第七話『真実の泉』
◆◆◆◆◆
翌朝、まだ日が昇ってそう時間も経っていない早朝。
ルキナとルフレは既に出立の準備を整えて、チキやサイリ達に見送られながら『ミラの大樹』を離れようとしていた。
何故か、起きてきた時のルフレは、何処か難しい顔をしていたけれど……今は普段通りの表情に戻って。
どう『真実の泉』を目指すのか、チキに再度確認していた。
出立の間際、チキはルキナを呼び止めて、その懐から取り出した何かをルキナの方へと差し出した。
ゆらゆらと揺らめく蒼い光を放つその玉は、見るからに何かの強い力を秘めているモノで。
チキが取り出したそれを見た瞬間、サイリが焦る様に叫んだ。
「巫女様! それは『蒼炎』ではありませんか!!
それを何故この様な者達に……」
「良いのよ、サイリ。在るべき場所に帰す時が来ただけ。
この子達ならこれを正しく使ってくれるわ……」
チキはそう言って『蒼炎』をルキナに渡し、ルキナは受け取って良いのか迷ったが結局それをそのままルフレへと渡す。
チキとサイリの、そしてルキナの様子から、それが非常に重要で貴重なものだと察したらしいルフレは、それを綺麗な布で包んでから慎重に懐へとしまった。
「ルキナ……これは必ず貴女に必要になる。
……勘の様なものだけど、私の勘は結構当たる方なの。
だから、貴女に託すわ。ルフレ、どうか失くさないでね」
「はい、勿論です。……確かに、預かりました」
ルフレは確りとチキに頷く。
そして、そんなルフレを、チキはジッと見詰めた。
そこまで見詰められる理由に何も心当たりが無いのか、ルフレは戸惑い助けを求める様にルキナの方へと目を向ける。
だが、ルキナとしてもどうにもし難い事である。
「あ、あの……。僕に何か……?」
「……不思議ね。貴方からは【私達】と同じ力を感じる……。
凄く近いけれど同時にとても遠い様な、一見荒々しい様でいて……でもとても静謐に満ちている様な……そんな力……。
……貴方は、一体何者なのかしら……」
「あの……それは一体どう言う……。僕に何が……?
僕は……ただの……」
ルフレが答えるべき言葉を迷っていると、突然にふわ……とチキは欠伸を零して眠そうに目を擦った。
「ごめんなさい、こんなに長く起きているのは久し振りだから……眠くなってきてしまったみたい。
……貴女達の旅路の無事をここで祈っているわ……」
半ば夢心地の表情でそう言ったチキは、既にうつらうつらと舟を漕ぐ様にその身体を揺らし始めている。
その身体を横に控えていたサイリが慣れた手付きで素早く支え、チキはその手を信頼しきっている様に身を預けた。
うとうとと目を閉じかけているチキに代わりサイリは言う。
「すまないが巫女様は大分お疲れの御様子、暫しの眠りに就かれる故、見送りもここまでだ。
巫女様から託された『蒼炎』をくれぐれも無碍に扱わぬよう。
……私からも旅路の息災を願おう。さらばだ、旅人よ」
そう言って小さく手を振ったサイリに頭を下げ、ルフレとルキナは『真実の泉』を目指し、ヴァルム大陸の北西を目指し、『ミラの大樹』を飛び立つのであった。
……『ミラの大樹』を発ってから数日が過ぎた。
チキの言う通りならば、恐らくあと二日もしない内に『真実の泉』があると言う山脈の連なりが見えてくるであろう。
後少し、後一歩。
そう考えるとやはり、何処か落ち着かない気持ちになる。
早く辿り着きたいと逸る心と。
そして、それに相反するかの様な……まだこの旅を終わらせたくないと言うそんな思いが、互いに混ざり合う。
古の邪竜が蘇ろうとして……そしてそれまでにどれ程の時間が残されているのか分からない現状では、その復活に備えそれを防ぐ為の対応に使える時間は多ければ多い程良いだろう。
……『人間』に戻った後再び王城に戻った時に、父をどう説得するのかと言う問題はあるけれども。
もしもの時も、『神竜の巫女』であるチキに何か一筆認めて貰えれば、託された『蒼炎』と合わせて皆を説得出来る。
少なくとも父は、ルキナの説得を無碍にはしない筈だ。
元より今も尚イーリスから奪われた『炎の台座』と『白炎』の捜索は密かに続いているのだから、それらをより大々的に探す事に否は無いだろう。
……だがそうやってギムレー復活の阻止を考える一方で。
ルフレとの日々が終わってしまう事に未練を抱えていた。
ルキナが王城に戻ったとしても、既に一度死んだ事になっているであろう自身の処遇がどうなるのかは分からないが。
……聖王家の血統を管理すると言う意味でも、その管理下から離れる事は出来なくなるだろう。
……あの森で、ルフレと二人静かに過ごすと言う細やかな『夢』は……どう転んでも恐らくは叶わない。
……ルフレを王城へ、ルキナが「在るべき」と定められた其処へ、連れ出す事ならば出来るのだろう。
だがそれは、ルフレから森での暮らしを奪う事に他ならない。
ある意味では酷く不自由でもあるその生き方を、そんな生活を望んでいるとは思えないルフレに強要して良い筈は無い。
無理に連れ去ったとしても、そこにルフレにとっての『幸せ』があるとは、ルキナには到底思えなかった。
ならば。……ルフレにとっての『幸せ』を思うならば。
ルフレにとっての生きる場所……あの森での生活を乱さぬよう、『人間』のルキナはもう彼に関わるべきでは無いのだろう。
……だが、そう考える事、それを思う事は、酷く苦しくて。
……だからこそせめてこの時が、ルフレと二人で過ごせる時間が終わって欲しくないと、そう思うのだ。
『真実の泉』に辿り着いて『人間』に戻ったからと言ってそこで旅が終わる訳でも無く、少なくともイーリスに向かって帰る旅が再び始まるだけなのだが……しかし、そこでルフレに何を伝えれば良いのか何を言えば良いのかが分からない。
何れ別れねばならぬのであれば、共に生きる事は難しいのであれば……『想い』を打ち明けた所で互いに傷付くだけなのではないかとも思ってしまう。
『真実の泉』に辿り着いてから、そして『人間』に戻れてから考えるべき事であるのかもしれないけれど。
その時は刻一刻と迫っているのだ。
それもあって、逸る気持ちとは逆に、まだ辿り着きたくはないとも思ってしまっている。
そして……。
ルキナは、チラリとルフレの方を見た。
ルフレは相変わらず何も言わずに……深く何かを考えこんでいる様な、……何かを迷っている様な、そんな顔をしている。
『ミラの大樹』を発ってから、ルフレはすっとこうだった。
地上に降りて休んでいる時も、こうして空を飛んでいる時も。
ずっと何かを考え続けている。
……やはり、『ミラの大樹』を発つ間際、チキに掛けられた言葉が何か引っ掛かっているのだろうか。
【神竜族】であるチキと同じ力……それをルフレから感じると言っていたが、それが意味するモノが分からない。
【竜】の力、と言う事なのだろうか……。だがそれだとしても何故その様なものがルフレに……?
聖王の血を継ぐルキナから感じると言うならまだ分かるが。
だが、チキのあの言い方だと、聖王家の血筋に受け継がれている神竜ナーガの力の欠片の様なそれでは無いのだろう。
だがルフレは【竜】ではない。そんな素振りは全く見せなかったし、ルフレ自身でも何も思い当たる所は無さそうであった。
しかしそもそもルキナはルフレについて知っている事は余りにも少なかった。
森の奥深くに棲んでいる賢者、医術や薬師の知識と技術に明るいだけでなく、恐らくは呪術にもその才を発揮している者。
『竜』を助けようだなんて少し変わっている所もあるけれど、優しくて温かで誠実な人。
ルキナにとってはそれだけで十分以上なのだけれども。
彼の出自の部分……何処で生まれたのか、何故彼の母親は幼い彼を連れてあの森に流れてきたのかなど、それは分からない。
恐らくはその全てを知っていたであろう彼の母親は既に墓の下で……語る口など持ち合わせている筈も無い。
彼の母親が遺した手記などには彼の出自を辿れそうなものなどは無いらしく……ルフレ自身が気にしなかった事もあって詳しく聞いた事すらもなかったらしい。
偶然語る機会が無かったのか、或いは彼の母が意図的にそれを彼の前から遠ざけ隠していたのかは分からない。
ルフレ自身が知らない『彼自身』が、そこにあるのだろうか。
……それは分からないけれども。そこに何があっても、ルキナにとってルフレが大切な存在である事には変わらない。
ただルフレ本人としては、突然に降って湧いた様なその疑問、『自分は何者であるのか』と言うある種哲学的なそれを、有耶無耶にしておく訳にはいかなかったのだろう。
だからなのか、ここ数日の物思いに沈むルフレは、何処か昏く思い詰めた様な目をしている時がある。
……ルキナが何を言っても、そう言う悩みは本人がある程度自分で納得するまではどうしようもなくて、そもそも今のルキナはルフレに『言葉』を届ける事は難しいのだけど。
それでも、抱え込み過ぎて悩んで苦しむ位ならば、少しでもいいから自分に話して欲しかった。
『言葉』を返せなくてもルキナはその言葉に耳を傾けるし、例えそれが叶うのは今だけだとしても、その傍に居るのだから。
だが、そう伝える事すらこの身では叶わない。
『言葉』ではなく仕草で伝えようとしても、やはりそれだけでは伝えきれず……却ってルフレに気を遣わせるだけで。
どうにもならぬ儘ならなさばかりが降り積もるのであった。
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翌朝、まだ日が昇ってそう時間も経っていない早朝。
ルキナとルフレは既に出立の準備を整えて、チキやサイリ達に見送られながら『ミラの大樹』を離れようとしていた。
何故か、起きてきた時のルフレは、何処か難しい顔をしていたけれど……今は普段通りの表情に戻って。
どう『真実の泉』を目指すのか、チキに再度確認していた。
出立の間際、チキはルキナを呼び止めて、その懐から取り出した何かをルキナの方へと差し出した。
ゆらゆらと揺らめく蒼い光を放つその玉は、見るからに何かの強い力を秘めているモノで。
チキが取り出したそれを見た瞬間、サイリが焦る様に叫んだ。
「巫女様! それは『蒼炎』ではありませんか!!
それを何故この様な者達に……」
「良いのよ、サイリ。在るべき場所に帰す時が来ただけ。
この子達ならこれを正しく使ってくれるわ……」
チキはそう言って『蒼炎』をルキナに渡し、ルキナは受け取って良いのか迷ったが結局それをそのままルフレへと渡す。
チキとサイリの、そしてルキナの様子から、それが非常に重要で貴重なものだと察したらしいルフレは、それを綺麗な布で包んでから慎重に懐へとしまった。
「ルキナ……これは必ず貴女に必要になる。
……勘の様なものだけど、私の勘は結構当たる方なの。
だから、貴女に託すわ。ルフレ、どうか失くさないでね」
「はい、勿論です。……確かに、預かりました」
ルフレは確りとチキに頷く。
そして、そんなルフレを、チキはジッと見詰めた。
そこまで見詰められる理由に何も心当たりが無いのか、ルフレは戸惑い助けを求める様にルキナの方へと目を向ける。
だが、ルキナとしてもどうにもし難い事である。
「あ、あの……。僕に何か……?」
「……不思議ね。貴方からは【私達】と同じ力を感じる……。
凄く近いけれど同時にとても遠い様な、一見荒々しい様でいて……でもとても静謐に満ちている様な……そんな力……。
……貴方は、一体何者なのかしら……」
「あの……それは一体どう言う……。僕に何が……?
僕は……ただの……」
ルフレが答えるべき言葉を迷っていると、突然にふわ……とチキは欠伸を零して眠そうに目を擦った。
「ごめんなさい、こんなに長く起きているのは久し振りだから……眠くなってきてしまったみたい。
……貴女達の旅路の無事をここで祈っているわ……」
半ば夢心地の表情でそう言ったチキは、既にうつらうつらと舟を漕ぐ様にその身体を揺らし始めている。
その身体を横に控えていたサイリが慣れた手付きで素早く支え、チキはその手を信頼しきっている様に身を預けた。
うとうとと目を閉じかけているチキに代わりサイリは言う。
「すまないが巫女様は大分お疲れの御様子、暫しの眠りに就かれる故、見送りもここまでだ。
巫女様から託された『蒼炎』をくれぐれも無碍に扱わぬよう。
……私からも旅路の息災を願おう。さらばだ、旅人よ」
そう言って小さく手を振ったサイリに頭を下げ、ルフレとルキナは『真実の泉』を目指し、ヴァルム大陸の北西を目指し、『ミラの大樹』を飛び立つのであった。
……『ミラの大樹』を発ってから数日が過ぎた。
チキの言う通りならば、恐らくあと二日もしない内に『真実の泉』があると言う山脈の連なりが見えてくるであろう。
後少し、後一歩。
そう考えるとやはり、何処か落ち着かない気持ちになる。
早く辿り着きたいと逸る心と。
そして、それに相反するかの様な……まだこの旅を終わらせたくないと言うそんな思いが、互いに混ざり合う。
古の邪竜が蘇ろうとして……そしてそれまでにどれ程の時間が残されているのか分からない現状では、その復活に備えそれを防ぐ為の対応に使える時間は多ければ多い程良いだろう。
……『人間』に戻った後再び王城に戻った時に、父をどう説得するのかと言う問題はあるけれども。
もしもの時も、『神竜の巫女』であるチキに何か一筆認めて貰えれば、託された『蒼炎』と合わせて皆を説得出来る。
少なくとも父は、ルキナの説得を無碍にはしない筈だ。
元より今も尚イーリスから奪われた『炎の台座』と『白炎』の捜索は密かに続いているのだから、それらをより大々的に探す事に否は無いだろう。
……だがそうやってギムレー復活の阻止を考える一方で。
ルフレとの日々が終わってしまう事に未練を抱えていた。
ルキナが王城に戻ったとしても、既に一度死んだ事になっているであろう自身の処遇がどうなるのかは分からないが。
……聖王家の血統を管理すると言う意味でも、その管理下から離れる事は出来なくなるだろう。
……あの森で、ルフレと二人静かに過ごすと言う細やかな『夢』は……どう転んでも恐らくは叶わない。
……ルフレを王城へ、ルキナが「在るべき」と定められた其処へ、連れ出す事ならば出来るのだろう。
だがそれは、ルフレから森での暮らしを奪う事に他ならない。
ある意味では酷く不自由でもあるその生き方を、そんな生活を望んでいるとは思えないルフレに強要して良い筈は無い。
無理に連れ去ったとしても、そこにルフレにとっての『幸せ』があるとは、ルキナには到底思えなかった。
ならば。……ルフレにとっての『幸せ』を思うならば。
ルフレにとっての生きる場所……あの森での生活を乱さぬよう、『人間』のルキナはもう彼に関わるべきでは無いのだろう。
……だが、そう考える事、それを思う事は、酷く苦しくて。
……だからこそせめてこの時が、ルフレと二人で過ごせる時間が終わって欲しくないと、そう思うのだ。
『真実の泉』に辿り着いて『人間』に戻ったからと言ってそこで旅が終わる訳でも無く、少なくともイーリスに向かって帰る旅が再び始まるだけなのだが……しかし、そこでルフレに何を伝えれば良いのか何を言えば良いのかが分からない。
何れ別れねばならぬのであれば、共に生きる事は難しいのであれば……『想い』を打ち明けた所で互いに傷付くだけなのではないかとも思ってしまう。
『真実の泉』に辿り着いてから、そして『人間』に戻れてから考えるべき事であるのかもしれないけれど。
その時は刻一刻と迫っているのだ。
それもあって、逸る気持ちとは逆に、まだ辿り着きたくはないとも思ってしまっている。
そして……。
ルキナは、チラリとルフレの方を見た。
ルフレは相変わらず何も言わずに……深く何かを考えこんでいる様な、……何かを迷っている様な、そんな顔をしている。
『ミラの大樹』を発ってから、ルフレはすっとこうだった。
地上に降りて休んでいる時も、こうして空を飛んでいる時も。
ずっと何かを考え続けている。
……やはり、『ミラの大樹』を発つ間際、チキに掛けられた言葉が何か引っ掛かっているのだろうか。
【神竜族】であるチキと同じ力……それをルフレから感じると言っていたが、それが意味するモノが分からない。
【竜】の力、と言う事なのだろうか……。だがそれだとしても何故その様なものがルフレに……?
聖王の血を継ぐルキナから感じると言うならまだ分かるが。
だが、チキのあの言い方だと、聖王家の血筋に受け継がれている神竜ナーガの力の欠片の様なそれでは無いのだろう。
だがルフレは【竜】ではない。そんな素振りは全く見せなかったし、ルフレ自身でも何も思い当たる所は無さそうであった。
しかしそもそもルキナはルフレについて知っている事は余りにも少なかった。
森の奥深くに棲んでいる賢者、医術や薬師の知識と技術に明るいだけでなく、恐らくは呪術にもその才を発揮している者。
『竜』を助けようだなんて少し変わっている所もあるけれど、優しくて温かで誠実な人。
ルキナにとってはそれだけで十分以上なのだけれども。
彼の出自の部分……何処で生まれたのか、何故彼の母親は幼い彼を連れてあの森に流れてきたのかなど、それは分からない。
恐らくはその全てを知っていたであろう彼の母親は既に墓の下で……語る口など持ち合わせている筈も無い。
彼の母親が遺した手記などには彼の出自を辿れそうなものなどは無いらしく……ルフレ自身が気にしなかった事もあって詳しく聞いた事すらもなかったらしい。
偶然語る機会が無かったのか、或いは彼の母が意図的にそれを彼の前から遠ざけ隠していたのかは分からない。
ルフレ自身が知らない『彼自身』が、そこにあるのだろうか。
……それは分からないけれども。そこに何があっても、ルキナにとってルフレが大切な存在である事には変わらない。
ただルフレ本人としては、突然に降って湧いた様なその疑問、『自分は何者であるのか』と言うある種哲学的なそれを、有耶無耶にしておく訳にはいかなかったのだろう。
だからなのか、ここ数日の物思いに沈むルフレは、何処か昏く思い詰めた様な目をしている時がある。
……ルキナが何を言っても、そう言う悩みは本人がある程度自分で納得するまではどうしようもなくて、そもそも今のルキナはルフレに『言葉』を届ける事は難しいのだけど。
それでも、抱え込み過ぎて悩んで苦しむ位ならば、少しでもいいから自分に話して欲しかった。
『言葉』を返せなくてもルキナはその言葉に耳を傾けるし、例えそれが叶うのは今だけだとしても、その傍に居るのだから。
だが、そう伝える事すらこの身では叶わない。
『言葉』ではなく仕草で伝えようとしても、やはりそれだけでは伝えきれず……却ってルフレに気を遣わせるだけで。
どうにもならぬ儘ならなさばかりが降り積もるのであった。
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