プロローグ
『都市伝説都市【箕神市】へ行こう!』。
このイベントの主催者は不明。参加も自由。応募締め切りは4月29日までだった。
今日が4月1日だから、まだ応募締切までには時間があった―が。
「・・・私にこれに参加しろ、と?」
少し眉間にしわを寄せながら後藤がそう聞くと、上村は「お前だけじゃねえ」と返事をした。
「俺も参加しろと言われてる。あとは新米刑事の那須賀もな」
「……彼方、ですか?」
上村の言葉に後藤がそう聞くと、上村は「そうだ」と頷いた。
その返事を聞き、後藤は1つ溜息を吐いた。
―『那須賀彼方 』。30歳独身。刑事になりたてのいわば新米刑事だ。
彼はかなりテンションが高く、誰にでも軽いノリで話せてしまうような、俗にいう『陽キャ』と言われるタイプの人間だ。
那須賀が『都市伝説』と呼ばれる類のものを信じるタイプかどうかはわからないが、少なくとも後藤にとっては苦手なタイプの人間らしい。
ただでさえ興味の無い内容のイベント。その上苦手な奴と参加しろと言われているのだから、やはり後藤もあまり乗り気はしないようだ。
「・・・で、参加の目的はやはり例の事件と関係が?」
後藤がそう聞くと、上村は「さあな」と少し考えるような仕草を見せた。
「直接的な関係があるかどうかは定かじゃないが、神隠し事件があった箕神市へ行って探索しようっていう内容のイベントだ。何が起こるかわからん」
「そこで、私たち警官が何人か参加した方が安全じゃないかと、そういうことですか?」
上村の言葉に後藤がそう聞くと、上村は「多分な」と頷き、続けて言った。
「ま、俺としては直接箕神市に行って、事件と関連性のありそうな情報や物を見つけることができればって考えてっからな。こういうイベントは、実のところ願ったり叶ったりだ」
上村のその言葉に、後藤は(確かに)と妙に納得してしまったらしい。
確かに直接事件があった現場に行き、神隠し事件と関連性のありそうな情報や物を入手できれば、神隠し事件について何かわかるかもしれない。
いや、それどころか犯人が誰なのかまで分かってしまうかもしれない。
「まあ、参加するかどうかは個人で決めろとの命令だ。俺は行くつもりだがお前はどうする?」
続けて言った上村の言葉に、後藤はまた1つ溜息を吐いた。
『参加してくれ』と言われているのに『参加するかどうかは個人で決めろ』と言う。
全く、上司と言うのは時に発言が矛盾するものだ。
この場合の『上司』とは上村のことではなく、その更に上の人なのだが。
そんなことを後藤が思っていると、横から声が聞こえてきた。
「課長! 俺は当然参加するっスよ!」
このイベントの主催者は不明。参加も自由。応募締め切りは4月29日までだった。
今日が4月1日だから、まだ応募締切までには時間があった―が。
「・・・私にこれに参加しろ、と?」
少し眉間にしわを寄せながら後藤がそう聞くと、上村は「お前だけじゃねえ」と返事をした。
「俺も参加しろと言われてる。あとは新米刑事の那須賀もな」
「……彼方、ですか?」
上村の言葉に後藤がそう聞くと、上村は「そうだ」と頷いた。
その返事を聞き、後藤は1つ溜息を吐いた。
―『
彼はかなりテンションが高く、誰にでも軽いノリで話せてしまうような、俗にいう『陽キャ』と言われるタイプの人間だ。
那須賀が『都市伝説』と呼ばれる類のものを信じるタイプかどうかはわからないが、少なくとも後藤にとっては苦手なタイプの人間らしい。
ただでさえ興味の無い内容のイベント。その上苦手な奴と参加しろと言われているのだから、やはり後藤もあまり乗り気はしないようだ。
「・・・で、参加の目的はやはり例の事件と関係が?」
後藤がそう聞くと、上村は「さあな」と少し考えるような仕草を見せた。
「直接的な関係があるかどうかは定かじゃないが、神隠し事件があった箕神市へ行って探索しようっていう内容のイベントだ。何が起こるかわからん」
「そこで、私たち警官が何人か参加した方が安全じゃないかと、そういうことですか?」
上村の言葉に後藤がそう聞くと、上村は「多分な」と頷き、続けて言った。
「ま、俺としては直接箕神市に行って、事件と関連性のありそうな情報や物を見つけることができればって考えてっからな。こういうイベントは、実のところ願ったり叶ったりだ」
上村のその言葉に、後藤は(確かに)と妙に納得してしまったらしい。
確かに直接事件があった現場に行き、神隠し事件と関連性のありそうな情報や物を入手できれば、神隠し事件について何かわかるかもしれない。
いや、それどころか犯人が誰なのかまで分かってしまうかもしれない。
「まあ、参加するかどうかは個人で決めろとの命令だ。俺は行くつもりだがお前はどうする?」
続けて言った上村の言葉に、後藤はまた1つ溜息を吐いた。
『参加してくれ』と言われているのに『参加するかどうかは個人で決めろ』と言う。
全く、上司と言うのは時に発言が矛盾するものだ。
この場合の『上司』とは上村のことではなく、その更に上の人なのだが。
そんなことを後藤が思っていると、横から声が聞こえてきた。
「課長! 俺は当然参加するっスよ!」