聖なる夜の子供達に
◇◇◇◇
冬祭りの期間だけの料理を“家族”皆で楽しみ、サンタクロースを待ちきれない様にソワソワする小さな“ルキナ”と一緒に本を読んだりしてルキナとマークは時間を過ごしていた。
何時かの遠いあの日々のルキナの様に、サンタクロースに会いたいのだと張り切っていた小さな“ルキナ”であったが。
夜が少しずつ深まる中、眠りの波が寄せては返すのかうつらうつらとしてきてしまう。
そんな小さな“ルキナ”をベッドに寝かせると、直ぐ様眠りの淵に誘われ、安らかな寝息を立て始めた。
恐らくこの様子では、明日の朝まではちょっとやそっとでは起きないだろう。
幸せそうに眠る小さな“ルキナ”の頭を優しく撫でてから、ルキナとマークは小さな“ルキナ”の部屋を後にするのであった。
「サンタクロース、か。
僕も昔は会いたがっていたんでしょうか」
小さな“ルキナ”の様子を思い返しながら、マークは優しく微笑みながらそう溢す。
ルキナは、そんなマークに勿論だと頷いた。
「ええ、私と二人で、サンタクロースを捕まえようとしていた事もあったんですよ。
罠を仕掛けてみたりとか、色々してみたのですが。
結局、一度も会えず終いでした」
マークと二人で、ああでもないこうでもないと頭を捻りながら、『サンタクロース捕獲作戦』を練っていた遠いあの日々は、今でも鮮明に思い出せる。
どんな罠を仕掛けても、引っ掛かった形跡すらも無く。
だけど翌朝には必ず枕元に贈り物が置かれているのだ。
その度に、作戦が失敗した悔しさと、それ以上の喜びを感じていたモノだった。
……何時か、小さな“ルキナ”も。
小さな“マーク”と一緒に、そうやってサンタクロースを捕まえようとするのだろうか。
そんな幸せで楽しい日々を重ねるのだろうか。
マークには、遠い未来で過ごしていた日々の記憶が無い。
『幸せ』だった幼いあの日々も、そして絶望に沈んだ世界での辛く苦しい日々も。
平等に、マークは喪ってしまった。
それは、ある意味では悲劇でもあり救いでもあるのだろう。
マークの記憶喪失を知った当初は、ルキナは強い衝撃を受けたのであったが。
心の整理が付いてからは、それで良かったのかもしれないとすら思う。
記憶を喪おうと何だろうと、マークがルキナの大切な弟である事には変わり無く。
内面的な部分も、記憶を喪う前とそう大きくは変わらなかったからだ。
喪ったモノを嘆くよりは、新しく積み上げる方が余程建設的である。
ルキナの言葉に、「そうなんですね」とマークは嬉しそうに返す。
「小さかった頃の事とは言え、母さんみたいな軍師を志していたであろう僕の策を破るとは……。
サンタクロースは相当な策士だったんでしょうね!
是非とも直接お会いしてみたかったです」
何だかそんなズレた感想を述べるマークに、昔と変わらないなと微笑ましく思う。
あの頃も、何時も作戦が失敗したは次こそはと燃えていたのであった。
そんな二人を、両親が優しく見守ってくれていた事も、ルキナは覚えている。
「さて、私達もそろそろ眠りましょうか……」
何だか今夜は、幸せな夢を見られる気がするのであった。
◇◇◇◇
冬祭りの期間だけの料理を“家族”皆で楽しみ、サンタクロースを待ちきれない様にソワソワする小さな“ルキナ”と一緒に本を読んだりしてルキナとマークは時間を過ごしていた。
何時かの遠いあの日々のルキナの様に、サンタクロースに会いたいのだと張り切っていた小さな“ルキナ”であったが。
夜が少しずつ深まる中、眠りの波が寄せては返すのかうつらうつらとしてきてしまう。
そんな小さな“ルキナ”をベッドに寝かせると、直ぐ様眠りの淵に誘われ、安らかな寝息を立て始めた。
恐らくこの様子では、明日の朝まではちょっとやそっとでは起きないだろう。
幸せそうに眠る小さな“ルキナ”の頭を優しく撫でてから、ルキナとマークは小さな“ルキナ”の部屋を後にするのであった。
「サンタクロース、か。
僕も昔は会いたがっていたんでしょうか」
小さな“ルキナ”の様子を思い返しながら、マークは優しく微笑みながらそう溢す。
ルキナは、そんなマークに勿論だと頷いた。
「ええ、私と二人で、サンタクロースを捕まえようとしていた事もあったんですよ。
罠を仕掛けてみたりとか、色々してみたのですが。
結局、一度も会えず終いでした」
マークと二人で、ああでもないこうでもないと頭を捻りながら、『サンタクロース捕獲作戦』を練っていた遠いあの日々は、今でも鮮明に思い出せる。
どんな罠を仕掛けても、引っ掛かった形跡すらも無く。
だけど翌朝には必ず枕元に贈り物が置かれているのだ。
その度に、作戦が失敗した悔しさと、それ以上の喜びを感じていたモノだった。
……何時か、小さな“ルキナ”も。
小さな“マーク”と一緒に、そうやってサンタクロースを捕まえようとするのだろうか。
そんな幸せで楽しい日々を重ねるのだろうか。
マークには、遠い未来で過ごしていた日々の記憶が無い。
『幸せ』だった幼いあの日々も、そして絶望に沈んだ世界での辛く苦しい日々も。
平等に、マークは喪ってしまった。
それは、ある意味では悲劇でもあり救いでもあるのだろう。
マークの記憶喪失を知った当初は、ルキナは強い衝撃を受けたのであったが。
心の整理が付いてからは、それで良かったのかもしれないとすら思う。
記憶を喪おうと何だろうと、マークがルキナの大切な弟である事には変わり無く。
内面的な部分も、記憶を喪う前とそう大きくは変わらなかったからだ。
喪ったモノを嘆くよりは、新しく積み上げる方が余程建設的である。
ルキナの言葉に、「そうなんですね」とマークは嬉しそうに返す。
「小さかった頃の事とは言え、母さんみたいな軍師を志していたであろう僕の策を破るとは……。
サンタクロースは相当な策士だったんでしょうね!
是非とも直接お会いしてみたかったです」
何だかそんなズレた感想を述べるマークに、昔と変わらないなと微笑ましく思う。
あの頃も、何時も作戦が失敗したは次こそはと燃えていたのであった。
そんな二人を、両親が優しく見守ってくれていた事も、ルキナは覚えている。
「さて、私達もそろそろ眠りましょうか……」
何だか今夜は、幸せな夢を見られる気がするのであった。
◇◇◇◇