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クォーツ

「あっ・・・」
グレイリッジ鉱山の薄暗闇のなか、不格好な鉄鉱石に混じり、一際目を引く細い輝きが、シグの瞳を捉えた。

周りの土をどけて手にとって見ると、細い針のようなイエローゴールドに身を包んだ石が現れた。

「こんなところで珍しいな~」

こびりついた土を指で優しく拭うと、鉱山の中のランプでキラキラと光る。
その細い輝きが、どこか彼を彷彿させ、シグはすこし目を細めた。

今シグは出向中のロベルト、ヨベル、シスカと共にスヴァトゴル山から城に帰還する最中だった。

立ち止まるシグを不思議に思い、シスカは声をかける。
「あらシグちゃん、綺麗な石ねえ」
「そんなものどこで拾ったんだ!集中しろ!」
「ああ、さっきそこで拾ったんだけど・・・」

ロベルトがぎゃんと噛み付くが、シグはまったく気にしない様子だ。

「ちょっとジェイルに似てねえ?これ」
ちょうど輝く角度を探して、3人に見せる。
しばらく沈黙があったあと、ああ、確かに、とか、よく見ればそうだ、なんていう声が聞こえ始めた。

見れば見るほどその金針を映した水晶は、彼、ジェイルの姿を思い出させる。
優しい時もあり厳しい時もあるジェイル…はたまた一緒に村一番の悪ガキを競った頃の面影さえもその水晶はたたえている。

シグはもう一度親指で優しく石をなでた。
冷たく尾を引く石の感触が心地いい。シグは城で帰りを待つジェイルのもとへ、一刻も早く戻ろうと思い立ったのであった。
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