絵 第一章の最後のページのバージョン違い
27.押し寄せる真実(消したバージョン)
打ち寄せる波、砂浜 船
承太郎さん…
昨日の事が、ゆっくりと目覚める露伴の頭で反芻する。
心の痛み、苦しみ、それぞれがキスにすべて溶かされる。
風になびく、承太郎さんのコート
承太郎さんの真剣な眼差し
夜、船の明かりに照らされ…
そこまでで、露伴は、ホテルのベットで覚醒する。
承太郎さんも寝ている。
まだ夜中だった。
「、…っ」
いくら露伴の精神が壊れているといっても、自我がある今、船での出来事は、身悶えする思いだった。承太郎さんには、この僕が、淡い緑の目とやらに見えているのだろうか。
光の加減で色は多少明るくはなるが、淡いという表現は始めてだった。
そして承太郎さんは、露伴を抱き締めながら、露伴の背中にキスをして、寝ていた。
(っこ、こんな人なのか?承太郎さんは。いや落ち着け。僕は、まだ承太郎さんの事分かっていない。知り合って2週間もたっていない。)
そこまで、心を落ち着かせた所で、露伴はこれは起きなかった方がよかったと確信する。
身体が、密着している。
己のがたっている。
承太郎さんの寝息が、身体の熱が首や肩背中につたわる。
その熱を感じたとたん、快感が身体を登る
少し思わず身体をよじり、露伴は快感をにがそうとした。
「…つ」
「なにしてる…。よく感じろよ。露伴」
「!」
そう言いながら、承太郎さんは露伴の背中を噛む。
「っあ、あの承太郎さ、いっんっんんっ」
舌で強く背中の中心をなめられる。
と露伴は身体がびくっとなった。
「言っただろう。刻む、と。…俺の想いは伝えれたのかどうか知りたい。」
露伴は、肩で息をし、目だけ後ろを見る。
「お、おも、い」
「……分かっていない、な。」
「え、」
「…。」
「承太郎さん?」
「…。お前に今、話したいことがある。構わないなら、ついて来てほしい。」
「っ」
暗い部屋の中、承太郎さんは露伴に、言う。露伴は少し考える
話したい事とはなんだ。こんな夜中に…。
承太郎さんは露伴が考えるのを待った。
「露伴、俺はお前が好きだ。信じられないのなら、それでいい。だが、俺は少しでもお互いを理解し合いたいと、思っている。あんたはどうだ?」
す、好き…承太郎さんが僕を…。露伴は、考える。
何度も言われてきた。それでも、愛してる、は信じられなかった。もう一人の承太郎さんの心がそう言わせてるのではと。
けれど承太郎さんは、露伴の考えも聞いてくれている。
承太郎さんの中では、僕は対等なのか。
「ええ。分かりました。僕としてもそれは是非お願いしたい事です。いきましょう。」
そして露伴は風呂場の脱衣場に来ている。
「承太郎さん、ここで話すのですか?」
「…。ここだ。…露伴、これからする事、逐一感想聞かせてくれ。」
「それは、…どういう…? 」
「全て言葉にして俺に話せ。それならよく理解し、伝わる」
露伴は承太郎さんの説明を真剣に考えた。
「言葉に…して、話す…」
壁を背に露伴は、承太郎さんに抱き締められる。
背中や肩に触れられ、露伴は一気に、身体が熱くなる。快感が押し寄せる。
「…俺の手も、お前はどう感じている。言っとくが、…あんたが俺を少しでも理解するまで、やめるつもりはない。」
承太郎さんは、露伴のあごを上に向かせキスをする。
「…じょ、…んん」
「あんたを…、知りたい。」
承太郎さんはゆっくりひらいていく露伴の口に指を差し入れ、舌に押し付け撫でるように触れる。
指を4本口に入れられ、苦しくなる。
それでも、露伴は上回る快感が押さえきれない。
承太郎さんは、露伴の口から指を引き抜いた。
「…気持ちいい、です。」
息を継ぐ露伴に、余裕はない。とろっと、とろける目をしていた。だが本心を話す。
「これが良いのか。言いなりになっていても、構わないのか?」
「っ、…かまいません。僕は、あなたに答えただけですから。知りたいと思うあなたに。」
「だから…言いなりではない…と。露伴。それなら、もっとはっきりあんたが何されているかも、言葉にして話してくれ。自覚があるのか、お互いに思う事をはっきりさせたい。」
露伴は、必死に喘ぎ声を押さえようとする。
(こんなの、おかしくなる!)
露伴は目を硬く瞑り、必死で耐えながら、承太郎さんの言うとおりに今されてる事を、口にする。
「…露伴、誰の指かも話せ。」
「露伴。良い子だ愛してる。」
「く、」
露伴は恥ずかしくて、言葉に詰まるが、約束を違える筈がない。
承太郎さんの名前を呼ぶ、それだけでも官能の感じ方がひどくなる。しかし、言わないわけにはいかない。
「承太郎さんに、みつめ、られるだけで…」
承太郎さんは、露伴の手首を掴むと縛る。
腕に痛みが走る
「っ…!い、」
「良く分かった。これはあんたにとってご褒美だろう。」
「狂いな。」
「っ!!…んん、ぐっ」
露伴は鏡に映る自分と承太郎さんを見る。
「露伴、話せてないぜ、…じっくり、お前を犯してやるよ。」
「どうした?露伴。言えよ。何がお前を感じさせる。」
「じょ、うたろっさん」
「承太郎さん、」
「露伴、鏡、みろよ。喜んでる姿が映ってるんだぜ。おれはあんたの全てが欲しい。」
「み、見れませ、ん」
「俺を離さないな。あんたが好きなのは、こういう事じゃないのか。もっとひどくされたいのだろう?」
「ぼく、はそんなへんたいじゃ、承太郎、さ、ん」
「露伴、やっと目を開けたな。」
露伴は鏡にうつる自分と承太郎さんを見た。
「や、……っ」
「承太郎、さん、僕は、あなたを愛してます。」
承太郎さんは、動きを止め、露伴の背中や肩にふれる。露伴は身体をよじり、首を激しく横にふり、快感を逃がそうとする。しかし、熱が身体に溜まっていく。
露伴は触れてほしくて、狂う。
「露伴、全部見せろ。お前は心を解き放てる。お前が欲しいのは、俺の愛か、快感か…。」
「じょうたろうさん
承太郎さん、あなたがほしい」
「快感が欲しいのか。そんなに気持ちよくなりたいなら、これから毎日嫌がっても、お前を壊す。お前が快感を選んだんだ、ぜ。露伴。」
承太郎さんは、露伴に洗面台に手をつかせ
た。
露伴は手首の痛みさえ、感じていた。