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END【終焉の果て】

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 斯くして世界は滅びを迎えた。

 神竜とそれを継ぎ得る者達は一人残らず殺され、世界は『希望』を喪ったままに絶望へと沈んだ。
 最早、邪竜とその眷族達の他には、死に絶えた大地に辛うじてしがみつく様に生かされた僅かな人類が残るのみである。

 邪竜の気紛れによって絶滅こそ免れてはいるものの、文明も文化もとうに失った人々には、希望も何も無い、その日その日を相争う様にして生きる他ない生き地獄の様な時間が永遠に続くのであろう。

 僅かに生き残った人々の記憶からは、かつて神竜の牙を振るう人類最後の『希望』として人々を率い、絶望に抗い続けていた一人の王女の存在は次第に薄れていった。
 最早彼の王女に『希望』を託す者など居らず、人々は邪竜に恭順し隷属する事で辛うじて生き延びるばかりである。

 人の世は終焉を迎え、最早人類が文明を築いていた痕跡すら碌に残されてはいない。
 怨嗟の果てに人が望んだ、終焉はここに成った。
 世界を滅ぼしただけでは無く、幾多の異界すらもその手中に収めた邪竜には、何よりも……それこそ自身の命よりも大切にしている眷族が居ると言う。

 如何なる時如何なる場所であっても片時もその傍を離れず幾度でも愛を告げる邪竜を、その眷族がどう想っていたのかは、彼女と同じく邪竜の眷族である他の眷族達ですら分かり様も無い事であった。

 邪竜と、彼が愛した眷族は、時の最果てまでもを共に過ごしたと言われているが……。
 その真偽は定かでは無い。


 この滅び去った世界では。
 時の最果てまで至る彼らのその結末を、神であろうとも観測出来ないのだから。








【終焉の果て:END】



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