土器土器体育祭

カメラ1/6



加賀屋からの言葉を最後にそれぞれの行動に移った。マイクは切れているようだが、通信は繋がったままなのか、聞き覚えのない曲が流れることは無かった。

気が散るから正直助かった。

足を一度も止めること無かったお陰で旧校舎に到着する。そのまま校舎に土足で踏み込む。
近くに森のような場所があるからか、校庭から大きく離れているからか、人気は無く、違和感を感じるような音も聞こえてこなかった。

ハズレか?
そう思いつつ、携帯で画像を確認し、カメラが落ちた場所まで一直線に向かう。3階と5階だ。
上がる階毎に念の為廊下を覗いていく。2階の廊下に異常は見られず、3階に上がる。重さを感じる足を意識しないように階段を駆け上がったが、流石に息が切れてきた。

短く息を吐き、廊下に出た。

途端、角から黒い影が上から振り下ろされ飛び避ける。
そのまま影から距離を取り、顔を上げた。

「ちゃんと狙えって〜」
「避けんなよ!」

「……テメェら」

廊下に立っていたのは5人。
鉄パイプや汚い木製バットを持つ奴らはどいつもこいつも見覚えがあった。
Zクラスで間違い無い。
ギャハハと下品な笑いをあげる3年の馬鹿面を睨む。
馬鹿が意に介さず口を開く。

「聞いてんぞ、お前フウキの犬なんだってな」
「前から気に入らなかったんだよな〜ちょうどいいぜ」

口々に馬鹿にするような笑みを浮かべる姿に鼻で笑う。
「ハッ、テメェらも留年は飽きたのか?次は留置所だな」
「ア"?」
「ああ、まずは病院か」
「ナマイキ言ってんじゃねェぞクソガキ!」

顔を赤くしてバットを振り上げ向かってくる馬鹿。ガラ空きの腹部に拳を沈め、濁音を漏らしてそのまま倒れるのを眺める。横に転がったまま動くことは無く、気絶したらしい。真っ直ぐ鳩尾に入った手応えがあったから特に何も思わなかった。

目線だけ動かして残った馬鹿4人を見る。
数人は怯んだ様だった。

「終わりか?馬鹿に構ってる暇ねェから早く終わらせてェんだが」

面白いくらい煽りに弱い馬鹿がイキリ立つ。

さっきの発言は言葉通りの意味だ。
旧校舎に神庭か南部が居るのかは分からねェが、罠ならすぐに終わらせたい。



馬鹿4人が向かってくるのを見て、すぐに終わりそうだと思った。
54/76ページ