もう壁はない、お前の心に何が見える

体が熱い。その、理由を承太郎さんは知っている。
そして、承太郎さんは腕を掴み、垂れるケーキごと手を舐め、クリームを舐め取る。
「…」露伴はその光景から目が離せない。
息を飲み、もう片方の手でかろうじて口元を抑え、承太郎さんの凄まじい色気に心がとらわれる。
ああ、今僕は、とても幸福な経験をしている。紙に書き留めておきたい。だが、目もそらせず、ペンも握れない。ゆっくり指と指の間が舐め取られた。甘い刺激が身体を這い、もう露伴は堪能的な光景に声も無く立ちすくむ。
指のケーキが綺麗になり承太郎さんが手のひらを舐めた、ずっと感じていた刺激よりも強く露伴の身体に走る。
「っは、ああっ、…」
露伴は、口元を覆う手がだんだん下ってしまていて、思いのほか辺りに響いた。 そうしている間に、そのまま手首へと移り、承太郎さんの大きな厚い舌が手首のケーキを絡めとり、再び腕に、垂れたクリームを舐める。

甘い刺激の中、露伴は描きたくて仕方なかった。そうして、ゆっくり舐め取られ、クリームも無くなると、掴まれていた露伴の腕は下げられ、承太郎さんはもう片方の手で、露伴の腹へと指を這わす。クリームが、ひろがる。
ケーキはまだ露伴の服の上から腹、肩、背中と残っている。
承太郎さんはその手で露伴のもう片方の手首を掴むと、床に膝をつき、腹のクリームを舐めあげる。
露伴は手を封じられ、承太郎さんの口に絡め取られるクリームを熱を帯びた目で、追った。
力強い承太郎さんの舌を服越しに感じ、濡れそぼった服が張り付き、よけいに刺激が増す。露伴はもう、逃げ道がない事に気がついた。逃げるつもりもないのだが、もう承太郎さんから隠れる事もできない。
手を封じられ、ペンを握る事も、顔も、口元も隠せない。
今自分はどんな顔なのだろう。
「は、あ、」
承太郎さんは、腹を舐め終わり、熱い吐息を吐く露伴を後目に、立ちあがり、露伴の身体の向きをゆっくり変えた。
背中を向かせられ、手も封じられ、露伴は、背中を舐められる。クリームを食べてるだけなのだが、もう、愛撫、と言っても差し支えないだろう、それを目を硬く閉じる事で、耐えようとした。
「はん、あ、…あ、め、ですあっ」
露伴は手もすごく感じたが、背中も感じるとは。人の性感帯は人それぞれだと何か、本で読んだ。声、どころか、露伴は、甘い電流のようなものを感じ、身体をできる限りよじる。背もそり、もういつ、たっているそれが熱を吐き出してもおかしくない。
承太郎さんは丁寧に少しずつ舐め、背中にあまったクリームを指に取る。そして、首すじにも指を滑らせ、露伴の首すじをなめた。
露伴は、更に今まで以上に、感じる事になった。
承太郎さんの熱を感じる。舌が熱い。触れられない耳にも承太郎さんを感じる、露伴はびくびくと、身体をそらす。
クリームがなくなると、そのまま肩もクリームが舐め取られる。
もはや、露伴の脳に永続的に痺れが流れた。
まさか、肩まで弱いのか。その事実を甘い痺れという衝撃をもって知る事になろうとは。
「く、ふぅ、はっあ、あ、」
そして、承太郎さんは、手首を離し、今度は正面に周り、露伴の胸を舐め取る。舌が突起をなめあげる。
刺激はそんなに、なかったが、その分少し正気にもどった露伴は、承太郎さんと目が合った。
まるで見せつけてるように、承太郎さんは舌で露伴の突起をなぶる。
「ぁ、じょ、うたろうさ、あ、あ、」
「…そうだな。…つらいのか、ここも」
そして承太郎さんは露伴の服を少しずらし、直に立ち上がるそこにもクリームをぬり、反応を確かめるようになめあげる。 抵抗しないのかと問いかけられる。
露伴は、自分に何が起きてるのか知りたい。
こんな状態になっても。だから抵抗はしない。
「…言っておくが、露伴。身体の熱の意味は自分で気づくしか、道はない。お前の中にしか答えはない。」
そう言い、承太郎さんは、
「俺の、手で、いけ。」
と、露伴の耳の近くで囁やき、性をその厚い手で受け止めた。
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