虚構の勇者
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一体何度、花村を、里中さんを、天城さんを、巽くんを、りせを、クマをこの手で殺したのだろう。
自分を殺した憎い筈の相手を、誰一人として責めはしなかった。
それどころか、下手人の心配をしてくる始末だ。
目覚めるのは、何時も取り返しがつかない状態になってからで。
とっくに自分は気が狂った状態で、これはただの幻覚じゃないのかと疑った。
でも、自分が知覚出来る全てが、それを“現実”だと訴えてくる。
“夢”ならばこれで醒めるんじゃないかと、自分で己の首を切り裂いた事もあった。
頸動脈を切り裂いた事で血が勢い良く吹き出ていき薄れていく意識の中、感じる痛みは本物であった。
そして、再び気が付くと、誰かをこの手に掛けた直後か、将又皆が惨殺されるのをただ見ているしか出来ないか、だった。
自分の腹をかっ捌いた事もあった。
ペルソナに自身を切り刻ませた事もあった。
自分を生きながら燃やした事もあった。
雷に身を撃たれた事もあった。
氷付けにした事もあった。
全てを滅ぼす万能の光で、死体すら遺さぬ様に焼いた事もあった。
それでもやはり、死んだ筈なのに必ず何処かで目覚める。
次第に、何も感じられなくなってきた。
感情が鈍麻し、思考は擦りきれ、目の前で命が喪われる事に、自分を殺す事に、何の感慨も抱けなくなっていった。
だが、全てを放棄しそうになると、決まってあの幸せな時間の中のフードコートで目が醒める。
何時しか、あの時間が繰り返される様になっていった。
同じ一日を繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し──
だが、次第にそれにすら何も感じられなくなっていった。
己に向けられる優しさに、労りに、想いに。
無感動になり、何も感じられない。
それがおかしい状態だとは分かるのに、思考と感情がどんどんと解離していく。
何百回目かも分からない会話を繰り返す。
何千回目かも覚えていない花村の最期を看取る。
そしてまた、意識は中断される様に落ちた。
──とてもとても遠い場所から、何かを呼んでいる声が──
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一体何度、花村を、里中さんを、天城さんを、巽くんを、りせを、クマをこの手で殺したのだろう。
自分を殺した憎い筈の相手を、誰一人として責めはしなかった。
それどころか、下手人の心配をしてくる始末だ。
目覚めるのは、何時も取り返しがつかない状態になってからで。
とっくに自分は気が狂った状態で、これはただの幻覚じゃないのかと疑った。
でも、自分が知覚出来る全てが、それを“現実”だと訴えてくる。
“夢”ならばこれで醒めるんじゃないかと、自分で己の首を切り裂いた事もあった。
頸動脈を切り裂いた事で血が勢い良く吹き出ていき薄れていく意識の中、感じる痛みは本物であった。
そして、再び気が付くと、誰かをこの手に掛けた直後か、将又皆が惨殺されるのをただ見ているしか出来ないか、だった。
自分の腹をかっ捌いた事もあった。
ペルソナに自身を切り刻ませた事もあった。
自分を生きながら燃やした事もあった。
雷に身を撃たれた事もあった。
氷付けにした事もあった。
全てを滅ぼす万能の光で、死体すら遺さぬ様に焼いた事もあった。
それでもやはり、死んだ筈なのに必ず何処かで目覚める。
次第に、何も感じられなくなってきた。
感情が鈍麻し、思考は擦りきれ、目の前で命が喪われる事に、自分を殺す事に、何の感慨も抱けなくなっていった。
だが、全てを放棄しそうになると、決まってあの幸せな時間の中のフードコートで目が醒める。
何時しか、あの時間が繰り返される様になっていった。
同じ一日を繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し──
だが、次第にそれにすら何も感じられなくなっていった。
己に向けられる優しさに、労りに、想いに。
無感動になり、何も感じられない。
それがおかしい状態だとは分かるのに、思考と感情がどんどんと解離していく。
何百回目かも分からない会話を繰り返す。
何千回目かも覚えていない花村の最期を看取る。
そしてまた、意識は中断される様に落ちた。
──とてもとても遠い場所から、何かを呼んでいる声が──
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