第四話・A『世界と貴方を秤に掛けて』
◆◆◆◆◆
ルキナとロビンが巡り逢ってから、もうそろそろ一年が過ぎようとしていた。
季節の移り変わりなどとうに喪われた世界ではあるけれども、それでも感慨深いものはある。
ロビンは、あの夜に交わした誓いを守る様に。
絶えずルキナの傍らに在り続け、ルキナの軍師として……ルキナの恋人として、常にルキナを支え続けてくれていた。
まだ周囲には二人の関係を秘密にしているけれども。
二人きりの時のロビンは、ルキナ以外には決して誰にも見せない様な笑顔を向け、そしてルキナを何処までも大切にしてくれる。
恋人になる前ですらあれ程までに優しかったのに、あれでもまだロビンは自身を抑えていた様だ。
ルキナの身も心も何もかもを解きほぐし、心の奥底の誰にも見えない場所に深く刻まれた傷すらをも、ロビンはゆっくりと癒す様に埋めてしまった。
そうやってルキナの心をゆっくりと癒しながら、心の距離は縮めていったものの。
ロビンは恋人になってからも決して無体等は働かず、丁重に壊れ物を扱うかの様に……決して一線を越えようとはしなかった。
ルキナがそんなロビンと真実身も心も結ばれたのは、実はつい最近の事である。
あまりにもルキナを丁重に……大事にし過ぎる彼に焦れて、ついにルキナから仕掛けたのがほんの数日前の事だった。
一応はルキナも王族として『その手の知識』だけはあったのだが、何分初めての事で。
でも、そんなルキナを気遣ってか、ロビンは終始優しく、常にルキナの事を慮っていた。
ロビンは、どんな時にもルキナの事ばかりを優先し、ルキナを傷付け無いようにしてくれる。
それは間違いなく彼から大事にされているからであり、それ自体は心から嬉しい事ではあるのだけど。
ルキナは、ロビンになら傷付けられても良いのだ。
きっと、ロビンがルキナを愛したが故に付いた傷痕ならば。
それすらもルキナにとっては愛しいものになるだろうから。
……まあ、そんな事をロビンに言ったとしても、彼は「僕は貴女を傷付けたくはない」の一点張りなのだろうけれども。
そんな少しばかり頑固で、でもどうしようも無い程に優しく愛しい恋人の事を想いながら、ルキナは今日も共に戦場に立ち続ける。
……決して『平和』ではないけれども。
でも、確かに『幸せ』なこんな時間が、ずっとずっと続くのだろうと、続けば良いと……。
この時のルキナはそう心の何処かで願っていた。
◇◇◇◇◇
ルキナとロビンが巡り逢ってから、もうそろそろ一年が過ぎようとしていた。
季節の移り変わりなどとうに喪われた世界ではあるけれども、それでも感慨深いものはある。
ロビンは、あの夜に交わした誓いを守る様に。
絶えずルキナの傍らに在り続け、ルキナの軍師として……ルキナの恋人として、常にルキナを支え続けてくれていた。
まだ周囲には二人の関係を秘密にしているけれども。
二人きりの時のロビンは、ルキナ以外には決して誰にも見せない様な笑顔を向け、そしてルキナを何処までも大切にしてくれる。
恋人になる前ですらあれ程までに優しかったのに、あれでもまだロビンは自身を抑えていた様だ。
ルキナの身も心も何もかもを解きほぐし、心の奥底の誰にも見えない場所に深く刻まれた傷すらをも、ロビンはゆっくりと癒す様に埋めてしまった。
そうやってルキナの心をゆっくりと癒しながら、心の距離は縮めていったものの。
ロビンは恋人になってからも決して無体等は働かず、丁重に壊れ物を扱うかの様に……決して一線を越えようとはしなかった。
ルキナがそんなロビンと真実身も心も結ばれたのは、実はつい最近の事である。
あまりにもルキナを丁重に……大事にし過ぎる彼に焦れて、ついにルキナから仕掛けたのがほんの数日前の事だった。
一応はルキナも王族として『その手の知識』だけはあったのだが、何分初めての事で。
でも、そんなルキナを気遣ってか、ロビンは終始優しく、常にルキナの事を慮っていた。
ロビンは、どんな時にもルキナの事ばかりを優先し、ルキナを傷付け無いようにしてくれる。
それは間違いなく彼から大事にされているからであり、それ自体は心から嬉しい事ではあるのだけど。
ルキナは、ロビンになら傷付けられても良いのだ。
きっと、ロビンがルキナを愛したが故に付いた傷痕ならば。
それすらもルキナにとっては愛しいものになるだろうから。
……まあ、そんな事をロビンに言ったとしても、彼は「僕は貴女を傷付けたくはない」の一点張りなのだろうけれども。
そんな少しばかり頑固で、でもどうしようも無い程に優しく愛しい恋人の事を想いながら、ルキナは今日も共に戦場に立ち続ける。
……決して『平和』ではないけれども。
でも、確かに『幸せ』なこんな時間が、ずっとずっと続くのだろうと、続けば良いと……。
この時のルキナはそう心の何処かで願っていた。
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