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Found Me

◆◆◆◆◆




 時計が零時を指した瞬間、テレビが唐突に点った。
 ……《マヨナカテレビ》だ。
 僅かに砂嵐が画面を走った後、それを拭い去る様に鮮明な映像が映った。

 現れたのは、『久慈川さん(のシャドウ)』だ。
 水着を着た姿で、ポーズをきめてウィンクした顔がアップで画面に映し出されている。


『“マルキュン! りせチーズ!”
 みなさーん、こんばんはー!
 この春から華の女子高生アイドル、りせちーです!』


 一度顔から外れた画面が、『久慈川さん(のシャドウ)』の太ももをアップして映し、次第に再び顔の方へと画面が動いていく。

『今回はですね、もうスゴい企画に挑戦しちゃいます!』

『久慈川さん(のシャドウ)』がそう言うと、カメラが『久慈川さん(のシャドウ)』からアップを外し、背後にあるミュージカルとかの劇場の様な《何か》を映し出した。
 そして、急に屈む様な姿勢を取った『久慈川さん(のシャドウ)』の胸が強調されて映される。

『えっとね、この言葉、聞いたことあるかなぁ?
 スゥ・トォ・リィッ・ップゥー。
 ん、もう、ほんとにぃぃ?』

 耳元で囁く様な言い方でそんなトンでもない事を宣った『久慈川さん(のシャドウ)』はガバッと体を起こした。
 そしてそれと同時に、画面には……

【りせちー!見せちー! チャレンジ企画
 《蒼い果実も一皮むけて!
 見頃食べ頃お年頃!!!》】

 と言う、やはり危険な方向性にブッ飛んだテロップが表示される。
 そのあまりのブッ飛び具合に何も言えずに唖然としていると、『久慈川さん(のシャドウ)』は両頬に手を当て恥ずかしがるかの様な仕草を見せ、そしてクルリと後ろを向いた。

『きゃあ、恥ずかしー!
 って言うか、女子高生が脱いじゃうのって、世の中的にアリ!?』

 アリじゃない。
 全然、全くもって、確実に、アリじゃない。
 セウト所ではなく、完全にアウトだ、一発レッドカードだ。
 そんな事を内心で全力でツッコンでいると、後ろを向いていた『久慈川さん(のシャドウ)』がクルリと画面に向き直った。

『でもね、やるからには、ど~んと体当たりで、まるっと脱いじゃおっかなって思いますっ! 
 きゃはっ、おっ楽しみにー!』

 太もも・腰・腹・胸、と順に強調する様にアップされて映した後、顔をアップされた『久慈川さん(のシャドウ)』は画面に向かって投げキッスをして、そしてそこで今晩の《マヨナカテレビ》は終わった。

 ……………………これはヤバいな、色々と。






◆◆◆◆◆





【2011/06/24】


 翌朝、学校にやって来た花村は興奮しっぱなしだった。
 お年頃の青少年には『ストリップ』という単語は、心を捕らえて離さないものなのだろう。
 まあその辺りは兎も角として、あの《マヨナカテレビ》の久慈川さんはやはり『シャドウ』なのだろう。
 巽くんが出掛けに丸久さんを覗いてみた所、久慈川さんの姿は見えなかった様だし、警察が何やら尋ねてきていたそうだ。
 捜索願いが出されたのかもしれない。
 何はともあれ、久慈川さんが行方不明になっているのは事実の様である。
【犯人】の手によってあちらの世界に既に放り込まれた可能性が高い。
 放課後、早速クマに確認を取る事にしよう。

 しかしそれよりも気になるのは、あの後巽くんが丸久さんに不審車両を見掛けなかったか訊ねた所、その様なモノは見ていないと答えた事だ。
 勿論、単純に丸久さんが目撃し損ねたという可能性はあるだろう。
 だが、もう一つある可能性としては、丸久さんがその車を“不審車両”と認識しなかったという場合も考えられる。
 例えば、豆腐の材料の大豆等を卸している店のトラックなどは、それが停まる事は“日常”の風景である為、それを“不審車両”とは考えないだろう。
 そういった、《《日常的に停まっていても不自然はない車両》》を、【犯人】は犯行時に用いているのではないだろうか。
 問題はそれが《《何》》であるのかだ。
 それさえ分かれば、【犯人】へと大いに近付く事は間違いない。

【犯人】は、家に訪れても不自然ではなく、警戒心を抱き辛い相手。
 犯行時に用いているのは、家の前に停まっていても不自然ではない大型の車……。

 順当に考えれば出入りしている業者などが考え付く。
 奇しくも天城さん、巽くん、久慈川さん、そして……亡くなった小西先輩の家はそういう業者が出入りしていてもおかしくはない。
 顔見知りの業者相手なら、家を訪問された所で特に不審には感じないだろう。
 ……その場合、天城屋旅館に宿泊中であったであろう山野アナの件は若干事情は異なるだろうが。
 まあ、それにした所で天城屋旅館に出入り可能な業者だったのなら犯行は可能だ。

 しかし、三人……いや、四人の家に共通する業者などあるのだろうか……。
 今度時間がある時にでも、天城さんと巽くんに訊ねてみる事にしよう。





▲▽▲▽▲▽
……………………
………………
…………
……




 何時もの広場の様な場所に出ると。
 ……? ……何故かクマがいじけた様に隅の方で後ろを向いて俯いていた。

「どうしたんだよ、クマ」

 花村がそう声をかけても、クマはその質問には答えずにポツリといじけた様に呟く。

「クマ、泣いてないよ」

 クマが何が言いたいのか分からず、皆して頭に『?』マークを浮かべている様な顔になった。

「みんな、クマの事忘れて楽しそうに……。
 クマ、見捨てられた……」

「あっ」、とそこで全員がここ最近は全くクマに会いに来ていなかった事に気が付いてばつが悪そうに少し目を泳がせる。

「そ、そんな事あるワケないじゃん!」

「ごめんね、ここ最近はこっち来てなかったから、寂しかったんだよね」

 里中さんと天城さんの言葉に、クマは益々気落ちした様な声で返してきた。

「タイクツでヒクツしてたクマ。
 どーせクマは、自分が何なのかも知らんダメな子クマ。
 答え見付からないし、みんなは来ないし……。
 ……そっちの世界の楽しそうな声まで聞こえた気がして……。
 寂しくて泣いてみようと思ったけど、ムリだったクマ……」

「まあ、中空っぽだしな……」

 クマの言葉に花村が小さく呟くと、それを耳聡く聞き付けたクマがその言葉に噛み付く。

「カラッポカラッポって、煩いクマ!」

「そんな煩くは言ってねーし!
 大体、ココがお前の現実なんだろ!?
 お前がココで静かに暮らしてーつっから、【犯人】探しする約束したんじゃんか!」

 ……元々は確かにそう約束した。
 しかし、心境の変化と言うのは誰にだってあるものだ。
 他者を知る内に、『静かにこの世界で暮らしたい』というクマの望みも、変化していったのかもしれない。

「まーまー、クマくんも考え過ぎで疲れちゃったんだよ、ね?」

 言い合うクマと花村を里中さんがそう取り成すと、クマは寂しそうに俯いた。


「独りだと色々考えちゃって、寂しさ倍増中クマ……。
 みんながいないと寂しくて切なくて……、胸が張り裂けて綿毛が飛び出しそうクマよ……」


 綿毛……、比喩表現ではなくそれは物理的に裂けているのでは……。
 落ち込むクマを励ます様に里中さんと天城さんが優しく撫でると、少し気持ちが上向きになったのか、「いつか逆ナンしてもいい?」と浮かない顔ながらも二人に尋ねた。
 里中さんは頷いたが、天城さんは浮かない顔だ。
『逆ナン』ネタはもう止めて欲しいのだろう。

「あー、それよか確めてー事あるんだよ!
 今、こっちどーなってる?
『久慈川りせ』って女の子、こっち来てるっぽいんだけど、何か分かんない?」

「『クジカワリセ』……?
 んむむ……?」

 花村に訊ねられたクマは、キョトンとした顔をした後、少し難しい顔をして唸る。
 ……個人の判別を抜きにして、誰かがこの世界に放り込まれたかどうかが、クマにも分からなくなってきているのだろうか。
 ……それはかなり不味い事態だ。
 被害者の位置処か、本当にこちらに放り込まれたかすらも分からないのは、救出に向かう以前の問題になってしまう。

「……もしかして、分かんないのか……?
 ……何かお前の鼻、段々鈍くなってきてない?」

 花村もそう思ったのか、不安気にそうクマに尋ねると、クマは沈みこむ様に暗い顔をして落ち込んだ。

「……クマは何やってもダメなクマチャンね……。
 誰かが居る様な気がするけど……、詳しい事は分かんないクマ……。
 このまま、みんなの役に立てなくなったら、クマ、……きっと捨てられちゃうんだクマ……」

 役に立たなくなれば捨てる……?
 そんな事は有り得ない。
 クマは仲間だ。
 それに、クマが居てくれたからこそ、天城さんと巽くんを助ける事が出来たのだ。
 それを、少しクマが不調だからなんて理由で役立たずと断じて捨てるなど、論外だ。
 そんな事をする人間に思われているのなら、心外だと抗議したい。

「そんな事無い。
 役に立つ立たないは問題じゃないよ。
 クマは、私たちの仲間だ。
 何があっても、クマを捨てたりなんかしない」

「クマ……みんなと一緒に居てもいいの……?」

 クマの言葉に、全員が「勿論」と頷いた。

「よっし、じゃあ完二くん時みたいに、何か手掛かりになるの探してくるよ」

 クマを励ます様に、明るい笑顔で里中さんはそう言う。

「うん、きっともっとその『クジカワリセ』ちゃんの事が分かったら、前みたいに場所も分かると思うクマ」

 そうと決まれば情報収集だ。
 今日一日は情報収集に当てて、有力な情報が集まれば明日に再び久慈川さんの居場所を探す、という段取りとなる。
 丸久さんへは、常連客であり顔見知りである事から自分が担当する事になった。
 花村と里中さんは主に学校を、天城さんは旅館周辺を重点的に、巽くんは商店街の辺りをと、それぞれ情報収集する場所を分担する。
 早速行こうと、皆が出口のテレビを潜ろうとした時、クマがこちらを呼び止めた。
 皆には先に戻って情報収集を始めて貰う事にしてから、クマに向き直る。
 クマは、どう言葉にするかを迷っているかの様な表情をしながら、ポツリポツリと話し始めた。

「センセ……。
 クマ……色んな事が、分からんクマ……。
 どうしたら良いのかも、分からんクマ……」

 クマが様々な事に迷っているのは薄々察していたが……。
 その悩みは、どうやら想定していたよりも大分深刻なものの様だ。
 しかし、それも仕方無い事ではあるかもしれない。
 “『己』とは《何》であるのか”…………。
 それは、それを意識していなければどうと言う事もない問題なのかも知れないが、一度それを意識すると、途端に意識の大半を割かねばならなくなる程の《謎》である。
 明確で絶対的な答えなど存在しようが無いと言うのにも関わらず、自らの存在に深く関わる《謎》であるだけに、あやふやで不確かなそれを定義しようと、多くの偉大なる先人たちが挑んできた。
 自分たちだって、その《謎》の答えを見付けようとしている最中とも言える。
 己の『シャドウ』に向き合うと言う事は、『己』が何者であるのかと問う事にも繋がるからだ。
 そんな中クマは、自分以外の他者が(クマが認知している限りでは)存在しないこの世界で、『己』を問う事もなく生きていたのだろう。
 他者なくしては、ある意味『己』という明確な区分は存在し得ないのだから、一々問う必要性も無かったと言うのが正しいかもしれない。
 しかし、【犯人】を追う中で……、他者と関わっていく中で、初めて『己』と言うものを意識したのだろう。
 そして、意識して考えたが故に分からなくなった、と。

「……なら、クマが探しているその答えを、私もクマと一緒に探していこう。
 ゆっくりでも焦らずにいけば、きっと何時か答えは見付かるさ」

 人は他者の存在無しに『己』とは成れない。
 意識し認識しなくては、それは存在しないものと同義であるからだ。
 自己とは異なる他者が存在するからこそ、『己』を定める事が可能となる。
 だが他者ありきの『己』であれど、『己』を定めるのは自分自身……。
 クマが探し求めている『答え』とは、クマが自分で見出ださなくてはならないモノである。
 しかし、その答えを共に考え・共に悩む他者が居たって良いだろう。

「……ありがとクマ。
 センセイは優しいクマね……。
 クマ、もっと頑張るクマよ……」

 少し元気が出たのか、そう言って微笑むクマを後に残し、テレビの向こうへと帰還した。




……
…………
………………
……………………
▲▽▲▽▲▽




 久慈川さんの話を聞くならば、やはり丸久さんが一番だろう。
 豆腐屋を訪れると、何時もの様に丸久さんが店番をしていたが、その顔はやや曇っている。
 行方の分からない久慈川さんが心配なのだろう。
 買い物序でを装って、久慈川さんについて訊ねた。
 アイドルとしてデビューしてからは、休業してこちらに来るまでは、あまり稲羽に帰って来なかったらしいので、より詳しいと思われるデビュー前の久慈川さんについてを重点的に訊ねる。


 久慈川さんは、どちらかと言えば大人しいタイプの女の子であった様だ。
 少なくとも、アイドル『りせちー』として売り出しているキャラクター付けとは全く違うのは確かなのだろう。
 どうやら、アイドルデビューした切っ掛けは、友人がオーディションに書類を送った事によるものらしい。
 その辺りの詳しい経緯は分からなかったが……。
 ……まあ、兎も角、久慈川さんが抑圧しているモノとは、アイドル関連であるのはやはり確かなのだろう。
 だが、昨晩の《マヨナカテレビ》を思い起こしてみれば、『シャドウ』は自らをアイドル『久慈川りせ』だと名乗っていた。
 “アイドル”である事自体に抑圧があったのなら、『シャドウ』が“アイドル”を名乗る事は無かっただろう。
 ……“アイドル”である事に関連する悩みであるが、“アイドル”である事自体が悩みなのではない……。
 …………流石にこれだけでは漠然とし過ぎているだろう。

 次に『シャドウ』が見せたあの《マヨナカテレビ》から考える。
 あの《マヨナカテレビ》では“ストリップ”を主張していた。
 内容が過激極まりないがそれは脇に置いておくとして、“ストリップ”から連想されるものを考える。
 ……脱衣……裸、露出させる……晒け出す……。
 ……この辺りだろうか。
 流石に、“脱衣したい・裸になりたい”という抑圧では無いだろう……、恐らくは。
 ならば、更にそこから連想させて、“身一つの己になりたい”“ありのままの己でありたい”……そんな所なのだろうか。
 それにアイドル関連の抑圧と考えて、“アイドルとして作られた《己》ではなく、ありのままの《己》でありたい”……か?
 ……どうであるにせよ、結論付けるにはまだ早い。

 みんなの首尾は如何程だろうかと、一度連絡を取り合うと、校内で情報収集に励んでいた里中さんが『りせちー』の熱心なファンを自称する生徒から、『久慈川さんは休業前に“悩み”がある、とブログに書いていた』という情報を手に入れていた。
 更に、どうやら久慈川さん狙いのパパラッチが付近に出没しているらしいとの情報を得た花村は、そのパパラッチから情報を得るべく現在町を捜索中であるらしい。
 巽くんと天城さんにも、もしパパラッチらしき人物を見掛けたら情報収集を行う様に頼んでおく。

 ……しかし、アイドルに関連する悩み……か。
 久慈川さん本人とは全く違うキャラ付けをされている『りせちー』に疲れた……というのは有りそうだが、もしそうならば『シャドウ』が自らをアイドルとは名乗らないだろう。
 勿論、キャラが違うというのが悩みに関連している可能性は高いが……、それだけでは無さそうだ。
 ……アイドルデビューする迄の経緯をもっと詳しく調べられたら良かったのかも知れないが……流石に難しいだろう。
 アイドルデビューした頃は、久慈川さんは既に稲羽を離れていて、丸久さんもその辺りはあまり詳しくなさそうだったし……。
 ……困ったものだ……。

 そう内心で嘆息しつつ鮫川の堤防を歩いていると、思わぬ人物に出会した。
 ……以前、巽くんについての情報を集めている時に出会った、白鐘くんだ。
 今日はあのネイビーのコートではなく、鮮やかな青いシャツに黄色のネクタイを締めているが、あのキャスケット帽は相変わらずに被っている。
 ……どうしたのだろう。
 また、調べものなのだろうか。

「どうも、また会いましたね」

 白鐘くんが先に軽く会釈をしてくれたので、それに会釈を返す。

「また、何かの調べもの?」

「ええ、そんな所です」

 そう言って白鐘くんはこちらを鋭い眼差しで見てくる。

「所で、鳴上さんはご存知ですか?
 今、久慈川りせさんが行方不明になっていると言う事を」

 ……成る程、久慈川さん関連か……。
 ならば、下手に誤魔化しや嘘を吐くのは良くはない。
 だから素直に頷いた。

「まあね。
 丸久さんに寄った時に。
 ……白鐘くんは、久慈川さんの事を捜しているのかな?」

 そう訊ねると、白鐘くんは頷いてから帽子の鍔を下ろし、こちらを見透かす様な目で見てくる。

「そんな所です。
 ……以前、同じ様に巽くんの行方が分からなくなった後、発見された後の巽くんは何故かあなた達と行動を共にしている。
 それはその前に起きていた天城雪子さんの件の時も同様に。
 ……あなたは、最近起きている失踪事件について、何か知ってらっしゃるんじゃないですか?」

 ……天城さんの件も知っていたのか。
 ……まあ、知っていると言えば知っているが、流石にそれを言う事は出来ない。

「いや、詳しい事は分からないよ。
 それに、天城さんと親しくなったのはクラスメイトだからだし、巽くんとは偶々手芸を教えて貰う仲になったからだね」

 そう答えると、白鐘くんは全く納得していない様な、疑いを深くした目でこちらを見てきたが、こちらがもうこれ以上話すつもりが無い事を悟ったのか、白鐘くんは引き下がる。

「……そうですか」

 そしてそのまま、白鐘くんはその場を立ち去ったのだった。





◇◇◇◇◇




 家に帰り、再び皆と情報を交換すると、どうやらあの後パパラッチは無事に発見したらしい。
 なお、発見者は巽くんだった様だ。
 巽くんがそのまま尋ねると無駄に威圧してしまうかもしれないから、実際にパパラッチから情報を入手したのは連絡を受けて駆け付けた花村だった様だが。
 パパラッチによると、久慈川さんの休業の理由とは…………アイドルとしてキャラ付けされたそのキャラクターと実際の自分との齟齬に苦しんでいたからだというのが、パパラッチ界隈での見解なんだそうだ。
 ……アイドルとしてのキャラが、抑圧に関わっているのはかなり可能性が高まった。
 それそのものが抑圧になっているのかは分からないが、少なくともその一因ではある筈だ。
 一先ず、明日この情報を持ってクマの所へ行くとしよう。

 情報収集に協力してくれた事に礼を言って、その日は明日に備えて早めに眠る事にした。







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