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第1話『星を見付けた日』

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 アカネイア大陸南東に在り、建国から千年の歴史を持つイーリス聖王国。
 古の英雄王マルスの血を継ぎ神竜ナーガの牙である神剣ファルシオンを振るってかつて世界を滅ぼさんとした邪竜ギムレーを討ったとされる初代聖王により建国されたその国は、今は当代聖王であるエメリナにより統治されていた。

 十五年程前に隣国のペレジアとの間に起きた戦争により生まれた傷は深く、今も尚根深い禍根を両国に残している。
 戦後に拡大し過ぎた軍を解体・放棄したイーリスは戦後復興に全力を尽くして豊かな平和を手に入れたが、守る為の剣すらをも喪った薄氷の上の平穏が破られるのは最早時間の問題でもあった。

 激動の時代を迎えつつあるのを誰もが皆何処かで感じながらも、それでも今日の平穏が明日も続くのだと信じ、人々は皆その日を生きている。


 そんな世界の中で、平和を愛し国に安定をもたらそうと苦心する姉の力になりたくて。
 王弟であるクロムは、微力ながらも国を守る為の力を得ようと、自ら自警団を組織しそれを率いていた。


 そして、自警団の仕事も軌道に乗り始めたその最中に。
 クロムは、輝く星に出逢ったのだった。




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