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聖なる夜の子供達に

◇◇◇◇




 久し振りに帰って来た王城は、王都と同様に冬祭り色に飾られていた。

 半年程振りに会う父と母は二人を喜んで歓迎して旅の話を聞きたがり、小さな“ルキナ”は椅子に座るルキナの膝の上に乗り楽しそうに笑う。
 そんな『幸せ』な時間が、ルキナには掛替えもなく愛しい。


「きょうのよるは、サンタさんがいい子におくりものをとどけてくれる日なんだそうです。
 ルキナお姉さまは、サンタさんにあったことがありますか?」


 膝上の小さな“ルキナ”は、そう言いながらキラキラと目を輝かせながらルキナを見上げてくる。
 そんな幼児の純粋な眼差しに優しく微笑み返しながら、ルキナは「いいえ」と首を横に振った。


「私も、直接お会いした事は無いのです。
 何時も、いつの間にか枕元に贈り物が届けられていて……。
 出来れば、会ってみたかったですね……」


 すると、小さな“ルキナ”は胸を張って答える。


「だいじょーぶです!
 だって、ルキナお姉さまはいい子ですから。
 お父さまとお母さまはいつもそういってます。
 だからきっと、サンタさんはルキナお姉さまにもおくりものをとどけにきてくれるはずです」


 心からそう信じているのだろう。
 小さな“ルキナ”の目はキラキラと輝き続けている。
 そんな、自分にもかつてあったのであろう輝きが眩しくて、そしてその輝きを小さな“ルキナ”にはずっと持ってて欲しくて。
 ルキナは優しく小さな“ルキナ”の頭を撫でた。


「ふふっ、そうだったら、良いですね」


 ルキナは別段サンタクロースからの贈り物が欲しい訳ではない。
 だが、もしサンタクロースがルキナの欲しいモノをくれると言うのならば、願わくは。

 この小さな“自分”の。
 自分にも有り得たのかもしれない『幸せ』な日々が、ずっとずっと続いて欲しい。
 何時か彼女が大きくなって広い世界を自ら学んでいくその日まで。
 小さな“ルキナ”の優しい世界が、壊されてしまわない様に。
 大好きな家族と死に別れる事が無い様に。
 長い戦いの末に勝ち取った平和が、少しでも長く続いて欲しいのだ。

 ……尤も、それは誰かから与えられるのではなくて、ルキナ達が自ら努力し維持していかなくてはならないモノであるのだけれど。

 そう思いながら、ルキナは“家族”との優しい『幸せ』な一時を過ごすのであった……。




◇◇◇◇
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