もう壁はない、お前の心に何が見える

「んあ、なに、が、いい、たいっ」
露伴はかろうじて立ち、睨みつけ言葉にする。
今も、露伴はパラレルワールドの影響を受け続けている。

「ふふふ。良いですよ、教えて差し上げます。僕の、スタンドの能力で、承太郎に言わせたんですよ。露伴先生の漫画を知っている風に思い込ませるんです。そして、綺麗なあの光る花を露伴先生に渡すように、僕が、命じました。承太郎本人もそろそろ自覚するでしょうねえ。この僕に、操られていた事を。あなたが目を覚ました時には、ね。」
「…!!」
操られている…?承太郎さんが…?
何を、ばかな。
露伴は、怒りの感情が膨れあがる。
だが、依然として別世界の露伴の感情、感覚も流れていて、現実の露伴はどうしようもなく力が入らない。
「お、まえっ、」
「おどろくのは早いですよ。露伴先生。異なる世界線での経験をねぇ、貴方は身を持って感じ、体験するんですよ。どうでした?気持ち良いでしょう?」男は笑いながら自分の口元に指を差して、露伴に問う。
露伴は、睨みつける。凄い形相だが男はそのまま平然と喋る。
「くく。ですが全ての世界線を見終われば、貴方は、気が狂うでしょうね。」
男は芝居するみたいに、抑揚をつけて話した。
「そして、正気にもどった承太郎は、貴方を助けようとするでしょうが、無駄な事です。
僕のスタンドは、スタンドに寄生する能力を持っていて、なおかつ強化する能力なんですよ。」そして笑い、にたにたと気持ち悪い笑みを貼り付ける。
「露伴先生僕は、ね。
誰の能力なら一番に、承太郎を殺せるかを、考えましたよ。亅
「僕は…貴方のスタンドに、寄生しました…。くっくっく、その顔、良いです、ねえ。貴方は、このスタンドを持っていて、よく、今まで世界を手にいれようとしなかったですね。」
露伴は聞くに耐えず、意思を強く持ち、スタンドを発動するが、目の前の男に吸収される。
「っな、に」
「ああ、僕に攻撃するのは無駄ですよ。僕のスタンドは、強化、するんですって言いましたよね。露伴先生、貴方のスタンドより、僕のほうが遥かに強いんだ。」
「さあ、邪魔な承太郎を殺し、僕は僕の世界をつくる。最初から、露伴先生と僕とのラブストーリーに塗り変えるんです。亅
露伴は眉を潜め、嫌悪する。だが何もかもこいつの言う通りだとしたら…。露伴は青ざめ始める。
男は、いっそう言いつのる。
「もう、分かったと思いますがねぇ。僕が承太郎をずったずったに殺す、そのために、露伴先生の心の中にあった片想いを僕は利用しましたぁ。正気にもどった、承太郎があなたを助けようとする中この、僕、が、承太郎を、殺します。」
そして、そいつは消え去る。 

露伴は力を抜かれたように、身動きも、抵抗もできず、あいつが消えて、今までにして来た記憶が、目の前に広がる。
パラレルワールドの自分に露伴は同じように起きたことを感じている。パラレルワールドの数だけ現実の露伴の心がばらばらにひっぱられる。
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