短編
彼女は碧の瞳を開けると懐かしい景色が写っていた。彼女が知っていた町はここには無かった。その町は戻っていた。
ミッドガル、大都会がそこにはあった。彼女の知っているミッドガルはかなりボロボロになっていた。星、メテオにより大打撃を喰らったはずだが、と彼女は辺りを見渡す。
「すまない、今は何年だったか?」
自分の声に驚いてしまった。いつもとは少し違う高い声だった。
荷物を持ち運びながら店員は言った。
「今年はーー年だよ、さ、用がないなら行きな。」
それじゃあ、と彼女、クラウドは走り出す。が躓いて転びそうになる。自分は戻っていた。あの悲劇の前に戻っていたのだ。
この世界のクラウドは13だ。つまり、13の体に戻っていたのだった。白のワンピースとサンダルを履いていた俺は靴擦れに気がついた。慣れてしまったのかケアルと呟いた。この時の俺はマテリアがなければ唱えられない。クラウドは長年マテリアを装備していたせいか、マテリアなしでも、できるようになっていたのだ。
鼻で笑い、立ち上がるとクラウドの靴擦れのところが治っていく。まさかと思い、試しに店員にストップを唱えてしまった。すると、店員の口が開いたまま動かない。クラウドはそのまま能力も継いでしまったようだ。
少し歩いたあと、上を見上げると神羅が見える。
悲劇、あの時の事が起きなければ…俺はそれを変えられる?そんなこと出来るわけがない。そんな力、俺にはない。でも、
と長く考えた末、クラウドは見守ることにしたのだ。遠くから、山の上から見つめることにしたのだった。もしなにかあっても変えられなくたって見るだけなら…
と自分を自分で笑ってしまった。
「魔女が今日現れたらしいわ。」
いつからか、俺は魔女と呼ばれていた。マテリア無しで魔法を唱えられるのはそれは恐れられて当然だろう。今日はチョコボのご飯のために山から降りてきたのだ。山を降りると近くには小さな村がある。
俺は足音を殺して、再び山を登るのだった。
「本当にここなんだろうな。」
銀髪が腕を組んだ。続いて赤髪が鼻で笑う。
「こんな山奥に住んでるやつがいるか。」
(あれは、セフィロス!?それにジェネシスまで?)
何故いるのか解らぬまま、そのまま、動きを止めていると、チョコボが駆け寄ってくる。このままではまずい、クラウドはチョコボに素早く乗り、山を降りていった。やはりチョコボは足に爪があるため、地面に力を入れないと駄目なわけで足音は隠せなかった。
「聞いたか?今のはチョコボの足音だ。」
「逃げられたか、部屋に置くだけするか。」
急に神羅から消えた一般兵、クラウドはいま期待の新人として探されていた。なぜ、それだけで探されるのかが解らないが、ザックスの事もあり、調査することになったのだ。あの金髪の事だからすぐに情報がくるはずだが。
「しかし、なぜあのちびを探すんだ?」
「前のクラウドの調査の時、あいつの態度が変だった。」
「あいつねぇ。」とジェネシスは鼻で笑う。
「…なにかあるには変わりないか。」
行くぞとセフィロスは手をあげた。ジェネシスはめんどくさそうにセフィロスの方へ向かい小さな小屋をもう一度見て踵を返した。
クエと羽を動かしながら鳴くチョコボにクラウドはふぅ、とため息をした。
「やっと行ったか…」
しかしなぜセフィロス達がここに来るのだろうか。神羅関係だと知っているが、俺はただの一般兵であり逃げても神羅はどうでもいいと思うし、英雄セフィロスが来るまでもないだろう。仮に、俺が何か力があったのなら。
まさか、俺は戻る前から魔法を使えていたのだろうか。だとしたら即ポッド行きだ。ということは静かに進めている、プロジェクトならどうだろう。俺が戻る前からジェノバ細胞があったとしたら理解できる。よく、セフィロスの前で大丈夫だったな、と自分を褒めた。
このままだとまた来るだろう。
「…なら、今のうちに」
あの元凶を消すべきか。
クエ!とチョコボが頬擦りしてくる。
「あぁごめん、ご飯まだだったね」
ちょっと待ってろ、とチョコボから降りて野菜を急いで洗いに行く。戻ってくると、チョコボが小屋の方を見て何かを睨み付けていた。
「どうした?……あいつら」
サンダーでカメラを止めた。
「……む」
セフィロスは椅子から立ち上がり、缶コーヒーを開ける。
「ばれたか?早いな。」
ジェネシスは手を伸ばし、セフィロスはその手に缶コーヒーを投げた。
「今のはどうだった?」
「あの声はクラウドだろう。魔法の発動が早すぎるやはり…」
セフィロスは眉間に皺を寄せながら考え込んだ。
一番気になるのは彼女が「あいつら」と言った事が大きい。あいつらと言うことはもちろん俺の事も知っているわけで、セフィロスもあの声はクラウドだ。と言っている。魔女はクラウドだろう。
「魔女は何でもできそうだな。」
そのあと誰も口を開かなかった。
月の光が川に注ぎ、美しく輝いている。クラウドは足を入れて風に当たる。どこからか虫の鳴き声が聞こえて心地がよい。手に痒い感覚がくる。子チョコボが此方に来てしまったようだ。ここで待っていれば親もくるだろう。
「魔女だって、笑えるな」
子チョコボに話かけるとクエ?と高い鳴き声をする。
「明日、早朝に行くとするか」
子チョコボを撫でると気持ち良さそうに目を細めた。その様子に微笑んだ。
トストスと走る音が聞こえる、親チョコボが来たのだろう。子チョコボを気を付けてな、と言いながら優しく降ろし、手を振った。
よし、と足を戻し布で足を拭く。
「魔女は ホウキ があると言うが」
目を見開き、振り替えると
「…なにかご用で」
セフィロスが笑いながら俺を見ていた。
「聞きたいことが沢山あってな」
さっきまでの月が奇妙に見える。俺は警戒しながら張れないようにリフレクを唱えた。
メテオを唱えた英雄。ジェノバの影響だからといって俺はあいつを許してはいない。母さんやザックス、エアリスまで奪ったあいつに。明日は必ずあいつを消してやる。
全く違う別人だ。
ザックスに紹介されたあいつはまだ新人だった。試しにどうだ?とザックスがふざければ、クラウドは無理だよザックスにもボロボロなのに、とあいつは首を振った。小さいチョコボは失礼します、と逃げ出してしまった。ザックスは苦笑いしながら
「あいつお前が憧れなんだぜ?少しは優しくしてくれよな?俺に免じて。」と言った。
それだけだった。がしかし会ってみて気がついた。ここ数ヵ月たっただけだが、体つきが変わっていた。小さいのは変わりないが、明らかに放つ感じが違う。
「お前はクラウドだな?」
「…だから」
彼女は睨みながら一歩下がっていく。
「じゃあ話は早いな。なぜ消えた」
彼女が動くごとに俺は一歩一歩向かった。そして彼女の殺気が広がる。俺を殺しそうな目で見てくる。
「もう、嫌なんだ絶対許してやんないから」
彼女そのままバハムートを呼び出し、飛び乗った。逃すまいとストップを唱えるとリフレクがしてあり自分に跳ね返る。俺にはそんなもの効かないが何時リフレクをしたのだろうか。ますます興味深くなるばかりだ。ニヤリと笑ってしまった。
ミッドガル、大都会がそこにはあった。彼女の知っているミッドガルはかなりボロボロになっていた。星、メテオにより大打撃を喰らったはずだが、と彼女は辺りを見渡す。
「すまない、今は何年だったか?」
自分の声に驚いてしまった。いつもとは少し違う高い声だった。
荷物を持ち運びながら店員は言った。
「今年はーー年だよ、さ、用がないなら行きな。」
それじゃあ、と彼女、クラウドは走り出す。が躓いて転びそうになる。自分は戻っていた。あの悲劇の前に戻っていたのだ。
この世界のクラウドは13だ。つまり、13の体に戻っていたのだった。白のワンピースとサンダルを履いていた俺は靴擦れに気がついた。慣れてしまったのかケアルと呟いた。この時の俺はマテリアがなければ唱えられない。クラウドは長年マテリアを装備していたせいか、マテリアなしでも、できるようになっていたのだ。
鼻で笑い、立ち上がるとクラウドの靴擦れのところが治っていく。まさかと思い、試しに店員にストップを唱えてしまった。すると、店員の口が開いたまま動かない。クラウドはそのまま能力も継いでしまったようだ。
少し歩いたあと、上を見上げると神羅が見える。
悲劇、あの時の事が起きなければ…俺はそれを変えられる?そんなこと出来るわけがない。そんな力、俺にはない。でも、
と長く考えた末、クラウドは見守ることにしたのだ。遠くから、山の上から見つめることにしたのだった。もしなにかあっても変えられなくたって見るだけなら…
と自分を自分で笑ってしまった。
「魔女が今日現れたらしいわ。」
いつからか、俺は魔女と呼ばれていた。マテリア無しで魔法を唱えられるのはそれは恐れられて当然だろう。今日はチョコボのご飯のために山から降りてきたのだ。山を降りると近くには小さな村がある。
俺は足音を殺して、再び山を登るのだった。
「本当にここなんだろうな。」
銀髪が腕を組んだ。続いて赤髪が鼻で笑う。
「こんな山奥に住んでるやつがいるか。」
(あれは、セフィロス!?それにジェネシスまで?)
何故いるのか解らぬまま、そのまま、動きを止めていると、チョコボが駆け寄ってくる。このままではまずい、クラウドはチョコボに素早く乗り、山を降りていった。やはりチョコボは足に爪があるため、地面に力を入れないと駄目なわけで足音は隠せなかった。
「聞いたか?今のはチョコボの足音だ。」
「逃げられたか、部屋に置くだけするか。」
急に神羅から消えた一般兵、クラウドはいま期待の新人として探されていた。なぜ、それだけで探されるのかが解らないが、ザックスの事もあり、調査することになったのだ。あの金髪の事だからすぐに情報がくるはずだが。
「しかし、なぜあのちびを探すんだ?」
「前のクラウドの調査の時、あいつの態度が変だった。」
「あいつねぇ。」とジェネシスは鼻で笑う。
「…なにかあるには変わりないか。」
行くぞとセフィロスは手をあげた。ジェネシスはめんどくさそうにセフィロスの方へ向かい小さな小屋をもう一度見て踵を返した。
クエと羽を動かしながら鳴くチョコボにクラウドはふぅ、とため息をした。
「やっと行ったか…」
しかしなぜセフィロス達がここに来るのだろうか。神羅関係だと知っているが、俺はただの一般兵であり逃げても神羅はどうでもいいと思うし、英雄セフィロスが来るまでもないだろう。仮に、俺が何か力があったのなら。
まさか、俺は戻る前から魔法を使えていたのだろうか。だとしたら即ポッド行きだ。ということは静かに進めている、プロジェクトならどうだろう。俺が戻る前からジェノバ細胞があったとしたら理解できる。よく、セフィロスの前で大丈夫だったな、と自分を褒めた。
このままだとまた来るだろう。
「…なら、今のうちに」
あの元凶を消すべきか。
クエ!とチョコボが頬擦りしてくる。
「あぁごめん、ご飯まだだったね」
ちょっと待ってろ、とチョコボから降りて野菜を急いで洗いに行く。戻ってくると、チョコボが小屋の方を見て何かを睨み付けていた。
「どうした?……あいつら」
サンダーでカメラを止めた。
「……む」
セフィロスは椅子から立ち上がり、缶コーヒーを開ける。
「ばれたか?早いな。」
ジェネシスは手を伸ばし、セフィロスはその手に缶コーヒーを投げた。
「今のはどうだった?」
「あの声はクラウドだろう。魔法の発動が早すぎるやはり…」
セフィロスは眉間に皺を寄せながら考え込んだ。
一番気になるのは彼女が「あいつら」と言った事が大きい。あいつらと言うことはもちろん俺の事も知っているわけで、セフィロスもあの声はクラウドだ。と言っている。魔女はクラウドだろう。
「魔女は何でもできそうだな。」
そのあと誰も口を開かなかった。
月の光が川に注ぎ、美しく輝いている。クラウドは足を入れて風に当たる。どこからか虫の鳴き声が聞こえて心地がよい。手に痒い感覚がくる。子チョコボが此方に来てしまったようだ。ここで待っていれば親もくるだろう。
「魔女だって、笑えるな」
子チョコボに話かけるとクエ?と高い鳴き声をする。
「明日、早朝に行くとするか」
子チョコボを撫でると気持ち良さそうに目を細めた。その様子に微笑んだ。
トストスと走る音が聞こえる、親チョコボが来たのだろう。子チョコボを気を付けてな、と言いながら優しく降ろし、手を振った。
よし、と足を戻し布で足を拭く。
「魔女は ホウキ があると言うが」
目を見開き、振り替えると
「…なにかご用で」
セフィロスが笑いながら俺を見ていた。
「聞きたいことが沢山あってな」
さっきまでの月が奇妙に見える。俺は警戒しながら張れないようにリフレクを唱えた。
メテオを唱えた英雄。ジェノバの影響だからといって俺はあいつを許してはいない。母さんやザックス、エアリスまで奪ったあいつに。明日は必ずあいつを消してやる。
全く違う別人だ。
ザックスに紹介されたあいつはまだ新人だった。試しにどうだ?とザックスがふざければ、クラウドは無理だよザックスにもボロボロなのに、とあいつは首を振った。小さいチョコボは失礼します、と逃げ出してしまった。ザックスは苦笑いしながら
「あいつお前が憧れなんだぜ?少しは優しくしてくれよな?俺に免じて。」と言った。
それだけだった。がしかし会ってみて気がついた。ここ数ヵ月たっただけだが、体つきが変わっていた。小さいのは変わりないが、明らかに放つ感じが違う。
「お前はクラウドだな?」
「…だから」
彼女は睨みながら一歩下がっていく。
「じゃあ話は早いな。なぜ消えた」
彼女が動くごとに俺は一歩一歩向かった。そして彼女の殺気が広がる。俺を殺しそうな目で見てくる。
「もう、嫌なんだ絶対許してやんないから」
彼女そのままバハムートを呼び出し、飛び乗った。逃すまいとストップを唱えるとリフレクがしてあり自分に跳ね返る。俺にはそんなもの効かないが何時リフレクをしたのだろうか。ますます興味深くなるばかりだ。ニヤリと笑ってしまった。
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