名字固定【篠崎】
爆裂進化!グレイモン!
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「非常食は1班につき3日分支給されている。僕の班は6人だったから、6×3×3で」
「54食ですね」
「そうだ!それを8人で分けて食べると」
「2日ちょっとですね」
「……そうだ」
『丈くんや。うちの光子郎は頭がええじゃろ?』
丈が暗算をする暇もなく光子郎が遮るように答えを導き出す。それにどんどん肩を落としていく丈に追い打ちをかけるように言ってやるとキッと睨まれた。解せぬ。
心なしか光子郎は照れているようだった。
「でもデジモン達の分もあるから、実際にはその半分。1日ちょっとよ」
「あー、そうかー」
あまり長く持たないことを考え、丈は頭を抱えた。
「俺たちはいいよ。自分の分は自分で探すから」
「ウチらは勘定にいれんでええわ」
ガブモンとテントモンの発言に、ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちになる。彼らを余所にわたしたちだけが食料を頂いて良いのかと。
「本当にいいの?」
「うん、大丈夫。今までずっとそうだったんだから」
空ちゃんの問いかけにピヨモンも頷いて答える。アグモン(黒)を見ても同じ意見のようで首を縦に振っていた。
「そうしてもらえると助かるよ。じゃあこの非常食は人間用の分ということで」
「うまいか、アグモン」
「うん!」
話し合いも虚しく砕け散った。太一くんがいつの間にかアグモンにお菓子を分け与えていたのだ。もぐもぐと食べているその姿は幸せそうである。
「だからそれは人間用!」
「良いじゃないか、ケチだなー」
「ダメ!」
太一くんはどこまでも自由だ。でもまあ、あんなに美味しそうに食べるアグモンを見たら責めるに責められないよ。
人間用のお菓子がデジモンの口にも合っているようで場違いにも安心している自分がいる。
『丈。さっきまで身を挺して守ってくれたんだから良いじゃない。そのお礼なんでしょ、太一くん?』
「おっ、分かってるじゃねーか碧!」
「碧くんは甘すぎる!」
『わたしは丈にもあまあまだけどなあ』
ふはっと気の抜けるような笑いは空気に溶けていった。どうやら丈には伝わっていなかったらしい。
『ま、気負いせずやっていこうよ』
「君が暢気すぎるんだ」
はあ。と遠慮することなく溜息を吐かれてしまう。
それからしばらくは休憩ということで、わたしたちは輪になりそれぞれ休むことにした。お腹が空いている子たちはお菓子を食べ、体に疲れを感じている子たちはそれぞれ寄り添って休んでいる。
「どうしたの、ピヨモン?」
そんな中、突然険しい顔をしてピヨモンが立ち上がった。海の方の一点を睨みつけているようだ。
「来るッ」
デジモンたちが何かの気配を感じ取って身構えた瞬間。電話ボックスが砂浜から噴き出す謎の水柱により粉々に吹き飛ばされていく。
「なんだ!?」
突然の出来事に大混乱。荷物をそのままに急いでこの場から離れて崖下の方へ避難する。
砂浜をジッと見つめていると一か所だけ砂が吸い込まれるように沈み、そこからヤドカリのような巨大な生き物が姿を現した。
「シェルモンや!」
「シェルモン!?」
「ここはアイツの縄張りやったんか!」
テントモンが焦ったように説明をしてくれた。自分の縄張りへわたしたちがやって来たから防衛本能が働いているのだろう。酷く怒っているようにも見える。
「シェェェェェェル!」
大きく唸ったシェルモンはどうやら言葉は話せないようだ。
『休憩くらい許してくれても良いじゃないか』
「シェルモンは凶暴で攻撃的なデジモンだから仕方がないね」
『やけに冷静だなあ、アグモン』
「碧に感化されたのかもしれない」
こんな状況だというのにわたしたちは周りが引くほどに冷静だった。アグモン(黒)とのやり取りにくすっと笑うが、今はそれどころじゃないのはもちろん理解している。
「皆、こっちへ!」
丈が少しでも安全な場所に移動しようと崖を登りながら叫ぶ。見ているこちらとしてはやや危なっかしい。落ちてしまえばタダではすまないだろう。
何故なら崖下は砂だけではなく崖から剥がれ落ちた岩も転がっているため、落ちれば頭や体を強打する可能性が高い。
「シェェェェェェル!」
「うわあ!」
シェルモンが丈に目掛けてかなりの水量を放出して攻撃をした。登り切っていない丈がそれを喰らえばどうなるのか。考えるよりも先に体が動いていた。
『丈!』
勢いよく落ちてきた丈を受け止める。
ミシッ
『うぐっ』
肩から嫌な音が聞こえた。骨は折れていないようだけれどヒビが入ったのかもしれない。昔骨折の一歩手前までいった経験を思い出した。
細身だから大丈夫だと油断していた。だが丈はそれなりに身長もあれば男の子だ。腕に負担がかかってしまうのも無理はなかった。
『丈。平気?』
「あ、あぁ。それより碧くんの方が……」
『大事はなかった。気にしなくて大丈夫』
「でも、」
心配性だなあ、丈は。
『男がネチネチしないの。そういうの、わたしが苦手なことは知ってるでしょ』
「……ありがとう。助かったよ、碧くん」
『それで良し!』
本当に無事であることを確認して、一旦アグモン(黒)と共にその場を離れる。子どもたちはシェルモンに夢中で幸いにも気付かれることはなかった。
『っ、ぐ』
「碧!」
途端、左肩へ強烈な痛みが走る。先程はアドレナリンが流れていたおかげで痛みを感じることはなかったが、少し冷静になると忘れていた肩への負担がのしかかってきた。
「54食ですね」
「そうだ!それを8人で分けて食べると」
「2日ちょっとですね」
「……そうだ」
『丈くんや。うちの光子郎は頭がええじゃろ?』
丈が暗算をする暇もなく光子郎が遮るように答えを導き出す。それにどんどん肩を落としていく丈に追い打ちをかけるように言ってやるとキッと睨まれた。解せぬ。
心なしか光子郎は照れているようだった。
「でもデジモン達の分もあるから、実際にはその半分。1日ちょっとよ」
「あー、そうかー」
あまり長く持たないことを考え、丈は頭を抱えた。
「俺たちはいいよ。自分の分は自分で探すから」
「ウチらは勘定にいれんでええわ」
ガブモンとテントモンの発言に、ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちになる。彼らを余所にわたしたちだけが食料を頂いて良いのかと。
「本当にいいの?」
「うん、大丈夫。今までずっとそうだったんだから」
空ちゃんの問いかけにピヨモンも頷いて答える。アグモン(黒)を見ても同じ意見のようで首を縦に振っていた。
「そうしてもらえると助かるよ。じゃあこの非常食は人間用の分ということで」
「うまいか、アグモン」
「うん!」
話し合いも虚しく砕け散った。太一くんがいつの間にかアグモンにお菓子を分け与えていたのだ。もぐもぐと食べているその姿は幸せそうである。
「だからそれは人間用!」
「良いじゃないか、ケチだなー」
「ダメ!」
太一くんはどこまでも自由だ。でもまあ、あんなに美味しそうに食べるアグモンを見たら責めるに責められないよ。
人間用のお菓子がデジモンの口にも合っているようで場違いにも安心している自分がいる。
『丈。さっきまで身を挺して守ってくれたんだから良いじゃない。そのお礼なんでしょ、太一くん?』
「おっ、分かってるじゃねーか碧!」
「碧くんは甘すぎる!」
『わたしは丈にもあまあまだけどなあ』
ふはっと気の抜けるような笑いは空気に溶けていった。どうやら丈には伝わっていなかったらしい。
『ま、気負いせずやっていこうよ』
「君が暢気すぎるんだ」
はあ。と遠慮することなく溜息を吐かれてしまう。
それからしばらくは休憩ということで、わたしたちは輪になりそれぞれ休むことにした。お腹が空いている子たちはお菓子を食べ、体に疲れを感じている子たちはそれぞれ寄り添って休んでいる。
「どうしたの、ピヨモン?」
そんな中、突然険しい顔をしてピヨモンが立ち上がった。海の方の一点を睨みつけているようだ。
「来るッ」
デジモンたちが何かの気配を感じ取って身構えた瞬間。電話ボックスが砂浜から噴き出す謎の水柱により粉々に吹き飛ばされていく。
「なんだ!?」
突然の出来事に大混乱。荷物をそのままに急いでこの場から離れて崖下の方へ避難する。
砂浜をジッと見つめていると一か所だけ砂が吸い込まれるように沈み、そこからヤドカリのような巨大な生き物が姿を現した。
「シェルモンや!」
「シェルモン!?」
「ここはアイツの縄張りやったんか!」
テントモンが焦ったように説明をしてくれた。自分の縄張りへわたしたちがやって来たから防衛本能が働いているのだろう。酷く怒っているようにも見える。
「シェェェェェェル!」
大きく唸ったシェルモンはどうやら言葉は話せないようだ。
『休憩くらい許してくれても良いじゃないか』
「シェルモンは凶暴で攻撃的なデジモンだから仕方がないね」
『やけに冷静だなあ、アグモン』
「碧に感化されたのかもしれない」
こんな状況だというのにわたしたちは周りが引くほどに冷静だった。アグモン(黒)とのやり取りにくすっと笑うが、今はそれどころじゃないのはもちろん理解している。
「皆、こっちへ!」
丈が少しでも安全な場所に移動しようと崖を登りながら叫ぶ。見ているこちらとしてはやや危なっかしい。落ちてしまえばタダではすまないだろう。
何故なら崖下は砂だけではなく崖から剥がれ落ちた岩も転がっているため、落ちれば頭や体を強打する可能性が高い。
「シェェェェェェル!」
「うわあ!」
シェルモンが丈に目掛けてかなりの水量を放出して攻撃をした。登り切っていない丈がそれを喰らえばどうなるのか。考えるよりも先に体が動いていた。
『丈!』
勢いよく落ちてきた丈を受け止める。
ミシッ
『うぐっ』
肩から嫌な音が聞こえた。骨は折れていないようだけれどヒビが入ったのかもしれない。昔骨折の一歩手前までいった経験を思い出した。
細身だから大丈夫だと油断していた。だが丈はそれなりに身長もあれば男の子だ。腕に負担がかかってしまうのも無理はなかった。
『丈。平気?』
「あ、あぁ。それより碧くんの方が……」
『大事はなかった。気にしなくて大丈夫』
「でも、」
心配性だなあ、丈は。
『男がネチネチしないの。そういうの、わたしが苦手なことは知ってるでしょ』
「……ありがとう。助かったよ、碧くん」
『それで良し!』
本当に無事であることを確認して、一旦アグモン(黒)と共にその場を離れる。子どもたちはシェルモンに夢中で幸いにも気付かれることはなかった。
『っ、ぐ』
「碧!」
途端、左肩へ強烈な痛みが走る。先程はアドレナリンが流れていたおかげで痛みを感じることはなかったが、少し冷静になると忘れていた肩への負担がのしかかってきた。