もう壁はない、お前の心に何が見える


露伴は震えている。

己の目に貯まる涙は、壮絶な死を辿ったもう一人の自分の物だ。そのはずなのだが、今は、今の露伴の気持ちにも重なっている。
露伴の心が二重にぶれ自分で分からなくなる。
露伴の精神は今、ばらばらに壊れている。
「僕の心、僕にも分からないっ、ただこの想いだけ、あなたと死にたいと思うんです。」
承太郎さんの瞳は、
露伴を見つめている。
露伴の答えを聞き、少し瞳が見開かれ、やがて細められる。
承太郎さんは、激しくキスをする。
「ん、、…む」
露伴は上手く息が出来ず、声を漏らす。
求めあう。
互いが相手の舌を絡め舐め上げる、それだけが、今あるたった一つの真実のように感じあう。

ここにある互いの命の、限りに。
求め合い、二人分の唾液がこぼれ露伴の顎を伝う

承太郎さんは唇を離し、承太郎さんは掴んでいた露伴の手首を、ベットに縫いつけるようにして露伴をベットに押し倒す。
先に、承太郎さんが息が整い、
承太郎さんはその瞳に青を滲ませ、言った。

「その想い、打ちあけてくれ。俺に心を見せてくれ。露伴。」

露伴の心は、いまも、戦っていた。

もう一人の、露伴の感情にすべて塗り替えられそうになる。だが、承太郎さんに反応を返している何かがある。

「っ、さん、承太郎っさん、んん。」
承太郎さんは再び露伴に、キスを、して露伴をここに、留める。
承太郎さんの手は露伴の感じる場所を的確に、探り当てる。
露伴は、声を上げる
「ん、っあ、ぁっ」
官能の声に混じって、

聴こえる、
本当の自分の欠片を見つける。  
それは流されていく、ほんの、ほんの少しの、ひとひらの欠片。 
想う事。
その感情。
承太郎さんを、想い、熱くなる身体。

露伴の声は、凄くはっきりしてきた。
ぼんやりしか見えなかった自分の意識が浮上する。
露伴は、今、 ここに在る承太郎さんを感じている。
承太郎さんはその露伴の瞳の光に気が付いた。

その僅かな一瞬を逃さず、キスを深くする。
今なら、露伴の閉じた、心の深みへと届くはずだ。舌を吸い上げる。
「、っ!」
露伴の意識が、元へと、完全に、もどりつつある。人格が成されていく。
唇を離し、露伴の唇を噛む。

そのまま承太郎さんは優しく舐め、露伴の意識へと深く、誘導していく。
露伴はたまらず、身をよじり、声へと掴んだ感情を滲ませる。
露伴の心は、依然としてバラバラだった。
それでも元々の自我は取り戻したのを感じた承太郎さんは、目を細め、露伴の瞳を見つめ、言う。
「露伴…、戻ったな…。わずかな感情でも、生まれれば、それがお前の、心へと成長する。」

「お前を支配する苦しみ、その感情を、すべて聴き分けろ。感じて、苦しみの中を進め。」
露伴は息も詰まらせ、承太郎さんの瞳を見つめ、混乱する精神を落ち着かせていく。
胸にある、心、苦しみ。
それは
なんど考えても、同じ想いだった。
承太郎さんと死に、たい。

それでも露伴は心を押さえる。

信念が、そうさせていく。

「僕は、…消えます。邪魔にならないように…。それが、僕の、今の僕の、揺るぎない、想い、ですから。」

承太郎さんは、
露伴を強く、掻き抱く。
露伴は、承太郎さんの瞳の奥で、滲む青色が水色へと
揺れるのを見た。
承太郎さんが、感情に堪えてる…
露伴は、僅かに見える承太郎さんの感情を感じとった。
「分からないぜ」
承太郎さんが言う。
「露伴、"俺と死にたい"、それもお前の本当の気持ちなんだぜ。心の底からの感情からくる愛だ。お前が考える以上に、それは俺にとっても最上の幸せだ。望めよ、露伴。
この世界で感じるままに俺を見ろ。俺の幸せ、その瞳に刻んで知っておきな。辛くても、苦しくても、嫌でも、お前を愛していく。」
「っ承、太郎さん…、っ」
「もっと深く身体に刻むぜ。露伴。それでも分からないのなら永遠に俺がお前を壊す」
「な、っ!ん、んん、っ、ふ、…承太郎さ、ん」承太郎さんが、露伴の唇に深いキスをし、離さない。
露伴の身体が跳ね、息をする。
離れた時、承太郎さんは、露伴に言う。
「…そう言えるのは、…お前が俺の愛を知らないからだ。片方だけが幸せではいられない。お前が離れて生きるなら、俺は不幸になる。」
「!……っ」

露伴は、ベットから起き上がろうとした。しかし、承太郎さんに抱き込まれてるせいで身体が動かない。逃げれない、…
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