名字固定【篠崎】
爆裂進化!グレイモン!
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「マーチングフィッシーズ!」
ゴマモンの声に意識が浮上し、気が付けばわたしたちは色鮮やかな魚たちの上に着地していた。崖から落ちたにも関わらずどこも傷めていない。この世界のお魚たちは随分と力持ちのようだ。
「碧!良かった、無事か」
『アグモン。ちょっと膝の上に乗って』
「え、どうして」
『お願い』
突然のわたしの必死なお願いにアグモン(黒)も渋々な感じで了承してくれた。膝の上にかかる少し重たいその体が今は安心材料である。わたしに背を向けて膝の上に乗ってくれたのを確認し、すぐに顔をアグモン(黒)の肩に埋めた。
『陸に着くまで、このまま』
「うん」
川の流れる音さえも煩わしい。視界を塞いでいる分、聴覚に集中されていて気が気じゃない。耳を、脳を刺激する水の音が今は酷く憎たらしい。ああ、早く克服したいなあ。
「碧さん。大丈夫ですよ」
魔法の言葉と声が鮮明に聞こえた。
「大丈夫です」
背中に温かみを感じる。きっと、光子郎が背中を合わせてくれているんだ。前はアグモン(黒)。後ろは光子郎。たったそれだけなのに不思議と鋭利になった感覚が音を立てて崩れ始めた。怖いものなんて、そこには何もなかった。
『情け、ないなあ』
「良いじゃありませんか、それで」
優しい光子郎の声にじんわりと涙が溢れてくる。アグモンの肩を濡らしてしまっているが、当のアグモンは気付かない振りをしてくれているらしい。それが余計に嬉しくて、陸に着くまでわたしは涙をこっそり流し続けた。
荒波を立てていた川も落ち着いた頃、わたしたちはお魚たちによって近くの陸へと運ばれた。途中、落石やクワガーモンが力尽きて崖から落ちてきたりと大変なことはあったものの一先ず脅威が去っていったということで皆肩の力を抜いた。
「やっと本当に助かったみたいだな」
皆の心の声を代弁するようにヤマトくんが疲れ切ったように呟いた。
「何だったんだ?今の魚は…」
「あれはね、マーチングフィッシーズさ」
「え?」
目の前にやって来たゴマモンに丈が聞き返す。
「おいら。魚を自由に操ることができるんだ!」
「そうか!お前のおかげだったのか。ありがとう、プカモン……じゃなくて」
得意気に話すゴマモンに丈はお礼を言おうとするが、そこで首を傾げた。ゴマモンは相も変わらずにこにことしている。
「えっと、その……」
「ゴマモンだよ!」
「ゴマモン?」
どうやら形を変えてからの名前を把握してなかったらしい。
「どうなっちゃったの、トコモンは?」
「今はパタモンだよ」
タケルくんもパタモンへ疑問を投げかけていた。
「ボクたち、進化したんだ!」
太一くんのアグモンが嬉しそうにそう言った。
「進化?何だ進化って」
「普通は、ある生物の種全体がより高度な種へ変化することですけど…」
太一くんの質問に答えたのは光子郎だった。流石というべきか、小学4年生の知識量ではないと関心せざるを得ない。しかしこの説明でも理解できない子はいるわけで。けれど光子郎以上の分かりやすい説明も思いつかないのでそっとしておいた。まあいずれ分かる日が来るだろうとお得意の楽観的な思考でこの疑問には蓋をしておくことにする。
「そうですがな!その進化!ワテはモチモンからからテントモンに!」
「ワタシはピョコモンからピヨモンに!」
「オレは、ツノモンからガブモンに」
「アタシは、タネモンからパルモンに!」
「そしてボクはコロモンからアグモンになったんだ」
「オレも同じく」
色は違うようだけれど名前は同じか。同じ名前の虫だけど少し色味が違う、的な感じであっているのかな。幼虫からサナギ、サナギから成虫のように成長するごとに名前の変わる種族なのは明白だが。
「お前たち、同じアグモンなのに色が違うんだな」
どうやら太一くんも思っていることは一緒のようだ。
「ボクたちにもよく分かんないや」
当のデジモンにも分からないなら、わたしたちにそれ以上分かるわけもない。あまり深く考えるのはやめようと思う。難しいことを考えるのは得意のではないので。
「あー、その。進化してもデジタルモンスターなのか?」
「そうだよ!太一と会えて良かったよ!」
至極嬉しそうにアグモンが答えた。他のデジモン達も恐らくそうなのだろう。わたしのアグモンもそう言っていたし。そこまでしてどうして会いたかったのかは彼らにしか分からないだろうが、いつかわたしもその気持ちを分かち合えたら良いな。
「ボクは、自分一人じゃ進化できなかったんだ。きっと太一と会えたおかげで進化できたんだよ」
「ふーん」
アグモンはあんなに嬉しそうだが太一くんは顔を顰めるばかり。あれは恐らく理解していないのだろう。気持ちはわかるけれど。
「ええっ、じゃあピヨモンも?」
「そう!」
空ちゃんが膝を屈めてピヨモンに問いかけると、ピヨモンも笑顔で答えた。
「皆そうなのかな?」
「そうですがな!」
「ミミのおかげよ!」
「おかげって言われてもねえ…」
意気揚々としているデジモン達に比べてミミちゃんは納得していないようだ。それもそのはず。進化して戦ったのは彼らデジモン達であって、わたしたちは何もしていないのだから。
『デジモンにしか分からない感覚なのかな』
「オレたちだって言うほど理解していないよ」
『あ、そうなんだ』
野生の勘、というやつだろうか。
ゴマモンの声に意識が浮上し、気が付けばわたしたちは色鮮やかな魚たちの上に着地していた。崖から落ちたにも関わらずどこも傷めていない。この世界のお魚たちは随分と力持ちのようだ。
「碧!良かった、無事か」
『アグモン。ちょっと膝の上に乗って』
「え、どうして」
『お願い』
突然のわたしの必死なお願いにアグモン(黒)も渋々な感じで了承してくれた。膝の上にかかる少し重たいその体が今は安心材料である。わたしに背を向けて膝の上に乗ってくれたのを確認し、すぐに顔をアグモン(黒)の肩に埋めた。
『陸に着くまで、このまま』
「うん」
川の流れる音さえも煩わしい。視界を塞いでいる分、聴覚に集中されていて気が気じゃない。耳を、脳を刺激する水の音が今は酷く憎たらしい。ああ、早く克服したいなあ。
「碧さん。大丈夫ですよ」
魔法の言葉と声が鮮明に聞こえた。
「大丈夫です」
背中に温かみを感じる。きっと、光子郎が背中を合わせてくれているんだ。前はアグモン(黒)。後ろは光子郎。たったそれだけなのに不思議と鋭利になった感覚が音を立てて崩れ始めた。怖いものなんて、そこには何もなかった。
『情け、ないなあ』
「良いじゃありませんか、それで」
優しい光子郎の声にじんわりと涙が溢れてくる。アグモンの肩を濡らしてしまっているが、当のアグモンは気付かない振りをしてくれているらしい。それが余計に嬉しくて、陸に着くまでわたしは涙をこっそり流し続けた。
荒波を立てていた川も落ち着いた頃、わたしたちはお魚たちによって近くの陸へと運ばれた。途中、落石やクワガーモンが力尽きて崖から落ちてきたりと大変なことはあったものの一先ず脅威が去っていったということで皆肩の力を抜いた。
「やっと本当に助かったみたいだな」
皆の心の声を代弁するようにヤマトくんが疲れ切ったように呟いた。
「何だったんだ?今の魚は…」
「あれはね、マーチングフィッシーズさ」
「え?」
目の前にやって来たゴマモンに丈が聞き返す。
「おいら。魚を自由に操ることができるんだ!」
「そうか!お前のおかげだったのか。ありがとう、プカモン……じゃなくて」
得意気に話すゴマモンに丈はお礼を言おうとするが、そこで首を傾げた。ゴマモンは相も変わらずにこにことしている。
「えっと、その……」
「ゴマモンだよ!」
「ゴマモン?」
どうやら形を変えてからの名前を把握してなかったらしい。
「どうなっちゃったの、トコモンは?」
「今はパタモンだよ」
タケルくんもパタモンへ疑問を投げかけていた。
「ボクたち、進化したんだ!」
太一くんのアグモンが嬉しそうにそう言った。
「進化?何だ進化って」
「普通は、ある生物の種全体がより高度な種へ変化することですけど…」
太一くんの質問に答えたのは光子郎だった。流石というべきか、小学4年生の知識量ではないと関心せざるを得ない。しかしこの説明でも理解できない子はいるわけで。けれど光子郎以上の分かりやすい説明も思いつかないのでそっとしておいた。まあいずれ分かる日が来るだろうとお得意の楽観的な思考でこの疑問には蓋をしておくことにする。
「そうですがな!その進化!ワテはモチモンからからテントモンに!」
「ワタシはピョコモンからピヨモンに!」
「オレは、ツノモンからガブモンに」
「アタシは、タネモンからパルモンに!」
「そしてボクはコロモンからアグモンになったんだ」
「オレも同じく」
色は違うようだけれど名前は同じか。同じ名前の虫だけど少し色味が違う、的な感じであっているのかな。幼虫からサナギ、サナギから成虫のように成長するごとに名前の変わる種族なのは明白だが。
「お前たち、同じアグモンなのに色が違うんだな」
どうやら太一くんも思っていることは一緒のようだ。
「ボクたちにもよく分かんないや」
当のデジモンにも分からないなら、わたしたちにそれ以上分かるわけもない。あまり深く考えるのはやめようと思う。難しいことを考えるのは得意のではないので。
「あー、その。進化してもデジタルモンスターなのか?」
「そうだよ!太一と会えて良かったよ!」
至極嬉しそうにアグモンが答えた。他のデジモン達も恐らくそうなのだろう。わたしのアグモンもそう言っていたし。そこまでしてどうして会いたかったのかは彼らにしか分からないだろうが、いつかわたしもその気持ちを分かち合えたら良いな。
「ボクは、自分一人じゃ進化できなかったんだ。きっと太一と会えたおかげで進化できたんだよ」
「ふーん」
アグモンはあんなに嬉しそうだが太一くんは顔を顰めるばかり。あれは恐らく理解していないのだろう。気持ちはわかるけれど。
「ええっ、じゃあピヨモンも?」
「そう!」
空ちゃんが膝を屈めてピヨモンに問いかけると、ピヨモンも笑顔で答えた。
「皆そうなのかな?」
「そうですがな!」
「ミミのおかげよ!」
「おかげって言われてもねえ…」
意気揚々としているデジモン達に比べてミミちゃんは納得していないようだ。それもそのはず。進化して戦ったのは彼らデジモン達であって、わたしたちは何もしていないのだから。
『デジモンにしか分からない感覚なのかな』
「オレたちだって言うほど理解していないよ」
『あ、そうなんだ』
野生の勘、というやつだろうか。