プロローグ
都市伝説都市『箕神市 』。
そこが人々の間で噂になり始めたのは、ほんの数週間前からだった。
箕神市に足を踏み入れた青年が、その後行方不明になった事件。―通称『箕神市神隠し事件』。
その事件が数週間前に起こってから、ネット上で話題になり、以降どこもかしこもその話題で盛り上がっていた。
それはここ、実笠町 の実笠中央警察署でも同じだった。
なぜ箕神市が『神隠し都市』などではなく『都市伝説都市』と呼ばれるようになったかは未だに判明していない。
そもそも箕神市は、数十年前に発生した謎の中毒ガスにより住民全員が死亡、その後閉鎖され地図からも消されてしまった都市である。
閉鎖される前はかなり繁栄していた都市の1つだったらしい。おそらく謎の中毒ガスが発生されていなければ、今でも誰もが箕神市に住みたがっているはずである。
―そんな箕神市が閉鎖されてからは、人々から『箕神市』という言葉は出なかったが、まさかこのような形で噂になるとは、亡くなった箕神市住人達も思わなかっただろう。
一説によると、『箕神市で実際に都市伝説が起こる』から箕神市が『都市伝説都市』と呼ばれるようになったらしいが、もしも箕神市の住民が1人でも生きていたとすれば、そんな噂自体に反論しそうなものである。
―実笠中央警察署の所轄刑事は、今回その『箕神市神隠し事件』の担当となっていた。
朝の上司からの説明を一通り聞いた後、1人の女性刑事が深いため息を吐いた。
彼女の名前は『後藤恵美理 』。
彼女はそもそも『都市伝説』といわれる類のものを一切信じないタイプの人間だった。当然、今回の『箕神市神隠し事件』も単なる『失踪事件』と考えているようだ。
「後藤」
後藤がデスクで箕神市神隠し事件の捜査資料を整理していると、その後ろから声をかけられた。
振り向くと、実笠中央警察署の刑事課長、『上村紳吾 』が立っていた。
彼の事をよく知らない人間からしたら、寧ろ彼の方が犯罪を起こしそうな、人相の悪い顔をしている。だが後藤にとってはその顔は見慣れており、後ろから話しかけれても動じなかった。
―そんな上村も『都市伝説都市』などというものを信じるタイプの人間ではない。
今回の事件も、何者かが裏で絡んでいると思っているようだ。
「なんでしょうか、課長?」
表情を変えずに後藤がそう聞くと、上村は1枚のチラシを後藤に手渡しながら言った。
「署長からの命令でな、このイベントに参加しろとのことだ」
後藤はそれを受け取り読んでみると、そこには、後藤や上村のようなタイプの人間なら絶対参加しないようなそんなイベントごとについて書かれていた。
「・・・『都市伝説都市【箕神市】へ行こう!』?」
後藤がチラシの上に書いてあった文字を声に出して読むと、上村が「おう」と頷いた。
そこが人々の間で噂になり始めたのは、ほんの数週間前からだった。
箕神市に足を踏み入れた青年が、その後行方不明になった事件。―通称『箕神市神隠し事件』。
その事件が数週間前に起こってから、ネット上で話題になり、以降どこもかしこもその話題で盛り上がっていた。
それはここ、
なぜ箕神市が『神隠し都市』などではなく『都市伝説都市』と呼ばれるようになったかは未だに判明していない。
そもそも箕神市は、数十年前に発生した謎の中毒ガスにより住民全員が死亡、その後閉鎖され地図からも消されてしまった都市である。
閉鎖される前はかなり繁栄していた都市の1つだったらしい。おそらく謎の中毒ガスが発生されていなければ、今でも誰もが箕神市に住みたがっているはずである。
―そんな箕神市が閉鎖されてからは、人々から『箕神市』という言葉は出なかったが、まさかこのような形で噂になるとは、亡くなった箕神市住人達も思わなかっただろう。
一説によると、『箕神市で実際に都市伝説が起こる』から箕神市が『都市伝説都市』と呼ばれるようになったらしいが、もしも箕神市の住民が1人でも生きていたとすれば、そんな噂自体に反論しそうなものである。
―実笠中央警察署の所轄刑事は、今回その『箕神市神隠し事件』の担当となっていた。
朝の上司からの説明を一通り聞いた後、1人の女性刑事が深いため息を吐いた。
彼女の名前は『
彼女はそもそも『都市伝説』といわれる類のものを一切信じないタイプの人間だった。当然、今回の『箕神市神隠し事件』も単なる『失踪事件』と考えているようだ。
「後藤」
後藤がデスクで箕神市神隠し事件の捜査資料を整理していると、その後ろから声をかけられた。
振り向くと、実笠中央警察署の刑事課長、『
彼の事をよく知らない人間からしたら、寧ろ彼の方が犯罪を起こしそうな、人相の悪い顔をしている。だが後藤にとってはその顔は見慣れており、後ろから話しかけれても動じなかった。
―そんな上村も『都市伝説都市』などというものを信じるタイプの人間ではない。
今回の事件も、何者かが裏で絡んでいると思っているようだ。
「なんでしょうか、課長?」
表情を変えずに後藤がそう聞くと、上村は1枚のチラシを後藤に手渡しながら言った。
「署長からの命令でな、このイベントに参加しろとのことだ」
後藤はそれを受け取り読んでみると、そこには、後藤や上村のようなタイプの人間なら絶対参加しないようなそんなイベントごとについて書かれていた。
「・・・『都市伝説都市【箕神市】へ行こう!』?」
後藤がチラシの上に書いてあった文字を声に出して読むと、上村が「おう」と頷いた。