土器土器体育祭
カメラ3/6
部室をクラブズに任せて暫く。
人気を感じない校舎を走り抜けて着いた4階。
記憶の限り、カメラのある場所は空き教室。
校庭からの音で小さな音は拾うことが出来ない為、なるべく息を殺して静かに教室に近付く。
頭をよぎるのは、この先のことでは無くうーたんのことだった。
うーたん大丈夫かな…。
実は誰もいないと見せかけて、だったらボク、主犯の鯨岡くんを社会的に消さないと気が済まなくなっちゃうナ…。
裏取りくらい済ませてるし…。
映像越しで見覚えのある場所が見え、扉の前で立ち止まる。
窓から中を覗こうとしたが、通常は雑に閉まっているカーテンが閉じ切っており、中の様子は分からなかった。
周りの様子に耳を澄ませ、異変が無いことを確認してから扉に手を掛けた。
カラカラ…と、引っかかりもなくスムーズに開く隙間から注意深く中を覗き見る。
数秒観察した後、人1人分だけ隙間を開けて身を滑り込ませた。
端に埃の被った机と椅子だけが積まれた閑散とした教室を見回す。
黒板にはいくつか落書きが散見していたが、サボる生徒やヤリ部屋としてよく利用されているこの教室ではいつも通りと言える。
中には誰もいなかった。
ハズレ、カナ?
教室中を見回して異変が無いことを確認してカメラに向かう。
ただ、遠目からの見た目は壊されている様子は無く、うーたんは配線を抜いたことを壊してるってって言ったのか、と教室の奥の棚の上に立ってカメラに近付く。
カメラと天井の間に目を向けて気付く。
配線が抜けてない。
手を伸ばしてカメラの背面に触れる。
カチ、と手の感触と共に小さな赤い光が点滅し出したことにより、電源が落とされていたことが分かった。
途端に違和感が膨れ上がる。
なんで壊されてない?
なんで電源を落とすだけなんて手のかかることを?
なんでカーテンは締め切られていた?
さっきまで聞こえなかった音が耳に入り、扉に目を向けた。
廊下から複数の足音が聞こえ、扉が音を鳴らす。
「よォ坊ちゃん」
いくつかのピアスを耳に開け、髪を染めたガラの悪い生徒が2人。見るからにZクラスだと分かった。
棚の上から無表情で見下ろす。
「悪いけどぉ、今からお前はオレらのサンドバッグでーす!」
笑いのツボが違うのか、下品に笑いだす2人を暫く眺めた後、首を傾げた。
ンー。
ちょっと待ってみたケド。
「なんだ、2人だけなの?」
は?と同時に2人が口を開け、間を置いて再び可笑しそうに笑い出した。
強がりに思われたのか、それともドMにでも見えたのか。
心外だナ〜。
でも、そんな2人をボクは哀れに思う。
「なぁんにも聞いて無いんだネ」
表情を変えないボクに違和感を感じたのか、1人が笑うのを止めて気まずそうに眉を寄せた。
「チッ…こいつなんだよ」
「まぁまぁ、これが終わったら金貰えるしはやく終わらせようぜ。わくわくするだろ」
太っ腹だ〜。
この計画のために何人Zクラスの生徒を雇ったのやら。
近付いてくる2人を見て棚の上でしゃがむ。
やれやれ。
棚に手をついて前屈みになり、眼鏡を置いた。
1人が腕をぷらぷらさせ、ボクに手が届くくらい近くに来たのを見て、素早く手を伸ばした。
その先にあるひんやりと硬く冷たい物を掴み、呆気に取られた顔に向かって"机"を強引に引っ張り、
ぶつけた。
その勢いのまま1人が倒れる。
同時に机が床に勢いよく落ちた音が教室に響く。
ボクのゴングはこれ、だヨ。
よっこらせ、と棚から降りる。
「ふざけてんじゃねェぞテメェ!!」
呻く声を被せる様に怒鳴る、机を避けたもう1人に向かって肩を回して笑いかけた。
「どう?ワクワクしてきた?」
部室をクラブズに任せて暫く。
人気を感じない校舎を走り抜けて着いた4階。
記憶の限り、カメラのある場所は空き教室。
校庭からの音で小さな音は拾うことが出来ない為、なるべく息を殺して静かに教室に近付く。
頭をよぎるのは、この先のことでは無くうーたんのことだった。
うーたん大丈夫かな…。
実は誰もいないと見せかけて、だったらボク、主犯の鯨岡くんを社会的に消さないと気が済まなくなっちゃうナ…。
裏取りくらい済ませてるし…。
映像越しで見覚えのある場所が見え、扉の前で立ち止まる。
窓から中を覗こうとしたが、通常は雑に閉まっているカーテンが閉じ切っており、中の様子は分からなかった。
周りの様子に耳を澄ませ、異変が無いことを確認してから扉に手を掛けた。
カラカラ…と、引っかかりもなくスムーズに開く隙間から注意深く中を覗き見る。
数秒観察した後、人1人分だけ隙間を開けて身を滑り込ませた。
端に埃の被った机と椅子だけが積まれた閑散とした教室を見回す。
黒板にはいくつか落書きが散見していたが、サボる生徒やヤリ部屋としてよく利用されているこの教室ではいつも通りと言える。
中には誰もいなかった。
ハズレ、カナ?
教室中を見回して異変が無いことを確認してカメラに向かう。
ただ、遠目からの見た目は壊されている様子は無く、うーたんは配線を抜いたことを壊してるってって言ったのか、と教室の奥の棚の上に立ってカメラに近付く。
カメラと天井の間に目を向けて気付く。
配線が抜けてない。
手を伸ばしてカメラの背面に触れる。
カチ、と手の感触と共に小さな赤い光が点滅し出したことにより、電源が落とされていたことが分かった。
途端に違和感が膨れ上がる。
なんで壊されてない?
なんで電源を落とすだけなんて手のかかることを?
なんでカーテンは締め切られていた?
さっきまで聞こえなかった音が耳に入り、扉に目を向けた。
廊下から複数の足音が聞こえ、扉が音を鳴らす。
「よォ坊ちゃん」
いくつかのピアスを耳に開け、髪を染めたガラの悪い生徒が2人。見るからにZクラスだと分かった。
棚の上から無表情で見下ろす。
「悪いけどぉ、今からお前はオレらのサンドバッグでーす!」
笑いのツボが違うのか、下品に笑いだす2人を暫く眺めた後、首を傾げた。
ンー。
ちょっと待ってみたケド。
「なんだ、2人だけなの?」
は?と同時に2人が口を開け、間を置いて再び可笑しそうに笑い出した。
強がりに思われたのか、それともドMにでも見えたのか。
心外だナ〜。
でも、そんな2人をボクは哀れに思う。
「なぁんにも聞いて無いんだネ」
表情を変えないボクに違和感を感じたのか、1人が笑うのを止めて気まずそうに眉を寄せた。
「チッ…こいつなんだよ」
「まぁまぁ、これが終わったら金貰えるしはやく終わらせようぜ。わくわくするだろ」
太っ腹だ〜。
この計画のために何人Zクラスの生徒を雇ったのやら。
近付いてくる2人を見て棚の上でしゃがむ。
やれやれ。
棚に手をついて前屈みになり、眼鏡を置いた。
1人が腕をぷらぷらさせ、ボクに手が届くくらい近くに来たのを見て、素早く手を伸ばした。
その先にあるひんやりと硬く冷たい物を掴み、呆気に取られた顔に向かって"机"を強引に引っ張り、
ぶつけた。
その勢いのまま1人が倒れる。
同時に机が床に勢いよく落ちた音が教室に響く。
ボクのゴングはこれ、だヨ。
よっこらせ、と棚から降りる。
「ふざけてんじゃねェぞテメェ!!」
呻く声を被せる様に怒鳴る、机を避けたもう1人に向かって肩を回して笑いかけた。
「どう?ワクワクしてきた?」