第三章プロローグ
目の前の承太郎さんは冷たく、とても生きているとは思えない。露伴の心にまるで足元から冷えて、冷たい手が足首をつかみ引きずりこまれるような感覚がよぎる。
承太郎さんが殺された。露伴に寄生したスタンドが、力を増し世界を壊していく。
露伴にまとわりつく冷たい手は足から心臓へとたどり着く。
いまにも、承太郎さんを殺された憎悪、自嘲、嫌悪、殺意で全てを消滅させてしまいそうだ。
その感情に塗りつぶされる前に、露伴はペンを取る。リアリティのある漫画を、人に読まれる漫画を描く、ずっとそうしてきた。
身体に染みついたその動作を無心になってする。描き、漫画の原稿用紙に見えてきた、自分が留めたいと思うもの。露伴は、それが何かある事に気が付き、そこから必死に、抵抗した。
もがく。空をきる自分の手、インクで黒くなった手、それでも描く。露伴の前にあたたかなオレンジや黄色、光の固まりが見えていた。それは元は、2つでそれぞれの光は露伴の心と、もう一つは承太郎さんの心だった。
その心が生命エネルギーとなり、光となり、合体し、浮かびあがる、形あるもの。それが赤ん坊の形になったのだ。
だが露伴はそこで、ペンを離す、すべての負の感情が、露伴を覆って引きずりこんだのだ。
承太郎さんを失った感情、激情に、無表情、そしてすぐ赤ん坊の姿が歪む、一瞬でかき消えた。もうそこには、何もない。だが、露伴は、ふら、ふらと、また手を伸ばす。
暗い感情に押しつぶされながら、それでも露伴は、一つの熱い固まりのような熱が身体に灯り始めたのを感じた。いなくなったその子から溢れてきたと思えた。一息に闇の中、その子が生きる事の出来る世界を想い、描きだす。
絶望で手は、動かない。だが、それでも、その子が見えた場所で、確実に露伴は描いていく。息絶え絶えに描いた文は、いったい何をつかむためのものか。全ての世界が消える今、露伴は一つの"心を生む"。
露伴の意思と、承太郎さんの意思、混ざり合う心、それは、2人の心が生んだ赤ん坊に見えたのだ。
この心、この子が生きる世界を…露伴は、全てを掛けて、つむぎ出す。
承太郎さんが殺された。露伴に寄生したスタンドが、力を増し世界を壊していく。
露伴にまとわりつく冷たい手は足から心臓へとたどり着く。
いまにも、承太郎さんを殺された憎悪、自嘲、嫌悪、殺意で全てを消滅させてしまいそうだ。
その感情に塗りつぶされる前に、露伴はペンを取る。リアリティのある漫画を、人に読まれる漫画を描く、ずっとそうしてきた。
身体に染みついたその動作を無心になってする。描き、漫画の原稿用紙に見えてきた、自分が留めたいと思うもの。露伴は、それが何かある事に気が付き、そこから必死に、抵抗した。
もがく。空をきる自分の手、インクで黒くなった手、それでも描く。露伴の前にあたたかなオレンジや黄色、光の固まりが見えていた。それは元は、2つでそれぞれの光は露伴の心と、もう一つは承太郎さんの心だった。
その心が生命エネルギーとなり、光となり、合体し、浮かびあがる、形あるもの。それが赤ん坊の形になったのだ。
だが露伴はそこで、ペンを離す、すべての負の感情が、露伴を覆って引きずりこんだのだ。
承太郎さんを失った感情、激情に、無表情、そしてすぐ赤ん坊の姿が歪む、一瞬でかき消えた。もうそこには、何もない。だが、露伴は、ふら、ふらと、また手を伸ばす。
暗い感情に押しつぶされながら、それでも露伴は、一つの熱い固まりのような熱が身体に灯り始めたのを感じた。いなくなったその子から溢れてきたと思えた。一息に闇の中、その子が生きる事の出来る世界を想い、描きだす。
絶望で手は、動かない。だが、それでも、その子が見えた場所で、確実に露伴は描いていく。息絶え絶えに描いた文は、いったい何をつかむためのものか。全ての世界が消える今、露伴は一つの"心を生む"。
露伴の意思と、承太郎さんの意思、混ざり合う心、それは、2人の心が生んだ赤ん坊に見えたのだ。
この心、この子が生きる世界を…露伴は、全てを掛けて、つむぎ出す。