名字固定【篠崎】
蒼き狼!ガルルモン!
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『わたしたちは焚火用の薪を探そうか』
「そうだね~」
夜を無事に乗り過ごすためにそれぞれ魚を釣ったり火を起こしたり食べ物を探したりと役割分担をして野営の準備を開始した。
わたしとアグモン(黒)は夜中でも火が途切れることがないように、地面に落ちている枝などをとにかく集めることにした。暖と明かりの二つの役目を担うための焚火なので枝はあり過ぎてもさして問題ないだろう、ということで太一くんや空ちゃんにも薪集めはお願いしておいている。
『この世界にいると逞しくなりそうだよ』
「碧も進化するの?」
『はは。しちゃうかもしれないなあ』
のんびりまったりと会話しつつ薪を集め、両腕では抱えきれないほどまで溜まったところでアグモン(黒)と戻ることにした。足りなくなるのなら後でまた拾ってくればいい。
「碧~!」
『わっ。ガブモン、頭に果物刺してどうしたの?』
皆の所へ戻る途中にガブモンと遭遇したのだが、彼自慢の角には深々とバナナのような果物が刺さっていた。
見るからに痛そうである。
「自分じゃ取れなくて…。碧なら取れるかな?」
『任せて。痛かったり気持ち悪かったりしたら遠慮せずに言ってね』
ガブモンの高さに合うように屈んで足元に集めた薪を置く。ショルダーバッグから白いハンカチを取り出し、果物に添えてゆっくりと持ち上げて引き抜いてみる。果物が瑞々しいおかげで特に苦戦することなく取ることができた。ハンカチでしっかりとガブモンの角を拭いて果物を返す。汚れたハンカチは後で湖の水で洗おう。
『もう大丈夫かい?』
「うん!ありがとう碧!」
「あんまり無茶な取り方はしちゃダメだぞ」
アグモン(黒)の注意が図星だったのだろうか、ガブモンは照れながら頷いた。なんとも可愛らしい。
薪を持って戻ると、既に焚火の周りには魚が幾つか刺さっていた。サバイバル知識は一切持っていないのでこういう時はあのようにして魚を焼くのか、と一人感心する。
ついでに人間はいないのに魚がいることに疑問を持ちつつ太一くんへ拾った薪を渡す。この世界は不思議なことばかりだなあ、と暢気に考えながら。
『こんなもので良いかな?』
「おっ。これなら一晩持つな!」
『そうか。それなら良かったよ』
「さんきゅ、碧!」
光子郎とタケルくんが釣ってくれた魚やデジモンたちが採ってきてくれた果物を食べ終える頃には既に辺りは夜になっていた。今はそれぞれ好きなことをして時間を潰しているところだ。
わたしは焚火の近くの木に寄り掛かりながら夕飯時のことについて考えていた。
「碧、悩み事か?」
『ああ、アグモン。いや実はね』
先程の夕飯時。ヤマトくんがタケルくんの食べている魚の骨を取ってやろうという提案をしたところ、タケルくんはヤマトくんではなく太一くんに言われた「頭から食べろ」という言葉通りにしていたのだ。
その時のヤマトくんは、お昼にモノクロモンから逃げてタケルくんが転んだ時と同じように複雑そうな表情をしていた。タケルくんが自分ではなく太一くんを優先していることに寂しさを覚えているのではないだろうか。子が親の元から巣立つ時のような感じをヤマトくんはタケルくんに対して感じているのではないのだろうかと思う。あくまでも第三者から見た憶測ではあるけれど。
名字は違うが兄弟だという彼らはやはり訳ありなのだろう。
『まあ、わたしが考えても仕方がないんだけどね』
「碧は優しいな」
『はは、まさか。お節介なだけだよ』
「それを優しいって言うんじゃないの」
『ふふ。まあでも、彼らの関係に他人が関与してはいけないのは事実なんだ』
それも今日会ったばかりであるわたしのような赤の他人は特に。そっか、とアグモン(黒)はそれ以上何も言ってこなかった。こういうところが心地良くて、わたしはアグモン(黒)から離れたくないなと密かに思う。
太一くんのアグモンと同じようにマイペースだけれど、しっかりと周りを見ている。たまに他のデジモン達といるところを見れば彼は必然的に皆の面倒を見る役に回っている。苦労性だということが判明してしまっていた。
「空」
「ん?」
「タケルはヤマトのことをお兄ちゃんって呼んでるけど、アイツら名字違うよな?何でだ?」
「……あたし知らない」
視界の端で水を汲んでいる空ちゃんに太一くんが質問をしていた。彼も思っていることは一緒だったようだ。だが空ちゃんは湖から目を離さずに冷たい声で否定した。やはり何か知っているのだろうがそう答えるのが無難だろう。
「碧は知っているか?」
今度は近くにいたわたしにも質問をしてきた。
『太一くん』
「うん?」
『あまり首を突っ込んではいけないよ』
「え?」
家庭内の問題はヤマトくんやタケルくん自身が解決しなければいけないことだから。わたしたちが横から口を出すのはあまりにも危険すぎる。
「そうだね~」
夜を無事に乗り過ごすためにそれぞれ魚を釣ったり火を起こしたり食べ物を探したりと役割分担をして野営の準備を開始した。
わたしとアグモン(黒)は夜中でも火が途切れることがないように、地面に落ちている枝などをとにかく集めることにした。暖と明かりの二つの役目を担うための焚火なので枝はあり過ぎてもさして問題ないだろう、ということで太一くんや空ちゃんにも薪集めはお願いしておいている。
『この世界にいると逞しくなりそうだよ』
「碧も進化するの?」
『はは。しちゃうかもしれないなあ』
のんびりまったりと会話しつつ薪を集め、両腕では抱えきれないほどまで溜まったところでアグモン(黒)と戻ることにした。足りなくなるのなら後でまた拾ってくればいい。
「碧~!」
『わっ。ガブモン、頭に果物刺してどうしたの?』
皆の所へ戻る途中にガブモンと遭遇したのだが、彼自慢の角には深々とバナナのような果物が刺さっていた。
見るからに痛そうである。
「自分じゃ取れなくて…。碧なら取れるかな?」
『任せて。痛かったり気持ち悪かったりしたら遠慮せずに言ってね』
ガブモンの高さに合うように屈んで足元に集めた薪を置く。ショルダーバッグから白いハンカチを取り出し、果物に添えてゆっくりと持ち上げて引き抜いてみる。果物が瑞々しいおかげで特に苦戦することなく取ることができた。ハンカチでしっかりとガブモンの角を拭いて果物を返す。汚れたハンカチは後で湖の水で洗おう。
『もう大丈夫かい?』
「うん!ありがとう碧!」
「あんまり無茶な取り方はしちゃダメだぞ」
アグモン(黒)の注意が図星だったのだろうか、ガブモンは照れながら頷いた。なんとも可愛らしい。
薪を持って戻ると、既に焚火の周りには魚が幾つか刺さっていた。サバイバル知識は一切持っていないのでこういう時はあのようにして魚を焼くのか、と一人感心する。
ついでに人間はいないのに魚がいることに疑問を持ちつつ太一くんへ拾った薪を渡す。この世界は不思議なことばかりだなあ、と暢気に考えながら。
『こんなもので良いかな?』
「おっ。これなら一晩持つな!」
『そうか。それなら良かったよ』
「さんきゅ、碧!」
光子郎とタケルくんが釣ってくれた魚やデジモンたちが採ってきてくれた果物を食べ終える頃には既に辺りは夜になっていた。今はそれぞれ好きなことをして時間を潰しているところだ。
わたしは焚火の近くの木に寄り掛かりながら夕飯時のことについて考えていた。
「碧、悩み事か?」
『ああ、アグモン。いや実はね』
先程の夕飯時。ヤマトくんがタケルくんの食べている魚の骨を取ってやろうという提案をしたところ、タケルくんはヤマトくんではなく太一くんに言われた「頭から食べろ」という言葉通りにしていたのだ。
その時のヤマトくんは、お昼にモノクロモンから逃げてタケルくんが転んだ時と同じように複雑そうな表情をしていた。タケルくんが自分ではなく太一くんを優先していることに寂しさを覚えているのではないだろうか。子が親の元から巣立つ時のような感じをヤマトくんはタケルくんに対して感じているのではないのだろうかと思う。あくまでも第三者から見た憶測ではあるけれど。
名字は違うが兄弟だという彼らはやはり訳ありなのだろう。
『まあ、わたしが考えても仕方がないんだけどね』
「碧は優しいな」
『はは、まさか。お節介なだけだよ』
「それを優しいって言うんじゃないの」
『ふふ。まあでも、彼らの関係に他人が関与してはいけないのは事実なんだ』
それも今日会ったばかりであるわたしのような赤の他人は特に。そっか、とアグモン(黒)はそれ以上何も言ってこなかった。こういうところが心地良くて、わたしはアグモン(黒)から離れたくないなと密かに思う。
太一くんのアグモンと同じようにマイペースだけれど、しっかりと周りを見ている。たまに他のデジモン達といるところを見れば彼は必然的に皆の面倒を見る役に回っている。苦労性だということが判明してしまっていた。
「空」
「ん?」
「タケルはヤマトのことをお兄ちゃんって呼んでるけど、アイツら名字違うよな?何でだ?」
「……あたし知らない」
視界の端で水を汲んでいる空ちゃんに太一くんが質問をしていた。彼も思っていることは一緒だったようだ。だが空ちゃんは湖から目を離さずに冷たい声で否定した。やはり何か知っているのだろうがそう答えるのが無難だろう。
「碧は知っているか?」
今度は近くにいたわたしにも質問をしてきた。
『太一くん』
「うん?」
『あまり首を突っ込んではいけないよ』
「え?」
家庭内の問題はヤマトくんやタケルくん自身が解決しなければいけないことだから。わたしたちが横から口を出すのはあまりにも危険すぎる。