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狂いし果てに

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 最後に覚えているのは、身の内を撃ち砕いた雷撃によって生きながらに臓腑が焼け落ちていくその激痛。
 自身の生命が零れ落ちていくその悍ましく恐ろしい感覚に震えながら、それでも。
 目の前で茫然と自分の手とクロムとを見詰めながら震えている……半身の様に大切な彼女に、お前の所為では無いのだと、そう伝えてやりたくて。
 クロムは、最早吐息にも満たないような、途切れ途切れに震える声で、必死に言葉を紡いだ。

 そう、こうなってしまったのは、彼女の所為では、無かった。
 こうなってしまう事を……敵に操られクロムを害してしまう可能性を恐れてクロムから離れようとしていた彼女を、無理に引き留めてしまったのはクロム自身だ。
 俺達には絆がある、運命は変えられる、俺たちならば大丈夫だ、と。
 そんな言葉で、彼女を縛ってしまったのは、クロムだ。
 ルフレは、こうなる事をずっと恐れていたと言うのに……。
 だからこれは、ルフレの所為ではない、それは断じて違う。
 彼女を操ったファウダーの所為であるし、そして彼女を無理にこの場まで連れてきてしまったクロムの所為である。

 だからクロムは、絶望に沈むルフレを、救い上げたくて、それで━━




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