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END【掛け違えた道の先で、君と】

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 仲間達が宝玉と台座を携えてイーリスに帰還した、との報告を受けたのは、ルキナが王都に程近い場所にまで出没した屍兵を討伐していたその時であった。

 近頃は、一時鳴りを潜めているかの様にその活動が緩やかであった屍兵の襲撃がより活発になり、王都の近くまでもが侵攻を受ける様になっている。
 最後の砦であるイーリス城が落ちれば、最早世界の滅びは決定的なモノとなり、人類も絶滅を免れ得ない。
 だが、その《終焉の時》は刻一刻と迫ってきていて。
 ルキナは時々、自分達の戦いは滅びるまでの時間の先延ばしに過ぎず、人々の苦しみを無駄に延ばしているだけなのではとすら思ってしまう。

 勿論、その様な弱音をルキナが誰かに溢せる筈も無い。
 ルキナに求められているのは、最後の瞬間まで『希望』として絶望に抗う事だけだ。

 だからこそ仲間達の帰還が、そして完成した『炎の紋章』を以て『覚醒の儀』を遂げれば、この絶望に抗う力を得られると言う……確かにこの手に届いた『希望』が。
 何よりも嬉しかった。




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