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遠く時の環の接する処で

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 叶えてはならない『想い』と言うモノがある事を、私は彼に出逢ってから初めて知った。

 遠い遠い……まだ幼く幸せであった頃の微睡む様な日々の中、夢見る幼子の為の寝物語の中で知ったその『言葉』が、息すら儘ならぬ程の苦しみを伴うものであると知っていれば。
 彼にそんな『想い』を抱く事も無かったのだろうか……。
 幼い頃に憧れたそれは、多くの人々から祝福される様な、奇跡だって起こしてしまえる様な素晴らしいものである筈だった。
 それがどうして、こんな……。

 何時か、大切なお父様を殺す人を。
 何時か、彼を信頼する全ての人を裏切る人を。
 何時か、この世界を『絶望の未来』へと導く人を。
 遠い『未来』の何時かで、私のお父様を殺した『彼』を。
 そして、必ず私がこの手で殺さねばならぬ人を。

 何故、私は──




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