短いお話雑多
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時はクリスマス。それももうあと30分で終わろうとしている。
海咲はデスクの上に広がる書類の上に腕を伸ばして顔を突っ伏した。
『終わらん…何この報告書の量。』
警視庁公安部に所属する海咲は書いても書いても終わらない報告書に苦しめられていた。海咲は公安に配属されたのだからそれなりに人よりは出来ると思っていたのだが、どうやらそうでもないらしいとここ数年で理解した。
海咲はむくりと起き上がると時計を見た。少しぐだぐだした事により2分また今日が減った。
『あー今日が終わってしまう…』
「何かしたかったのか?」
『うわっ!ふ、降谷さん⁉︎』
気配もなく背後から声をかけられて海咲は慌てて振り返った。
「風見は?」
『あ、先輩なら先ほど出て行きましたが。』
「そうか。」
そう言って少し考える降谷を海咲はじっと見つめた。
ーわぁ降谷さん。本当相変わらずイケメン。先輩から緊急の繋ぎ役として紹介された時から思ってたけど…このルックスで仕事も出来るとかもはや犯罪だよね。あぁ降谷さんが恋人だったらなぁ…仕事は変わらず厳しいんだろうけど後で甘えさせてくれるんだろうな…最高じゃん。
うんうん。とひとり納得して頷いていると怪訝そうに降谷に顔を覗き込まれ海咲はビクッと肩を揺らした。
「聞いているか?」
『す、すみません。聞いていませんでした。』
どうやら話しかけられていたらしく海咲は慌てて頭を下げた。降谷はハァとため息をつくと言った。
「だから、何かしたかったのか?」
『え?』
「さっき今日が終わると残念がっていただろ?」
『あぁその事ですか。今日クリスマスじゃないですか。恋人とイルミ見てチキンとケーキを食べてプレゼント交換とかしちゃってぇ…とかをちょっと思ってました。』
「まぁ今から全部は無理だな。」
『いや、そもそも相手がいないので無理な話なんですけどね。』
ハハッと海咲は自嘲するが降谷はじっとその様子を見つめた。
『降谷さん、そこは一緒に笑うとこです。虚しくなります。そりゃ降谷さんには可愛い恋人の1人や2人いるかもしれませんが…』
「君の中で僕はそんなに遊び人なのか。」
『いや、そういうわけじゃないですけど、降谷さんに誘われたらホイホイ着いてくる女はたくさんいるだろうなって。』
降谷は再びハァとため息をつくと胸ポケットから綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
「ほら。」
『え?』
「プレゼント交換、したかったんだろ?」
『あ、もらっていいんですか?』
「もらっていいからこうやって差し出しているんだ。」
差し出されるプレゼントと降谷の顔を交互に見つめ海咲が戸惑っていると、ほら。と受け取りを催促され海咲はそれを受け取った。
『ありがとうございます…あ、私交換する物が…えと…』
海咲は自分のデスクを見回すがそこには仕上がり切れていない報告書だけで、それが目に入ると海咲は一気に現実に引き戻され顔をしかめた。降谷にも何か返さなくてはいけないし、どう考えても帰宅が深夜コースなので海咲は飲み物を買ってくる事にした。
『とりあえずコーヒーでも買ってきます。』
「いや、いい。」
『あ、まぁそうですよね、缶コーヒーを交換されても嬉しくないですよね。』
「…君はなんで僕がそれを用意していたのかとか考えないのか?」
『え?…頑張る部下へ降谷サンタからのプレゼントでは?』
海咲は降谷からもらったプレゼントをまじまじと見て真剣にそう答えたのに、本日3度目となるため息を降谷につかれてしまった。
「もういい。とりあえずプレゼントはもらっていくからな。」
『へ?だから何も…』
何もないですよ。と言おうとした海咲の唇は降谷の唇に塞がれ言葉を失った。それはすぐに離れ海咲は細められた青い瞳を見つめた。
「これで交換出来たな。さぁなんで僕がそれを用意していたのかわかるか?」
『え…と、私を喜ばすため?』
「まぁ半分正解だな。」
そう言って降谷はこの状況に戸惑っている海咲を抱きしめた。
「正解は僕が君を手に入れるためだ。」
『ふ、ふふ降谷さん⁉︎』
「海咲」
『!』
普段名字で呼び合うのに唐突に名前で呼ばれ海咲の心臓は跳ね上がった。
降谷は腕を緩めると真っ赤になった海咲の顔を見つめて言った。
「好きだ。」
『わ、私は…たぶん好きです。』
「たぶん?」
降谷に冷たい目で見下ろされ海咲はしどろもどろになりながら答えた。
『いや、だって、そりゃ降谷さんが恋人だったら…とか妄想もしましたけど!』
「妄想したのか。」
『でも降谷さんは高嶺の花だし!アイドル的っていうか…実際にどうこうってあまり考えた事がなくて…正直仕事の疲れで夢見てんじゃないかって…あ、もしかして本当に夢?』
「ちゃんと現実だ。」
『降谷さんの事、もちろん上司としてすごく尊敬してますし好きですけど…異性として好きかと聞かれると自信を持てないといいますか…』
「じゃあこれは嫌か?」
そう言って降谷は海咲の手に指を絡めてキュッと握った。
『嫌じゃないです。』
「これは?」
それから降谷は手を繋いだままもう片方の腕で海咲を引き寄せ抱きしめた。
『い、嫌じゃないです。』
ドキドキと高鳴る胸の音が聞こえていたらどうしようかと海咲がどぎまぎしていると、降谷の顔が近付き抵抗する暇もないまま2度目のキスをされた。またすぐに離れると降谷は鼻と鼻が触れ合いそうな距離で海咲を見つめて尋ねた。
「これは?」
『い…嫌じゃ、ないです…』
その答えを聞くと降谷は満足そうに笑った。
海咲は降谷の笑顔にドキンッと心臓が跳ね恥ずかしくなって視線を逸らした。
プレゼント交換
(そこの報告書ちゃんと出すように。)
(はぁい…)
(終わるまで本庁で待ってるから終わったら連絡してくれ。)
(…デスクで寝てたらごめんなさい。)
(おい。)
海咲はデスクの上に広がる書類の上に腕を伸ばして顔を突っ伏した。
『終わらん…何この報告書の量。』
警視庁公安部に所属する海咲は書いても書いても終わらない報告書に苦しめられていた。海咲は公安に配属されたのだからそれなりに人よりは出来ると思っていたのだが、どうやらそうでもないらしいとここ数年で理解した。
海咲はむくりと起き上がると時計を見た。少しぐだぐだした事により2分また今日が減った。
『あー今日が終わってしまう…』
「何かしたかったのか?」
『うわっ!ふ、降谷さん⁉︎』
気配もなく背後から声をかけられて海咲は慌てて振り返った。
「風見は?」
『あ、先輩なら先ほど出て行きましたが。』
「そうか。」
そう言って少し考える降谷を海咲はじっと見つめた。
ーわぁ降谷さん。本当相変わらずイケメン。先輩から緊急の繋ぎ役として紹介された時から思ってたけど…このルックスで仕事も出来るとかもはや犯罪だよね。あぁ降谷さんが恋人だったらなぁ…仕事は変わらず厳しいんだろうけど後で甘えさせてくれるんだろうな…最高じゃん。
うんうん。とひとり納得して頷いていると怪訝そうに降谷に顔を覗き込まれ海咲はビクッと肩を揺らした。
「聞いているか?」
『す、すみません。聞いていませんでした。』
どうやら話しかけられていたらしく海咲は慌てて頭を下げた。降谷はハァとため息をつくと言った。
「だから、何かしたかったのか?」
『え?』
「さっき今日が終わると残念がっていただろ?」
『あぁその事ですか。今日クリスマスじゃないですか。恋人とイルミ見てチキンとケーキを食べてプレゼント交換とかしちゃってぇ…とかをちょっと思ってました。』
「まぁ今から全部は無理だな。」
『いや、そもそも相手がいないので無理な話なんですけどね。』
ハハッと海咲は自嘲するが降谷はじっとその様子を見つめた。
『降谷さん、そこは一緒に笑うとこです。虚しくなります。そりゃ降谷さんには可愛い恋人の1人や2人いるかもしれませんが…』
「君の中で僕はそんなに遊び人なのか。」
『いや、そういうわけじゃないですけど、降谷さんに誘われたらホイホイ着いてくる女はたくさんいるだろうなって。』
降谷は再びハァとため息をつくと胸ポケットから綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
「ほら。」
『え?』
「プレゼント交換、したかったんだろ?」
『あ、もらっていいんですか?』
「もらっていいからこうやって差し出しているんだ。」
差し出されるプレゼントと降谷の顔を交互に見つめ海咲が戸惑っていると、ほら。と受け取りを催促され海咲はそれを受け取った。
『ありがとうございます…あ、私交換する物が…えと…』
海咲は自分のデスクを見回すがそこには仕上がり切れていない報告書だけで、それが目に入ると海咲は一気に現実に引き戻され顔をしかめた。降谷にも何か返さなくてはいけないし、どう考えても帰宅が深夜コースなので海咲は飲み物を買ってくる事にした。
『とりあえずコーヒーでも買ってきます。』
「いや、いい。」
『あ、まぁそうですよね、缶コーヒーを交換されても嬉しくないですよね。』
「…君はなんで僕がそれを用意していたのかとか考えないのか?」
『え?…頑張る部下へ降谷サンタからのプレゼントでは?』
海咲は降谷からもらったプレゼントをまじまじと見て真剣にそう答えたのに、本日3度目となるため息を降谷につかれてしまった。
「もういい。とりあえずプレゼントはもらっていくからな。」
『へ?だから何も…』
何もないですよ。と言おうとした海咲の唇は降谷の唇に塞がれ言葉を失った。それはすぐに離れ海咲は細められた青い瞳を見つめた。
「これで交換出来たな。さぁなんで僕がそれを用意していたのかわかるか?」
『え…と、私を喜ばすため?』
「まぁ半分正解だな。」
そう言って降谷はこの状況に戸惑っている海咲を抱きしめた。
「正解は僕が君を手に入れるためだ。」
『ふ、ふふ降谷さん⁉︎』
「海咲」
『!』
普段名字で呼び合うのに唐突に名前で呼ばれ海咲の心臓は跳ね上がった。
降谷は腕を緩めると真っ赤になった海咲の顔を見つめて言った。
「好きだ。」
『わ、私は…たぶん好きです。』
「たぶん?」
降谷に冷たい目で見下ろされ海咲はしどろもどろになりながら答えた。
『いや、だって、そりゃ降谷さんが恋人だったら…とか妄想もしましたけど!』
「妄想したのか。」
『でも降谷さんは高嶺の花だし!アイドル的っていうか…実際にどうこうってあまり考えた事がなくて…正直仕事の疲れで夢見てんじゃないかって…あ、もしかして本当に夢?』
「ちゃんと現実だ。」
『降谷さんの事、もちろん上司としてすごく尊敬してますし好きですけど…異性として好きかと聞かれると自信を持てないといいますか…』
「じゃあこれは嫌か?」
そう言って降谷は海咲の手に指を絡めてキュッと握った。
『嫌じゃないです。』
「これは?」
それから降谷は手を繋いだままもう片方の腕で海咲を引き寄せ抱きしめた。
『い、嫌じゃないです。』
ドキドキと高鳴る胸の音が聞こえていたらどうしようかと海咲がどぎまぎしていると、降谷の顔が近付き抵抗する暇もないまま2度目のキスをされた。またすぐに離れると降谷は鼻と鼻が触れ合いそうな距離で海咲を見つめて尋ねた。
「これは?」
『い…嫌じゃ、ないです…』
その答えを聞くと降谷は満足そうに笑った。
海咲は降谷の笑顔にドキンッと心臓が跳ね恥ずかしくなって視線を逸らした。
プレゼント交換
(そこの報告書ちゃんと出すように。)
(はぁい…)
(終わるまで本庁で待ってるから終わったら連絡してくれ。)
(…デスクで寝てたらごめんなさい。)
(おい。)
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