え他の子たちに気を配り一行のバランスを上手くとっていたのは他でもない彼女だ。それでもまだ小学5年生。知らない土地にやってきて知らない生き物を目の当たりにして精神的にも疲労が随分溜まっているのだろう。そういった諸々を吐き出すきっかけが今だっただけなのだ。ピヨモンだってずっと待っていた空ちゃんに会えたことが嬉しくて少しでも一緒にいたいと思っているのだと思う。どちらも悪くはないのだ。
「空疲れてるんだ…。ごめん、ピヨモン大人しくする」
「うーん、分かった分かった。一緒に歩こう!」
「あはっ!あたし嬉しい!空、だーいすき!」
彼女が怒ったのを初めて見るのは私だけでなくピヨモンも一緒で、ついに逆鱗に触れてしまったのだと傷付いた表情で俯くピヨモンを見て観念したように空ちゃんが両手を上げる。心根が優しい彼女はピヨモンにそんな顔をさせたくなかったのかもしれない。落ち込んだピヨモンの機嫌もすぐに元通りになった。
「しかし、歩いても歩いても何も見えてこないな。本当に森に戻った方が良いかもしれないな」
そんなヤマトくんの提案に丈は満面の笑みで何度も頷いている。これ以上この砂漠地帯を歩いていても何も進展はないのかもしれない。しかしそれは森に戻っても同じことにならないという保証もないのだ。うーん、と少し悩んだが一つの意見として聞いてもらおうと彼らの話し合いの場にわたしも参加する。
『けれど森に戻ったとして、また敵が現れたら逃げ場もないし戦うにしても狭い場所だよ』
「確かに、碧さんの言うことも一理ありますね」
わたしの意見にすかさず同意してくれたのは光子郎だが、他の子たちを見ても納得はしているようなので思うことは皆同じらしい。暑いという理由だけで安全が確保されない場所へ行くのならきちんとした討論が必要である。
『デジモンたちの半分は火を扱う攻撃で、パタモンも空気を扱っているからね。森に飛び火して燃え広がったら…ということも考えないと』
「これ以上暑くなるのは嫌…」
『あ、そこなんだ』
ミミちゃんがげっそりと呟くが、それが如何に今の状況が暑いのかを物語っていた。すると太一くんが話し合いの輪から外れて砂漠の向こう側を見る。
「ちょっと待ってよっと…」
単眼鏡を取り出して覗き込む彼に何か収穫があることを祈っていると、彼が皆に聞こえるよう一際大きな声で言い放った。
「あっ、村だ!」
「ええ!?」
「ほらほらほら、村だって!やっぱり人間がいるんだよ!」
『村がイコール人間になるかはまた別の問題だろうけどね』
「希望を持つんだよ碧くん!」
パシパシとわたしの背中を叩きながら丈は誰よりも村の存在に喜んでいる。普段スキンシップをしない彼を珍しいと思ったが、ここに来て初めての村なのである。人間がいるにしてもいないにしても進展があることには変わりないのだから確かに喜ばしいことだった。
ちなみに隣のアグモン(黒)は首を横に振っていることからやはり人間はいないようである。せっかく上がった士気を落とすわけにもいかないので苦笑いを浮かべて取り敢えずアグモン(黒)を撫でておいた。嬉しそうにぐりぐりと頭を押し付ける彼にふはっと笑って今度はわしゃわしゃと全力で撫でる。その様子を見ていた光子郎は微笑ましい表情をしつつ皆へ向き直った。
「何にせよ、行ってみる価値はありそうですね」
『うん。そうだね』
先を歩き始めた光子郎に続き、わたしもまたアグモン(黒)と共に歩みを進める。目的が決まると足取りも軽くなるというものだ。心なしか皆の表情も先程より晴れ晴れとしていた。
「よーし、あの村へ行こう!」
「「おー!」」
「あなた元気ね…」
先程少し水浴びして元気になったからといって砂漠に照り付ける日差しはやはり肌を刺激しており、じわじわと一行の体力を削っていた。そんな暑い中ピヨモンが空ちゃんに寄り添い歩いていることにどうやら当の本人である彼女はフラストレーションが溜まっているようだった。そのことに気が付いていないピヨモンは尚も彼女に寄り添って元気に声を掛け続けている。
「そーら!そーら!」
「あーもう、いい加減にしてよ!あたしはね、今喉が渇いてて疲れてるし、歩いてて疲れてるし、無邪気にじゃれつかないの!余計に疲れるわ!」
ついにピヨモンに対してしびれを切らしてしまったようで、普段温厚そうな空ちゃんが怒鳴り散らした。もちろん彼女の気持ちは分からないわけではない。この二日間だけでも太一くんやヤマトくんを支え他の子たちに気を配り一行のバランスを上手くとっていたのは他でもない彼女だ。それでもまだ小学5年生。知らない土地にやってきて知らない生き物を目の当たりにして精神的にも疲労が随分溜まっているのだろう。そういった諸々を吐き出すきっかけが今だっただけなのだ。ピヨモンだってずっと待っていた空ちゃんに会えたことが嬉しくて少しでも一緒にいたいと思っているのだと思う。どちらも悪くはないのだ。
「空疲れてるんだ…。ごめん、ピヨモン大人しくする」
「うーん、分かった分かった。一緒に歩こう!」
「あはっ!あたし嬉しい!空、だーいすき!」
彼女が怒ったのを初めて見るのは私だけでなくピヨモンも一緒で、ついに逆鱗に触れてしまったのだと傷付いた表情で俯くピヨモンを見て観念したように空ちゃんが両手を上げる。心根が優しい彼女はピヨモンにそんな顔をさせたくなかったのかもしれない。落ち込んだピヨモンの機嫌もすぐに元通りになった。
「しかし、歩いても歩いても何も見えてこないな。本当に森に戻った方が良いかもしれないな」
そんなヤマトくんの提案に丈は満面の笑みで何度も頷いている。これ以上この砂漠地帯を歩いていても何も進展はないのかもしれない。しかしそれは森に戻っても同じことにならないという保証もないのだ。うーん、と少し悩んだが一つの意見として聞いてもらおうと彼らの話し合いの場にわたしも参加する。
『けれど森に戻ったとして、また敵が現れたら逃げ場もないし戦うにしても狭い場所だよ』
「確かに、碧さんの言うことも一理ありますね」
わたしの意見にすかさず同意してくれたのは光子郎だが、他の子たちを見ても納得はしているようなので思うことは皆同じらしい。暑いという理由だけで安全が確保されない場所へ行くのならきちんとした討論が必要である。
『デジモンたちの半分は火を扱う攻撃で、パタモンも空気を扱っているからね。森に飛び火して燃え広がったら…ということも考えないと』
「これ以上暑くなるのは嫌…」
『あ、そこなんだ』
ミミちゃんがげっそりと呟くが、それが如何に今の状況が暑いのかを物語っていた。すると太一くんが話し合いの輪から外れて砂漠の向こう側を見る。
「ちょっと待ってよっと…」
単眼鏡を取り出して覗き込む彼に何か収穫があることを祈っていると、彼が皆に聞こえるよう一際大きな声で言い放った。
「あっ、村だ!」
「ええ!?」
「ほらほらほら、村だって!やっぱり人間がいるんだよ!」
『村がイコール人間になるかはまた別の問題だろうけどね』
「希望を持つんだよ碧くん!」
パシパシとわたしの背中を叩きながら丈は誰よりも村の存在に喜んでいる。普段スキンシップをしない彼を珍しいと思ったが、ここに来て初めての村なのである。人間がいるにしてもいないにしても進展があることには変わりないのだから確かに喜ばしいことだった。
ちなみに隣のアグモン(黒)は首を横に振っていることからやはり人間はいないようである。せっかく上がった士気を落とすわけにもいかないので苦笑いを浮かべて取り敢えずアグモン(黒)を撫でておいた。嬉しそうにぐりぐりと頭を押し付ける彼にふはっと笑って今度はわしゃわしゃと全力で撫でる。その様子を見ていた光子郎は微笑ましい表情をしつつ皆へ向き直った。
「何にせよ、行ってみる価値はありそうですね」
『うん。そうだね』
先を歩き始めた光子郎に続き、わたしもまたアグモン(黒)と共に歩みを進める。目的が決まると足取りも軽くなるというものだ。心なしか皆の表情も先程より晴れ晴れとしていた。
「よーし、あの村へ行こう!」
「「おー!」」