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未知への誘い

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【2011/04/12】


 目を開けると霧など何処にも無く、見慣れない天井が映った。
 見慣れてはいないが知らない場所では無い。
 今居るのは、昨日から自分に宛がわれた堂島家の一室である。
 かつては物置として使っていたと見られる部屋は、ちゃんと掃除が行き届いていて、ソファや学習机、それと作業机等の家具が既に用意されていた。

 敷き布団を片付けながら欠伸を噛み殺す。

 ……昨晩見た夢は、実に変な夢だった。
 別に悪夢と言う訳でもなかったから魘されてはいなかっただろうけど。
 まあ、気持ちの良い目覚めと言うにはちょっと違うだろう。

 それでも窓を開けて早朝の空気を吸い込むと、気持ちいい位に目が覚めた。
 あまり音を立てない様に階下に降りると、早朝だからかまだ菜々子ちゃんは起きてない様だ。
 玄関に叔父さんの靴は無かったので、どうやら昨晩は結局帰ってこなかったらしい。

 洗面所で顔を洗い、寝起きだった頭をスッキリとさせた。
 何時もの様に、癖毛気味の髪質の為に若干寝癖のついた髪にブラシをかけ、後ろで一つにくくる。
 さて簡単な身支度もすませたところで、朝御飯を作るとしよう。

 和食の朝ごはんにしようかとも思ったが、どうやら堂島家の朝ごはんはトーストらしいので、いきなり了承もなく変えるのは流石に憚られる。
 今朝は取り敢えずはパン食にしよう。

 一斤5枚切りの市販の食パンには丹念にバターを塗り、しっかりと焼き目がつくまでこんがりと焼き上げた。
 それだけでは寂しいので、冷蔵庫の隅に転がっていた市販のスパゲッティ用のミートソースでオムレツも作る。
 美味しそうな匂いが漂ってきた辺りで菜々子ちゃんが起きてきた。

 簡素な品ながらも、朝食に対する菜々子ちゃんの感想は上々だ。
 美味しそうに食べてくれる事が、作った者としては一番嬉しい事である。
 二人で朝ごはんをしっかりと食べてから、学校へと出掛けた。






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