もう壁はない、お前の心に何が見える

「…っあ…。」
露伴は、仕事部屋で、またしても自分自身を強く抱き締めていた。
もはや、身体の熱、承太郎さんへの執着、その他何か分からないもので、身体が熱すぎて、興奮が治まらない。
「承太郎さん…」
名を呼ぶ声に熱い息が混じる。
「ん…。あ、く」
うめき、頭を振り、身じろぎする。
机が胸に当たる。机の上の花にぶつけてしまった。トン…コロコロ
承太郎さんからもらった瓶に入った花は、暗い所では、緑にひかる
花はまだ光っている。

今日中に漫画を描きあげたい。
いつ光が無くなるか、分からない。
「はあ…はあ…」
露伴は危機迫る仕事の、顔になり、ピンクダークの少年を描き始めた。
新しく登場させるのはサーカスの団員と奇妙で奇っ怪な、光る花。
緑の光る花はリアルにここにあるため、露伴は凄い勢いで描き進める。
体の熱をすべて、漫画にぶつける。
これは承太郎さんも、読んでくれてる漫画なのだ。承太郎さんが、よ、読んで。
「っ、はあ、う」

そんな調子で深夜になっても、朝になっても、描き進めた。
ペンを握り、まめが、出来ても気にせず描き進めた。
そして、仕上がる。
承太郎さんのおかげで、生み出された作品は、渾身の出来だ。
露伴は、直ぐに承太郎さんを家に招待する手筈を整えた。
しかし、通話のボタンを押す前に、昨日のレストランでの事、山道の出来事を思いだして、一度電話をおいた。
「僕はどんな顔で承太郎さんに会えば良いのかわからないじゃないか。」
露伴は額を抑えた。
熱い吐息、身体の不明な熱、そして、興奮。
露伴は、本だなから、本を取る。
適当にページをめくる先はケーキの項目だった。ケーキでも、焼いて、お礼に承太郎さんに、一緒に食べますかと誘うのなら不自然じゃないな。と考え、自分を落ち着かせ、電話をする。
電話口に聞く承太郎さんの声に、露伴は、手をふるわせ、なんとか、会話した。
お礼をしたい旨と予定と食べれるケーキを聞き、材料を買い、作りはじめた。
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