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1️⃣ 間接キス
依頼者から使わないからと貰ったカフェのギフト券。
俺だって普段そんな所へ滅多に行かないが折角貰ったのだからと仕事を終えてカフェへと向かった。
何がなんだか分からず、店員に勧められるままにカスタマイズまでしたドリンクを受け取って空いていた窓際の席に座る。
「ふぅ…」
束の間の休息。
ガラスの向こうでは人が忙しなく歩いていく。
次の仕事のチェックをしたりしていると、外からガラスを叩かれた。
顔を上げるとそこには、嬉しそうに手を振る彼女。
「〇〇⁉︎」
驚いて思わず声をあげた俺の隣の席を指差して「そこ行ってもいい?」と言いたげな表情に頷くと、跳ねるように駆け出す彼女。
「一郎くん!こんな所で会うなんて偶然だね!」
「おぉ、そうだな」
「それ、何飲んでるの?新作?美味しい?」
「ん?これは店員さんに言われるがままに買ったから分かんねぇや、飲むか?」
「…いいの?」
「嗚呼、ほら」
持っていたカップを差し出す俺の手に被さる彼女の冷たい手。
グリーンのストローを咥える赤い唇。
「あ、美味しい!」
キラキラとした瞳に思わず心臓が跳ね上がる。
それを遮る着信音。
ポケットから取り出したスマートフォンの画面を見詰め彼女か慌てて店を飛び出して行く。
「え、あ!バイト先からだ…もう行かなきゃ!バイバイ一郎くん!」
「あ、さっきの私以外にしちゃダメだよ!期待しちゃうから!」
「あ、おい!〇〇ッ‼︎」
嵐のように去って行った彼女。
「さっきのってなんだよ…」
自分の行動を思い返して赤面した。
男三兄弟、普段気にせずにやっていたが、あれは完全に間接キスだ。
目の前にはグリーンのストロー。
(期待しちゃうって、なんだよ…‼︎)
恥ずかしそうに笑った彼女の赤い唇が鮮明に思い浮かんでしまい、カップの蓋を外して勢いよく飲み干した。
2️⃣ ハプニング
彼女を初めて自宅に呼んだ。
飲み物を持って彼女の待つ自室へ向かう。
部屋に入ってすぐ、自室のローテーブルに脚をぶつけて、バランス崩して、麦茶が溢れる。
「ひゃん⁉︎」
溢れた麦茶が彼女の胸元を濡らす。
「うわっ!ごめん‼︎風邪引くから早く脱いで…⁉︎」
彼女の制服に手を掛けて、慌ててボタンを外していく。
「じろっ、ちょっ、待って!」
彼女の声に手を止めると、目の前にはパステルピンクに包まれた柔らかそうなおっぱい…と、真っ赤な顔で泣きそうな彼女。
「わッ⁉︎悪ぃ‼︎」
(ヤバい、何やってんだ俺⁉︎⁉︎)
お互いにキャパオーバーでどうする事も出来ず固まっていると、突然豪快に開く自室の扉。
「じろぉ〜!お前折角出した菓子忘れて、る、ぞ……っとぉ?…悪い、邪魔したな…」
菩薩顔の兄。
ばたり、と閉められた扉越し。
兄ちゃんちょっと出掛けてくるわ、と焦りを孕んだ兄の声。
ここで一旦、状況整理。
服のはだけた彼女(涙目赤面)
に、馬乗りの俺。
更にここはベッドの上。
「ちょ!ごめん〇〇‼︎とりあえずこれ着て‼︎」「違うよ⁉︎兄ちゃん‼︎ちがうからぁ‼︎」
着ていたカーデガンを彼女に被せて、慌ててベッドから飛び降り兄を追いかける。
途中、階段を転げ落ちて鼻血を垂らしながら兄に事情説明をし事無き(?)を得た。
3️⃣ 手のひら合わせ
「さぶろーくん…手大きいね」
「は?何突然」
図書館で借りた小説を読んでいた彼女の口から唐突に発せられた言葉。
本に向けられていたはずの瞳は好奇心の色を孕んで僕を見詰める。
「大きさ比べしよ!」
目の前に出された彼女の小さな手。
仕方ない、溜息をひとつ吐いて触れるか触れないかギリギリの所で手を開く。
「ほら、やっぱり三郎くんのが大きいね!」
何故か自分の事みたく嬉しそうに笑って、僕の手を握る彼女。
やっぱり男のなんだねぇ…なんて急にしんみりしだす彼女が可笑しくて
「成長期だし、まだまだ大きくなるよ」
貴女をちゃんと守れるくらいにね、耳元で囁いて、頰にキスをして、その小さな手に指を絡めた。
🐴 電話
『…へ、あ?左馬刻さん?』
珍しく掛かってきた彼女からの電話。
通話ボタンをスライドして応答すると、電話越し何故か驚いて焦る彼女の間抜けな声。
「そーだよ、何だ間違い電話か?」
『ち、違います!…いやぁ、出るとは思わなくて』
「はぁ?何だそりゃ。で、用件は?」
『声が聴きたいなぁ…なんて思っただけです…!でも、まさか出るとは本当に思わなくて…‼︎お疲れ様です…!お騒がせしました‼︎…おやすみなさい!』
「あ゛…?おいッ‼︎」
矢継ぎ早に告げられて、
ぶつり、と切られた通話に溜息をひとつ。
急いで車を走らせて、いじらしくて愛おしい彼女の家まで向かう。
🐰 不意打ち
気の強い彼女とは意見が衝突し、時折口喧嘩に発展する。
彼女は口で勝てないと判ると軽くだが手を出してくるのでタチが悪い。(後に泣いて謝るくらいなら辞めればいいのに彼女の性格が許さないらしい。)
(今日はどう出る?…前回は顔面平手打ちだったからなぁ…アレは勘弁願いたい。)
そろそろ来るか、と思っていると…
ぐい、と引っ張られたネクタイ
急な衝撃につけていたタイピンが外れ地面へと落ちる。
「何すんだ…⁉︎」
言い掛けた唇を塞ぐ柔い感触。
「銃兎さんのばか…」
瞳を潤ませ真っ赤な顔で凄んだ彼女はぽかんと口を半開きにした俺を置いて走りだす。
「…あッ、おい‼︎」
慌てて、タイピンを拾おうとその場にしゃがみ込む。
自分の唇にハッキリと残る彼女の唇の柔らかさ。
年甲斐も無く火照る顔。
「畜生!ンだよ、あれ…ッ‼︎」
ぐしゃぐしゃと髪を乱しながら三下みたいな捨て台詞を吐いて、雑踏に紛れて消えた彼女を追う。
🐦 シタゴコロ
「うわぁ!美味しそう‼︎」
テーブルに並んだ手料理。
輝く瞳が嬉しそうに細められる。
「喜んで貰えたなら小官も嬉しい。最近忙しくて食事もまともにしていなかったのだろう?冷蔵庫が空だったぞ」
「あはは、バレましたか…?理鶯さんは本当に世話好きですね。いつもありがとうございます」
へらりと笑う彼女の目元にはメイクでも隠し切れない浅黒い隈。
心成しかいつもよりもやつれている。
「世話好き…まぁそうだな。尽くすのは好きかも知れない。だが、〇〇。小官にも下心はあるぞ?」
「へ?」
きょとんと小首を傾げる愛らしい彼女の額にキスを落とす。
大きな瞳がさらに大きく見開かれ、青白かった顔に赤みが増していく。
「こういう行為もしたい。と言う意味で小官は〇〇に尽くしていると言う事だ。…だが先ずは体力の回復が優先だ」
「へ⁉︎理鶯さん⁉︎先ずはって事は今後これ以上があるんですか⁉︎」
「さぁ、どうだろうな。さぁ、食事にしよう」
赤面しながら慌てふためく彼女が愛おしいので距離を詰めるのはもう少し時間をかける事にしよう。
🍬 ハンカチ
「も〜!どうしてすぐナンパに捕まっちゃうかなぁ?」
彼女の手を掴んでセンター街を抜ける。
「だって、あの人達どうやって断ってもついてくるんだもん…」
「そういう手口なんだってば〜!にしたって毎回毎回捕まりすぎぃ‼︎」
彼女は優しいからいつも上手に断れない。
そんな彼女を助けるのが僕の仕事。
「ごめんなさい…」
急に離れた手に振り返ると、立ち止まり大きな瞳からぽろぽろと涙を流す彼女。
「もぉ、別に本気で怒ってる訳じゃ無いんだから泣かないでよぉ〜」
駆け寄って、ハンカチで彼女の頰を伝う涙を拭う。鼻をぐすりと啜りながら、いい匂いする…、と彼女が呟く。
「そう?新しい香水の匂いかな?」
ポケットから出した飴のフィルムを剥いで彼女の口へ放り込む。
ちょっと!人のハンカチ嗅がない‼︎
スーハーしない‼︎
「ほら、涙拭いて!飴食べて!はい、笑って?」
うん、君はやっぱり笑顔が一番可愛いね。
📖 ツーショット
彼女のスマートフォンの壁紙は付き合う前に撮ったツーショット。
なんとなく気恥ずかしくて、2人の間は中途半端に空いている…何とも初々しい写真だ。
「恥ずかしいから変えてください」
「いやです。…そういえば、幻太郎さんの壁紙って何でしたっけ?」
「…猫です」
「そうでしたっけ?見せてください」
「嫌です」
スマートフォンを掲げる小生とそれを奪おうとぴょんぴょんと跳ねる彼女。
いじわる、膨れっ面をした彼女の頰をつまむ。
「いひゃいれふ〜」
「人の嫌がる事をするからでおじゃ〜」
「もー!」
軽く叩かれた手からスマートフォンが落ちる。
「ごめんなさい!良かったぁ画面は割れてません、よ…」
彼女の指に反応して映し出された待ち受け画面。
「幻太郎さんも同じじゃないですか〜」
彼女は嬉しそうににんまりと笑った。
🎲 ギャップ
「んじゃ、行ってくるわ。泊めてくれてサンキューな!」
「ちょっと待って」
背後からフードを引かれ、思わずぐぇっ、とカエルみたいな声が出る。
「おい!何すんだよ乱数ァ‼︎」
「帝統、またその格好で〇〇とデートに行くつもり⁉︎」
ありえないんだけど!と顔をしかめる乱数を無理矢理引き剥がすと、俺の頭から爪先までをじぃっと見詰めながら溜息を吐く。
「なんだよ…、別にいいだろ!俺の一張羅だぞ!」
「一張羅なのはいいけどさぁ、〇〇は毎回お洒落してくるんだからちゃんとそれに見合う格好してあげないと愛想尽かされちゃうよ?」
その言葉にぐうの音も出ない俺は歯軋りをする。
「じゃあ、どうしたらいいんだよ…!」
嘆く俺。
待ってました、と言わんばかりににんまりと笑う乱数。
やっちまったと思った時にはもう遅く、身包み剥がれて着せ替え人形にされた。
少し遅れて待ち合わせ場所に着くと、そこにはもう彼女が居た。
「悪りぃ、遅れた…」
「え、帝統⁉︎」
目をまあるくする彼女。
乱数の手によって、普段とは違う服装にさせられたいつもより小綺麗な俺が来たのだから無理も無いだろう。
「乱数の人形にされた…」
「でも似合ってるよ、ギャップ萌え…ってヤツ?…すごいカッコいい」
ふにゃりと笑う彼女の顔に思わず心臓が高鳴る。
「お前だって、いつもとちげぇじゃん!」
「帝統に合わせてみたんだけど…」
失敗しちゃった…?、と恥ずかしそうに俺の一張羅そっくりのモッズコートのフードを被る彼女。
彼シャツ、いやこの場合は彼コートか?
「いや、めっちゃいい…サイコー」
(そんな事ねぇよ、似合ってんじゃん‼︎)
ポーカーフェイスは何処へやら…思わず心の声が盛大に漏れてしまった。
💉 名前
彼女との久々のデート。
「先生、あれ見てください!」
「あのぬいぐるみ先生に似てますよ!」
私を呼んで嬉しそうにはしゃぐ姿がとても愛らしい。
「〇〇くん」
「はい?」
大きな犬のぬいぐるみを抱えた彼女が嬉しそうにこちらを振り返る。
「折角2人きりなのだから、その…先生はやめないかい…?」
「失礼しました…つい、癖で…」
しょんぼりと、こうべを垂れる彼女。
「あっちにイルミネーションがあるそうです。行きませんか?」
隣を歩く彼女はさっきと打って変わって、静かになってしまった。
多分、どう呼んでいいのか迷っているんだろう。
髪から覗く真っ赤な耳が可愛らしい。
そんな姿を観察していると、小さな彼女が目の前の人混みに紛れてしまう。
いつもなら回避する様に彼女を誘導するけれど今日はちょっとだけ意地悪をしてみた。
「せんせっ、〜〜寂雷さんッ!」
グイッ、と引かれたコートの袖。
真っ赤な顔の君。
「ごめん、ごめん。君が頑なに名前を呼んでくれないからいつ呼んでくれるのかなぁと思って」
「…狡いです」
「ほら、もう一度名前を呼んで?」
🥂 喧嘩
今朝、彼女と喧嘩をした。
めちゃくちゃ他愛も無い事だったのに、カチンと来て言い返してしまった。
何時もなら「ごめんね」って言えるのに。
何故だかその時には言えなかった。
だから絶賛後悔中…
「あー、どうしよ…」
スマホの画面、書いては消してを繰り返してソファーに突っ伏した。
「あぁ、もぉ〜〜‼︎」
こんな時は料理をしよう。
ぐちゃぐちゃの頭を整理する為に
大量の料理が出来上がった頃。
いつもより、小さな声でただいまを言った君が帰ってくる。
「…おかえり」
「…ただいま」
お互い何か言いたげな表情をしているのは丸わかり。
「「あのさッ」」
2人の声が重なって、一二三からどうぞ…って申し訳なさそうな君。
「今朝はごめん」
「私こそごめん。言い過ぎた」
「うん、いいよ」
仲直りをした君がテーブルに並んだ沢山の料理を見詰める。
「これ…」
「ムシャクシャして作ったんだけど、気付いたら全部〇〇の好物だった…」
「なにそれ」
「喧嘩しても〇〇が俺の事嫌いになっても、俺っちには〇〇しか居ないって事…!」
「…だから俺のこと捨てないで…?」
目頭がちょっとだけ熱くなる。
泣きそうな俺を見て噴き出した君が捨てないよ!と向日葵みたいな笑顔で笑う。
👔 左手の薬指
先日、彼女から指輪を貰った。
以前、俺が(虫除け用に)彼女に贈ったのと同じデザインのヤツ。
「バトルで優勝して、独歩くんの魅力が日本中に広まっちゃったんだから!」
不安そうな顔で俺に指輪を押し付けて来た彼女。
どうやら女除けのつもりらしい。
(こんな事しなくたって俺はお前以外眼中にないのになぁ…)
俺の左手薬指に輝く、彼女の独占欲の表れに思わず顔が綻ぶ。
「お疲れ様です、お先に失礼します…」
無事、定時に上がる事に成功した俺は足早に会社を出た。
これから花屋に寄って、ジュエリーショップで商品を受け取って彼女の家へと向かうのだ。
彼女の左手の薬指に輝くダイヤのついたプラチナの指輪を想像する。
君はどんな顔をするだろうか。
依頼者から使わないからと貰ったカフェのギフト券。
俺だって普段そんな所へ滅多に行かないが折角貰ったのだからと仕事を終えてカフェへと向かった。
何がなんだか分からず、店員に勧められるままにカスタマイズまでしたドリンクを受け取って空いていた窓際の席に座る。
「ふぅ…」
束の間の休息。
ガラスの向こうでは人が忙しなく歩いていく。
次の仕事のチェックをしたりしていると、外からガラスを叩かれた。
顔を上げるとそこには、嬉しそうに手を振る彼女。
「〇〇⁉︎」
驚いて思わず声をあげた俺の隣の席を指差して「そこ行ってもいい?」と言いたげな表情に頷くと、跳ねるように駆け出す彼女。
「一郎くん!こんな所で会うなんて偶然だね!」
「おぉ、そうだな」
「それ、何飲んでるの?新作?美味しい?」
「ん?これは店員さんに言われるがままに買ったから分かんねぇや、飲むか?」
「…いいの?」
「嗚呼、ほら」
持っていたカップを差し出す俺の手に被さる彼女の冷たい手。
グリーンのストローを咥える赤い唇。
「あ、美味しい!」
キラキラとした瞳に思わず心臓が跳ね上がる。
それを遮る着信音。
ポケットから取り出したスマートフォンの画面を見詰め彼女か慌てて店を飛び出して行く。
「え、あ!バイト先からだ…もう行かなきゃ!バイバイ一郎くん!」
「あ、さっきの私以外にしちゃダメだよ!期待しちゃうから!」
「あ、おい!〇〇ッ‼︎」
嵐のように去って行った彼女。
「さっきのってなんだよ…」
自分の行動を思い返して赤面した。
男三兄弟、普段気にせずにやっていたが、あれは完全に間接キスだ。
目の前にはグリーンのストロー。
(期待しちゃうって、なんだよ…‼︎)
恥ずかしそうに笑った彼女の赤い唇が鮮明に思い浮かんでしまい、カップの蓋を外して勢いよく飲み干した。
2️⃣ ハプニング
彼女を初めて自宅に呼んだ。
飲み物を持って彼女の待つ自室へ向かう。
部屋に入ってすぐ、自室のローテーブルに脚をぶつけて、バランス崩して、麦茶が溢れる。
「ひゃん⁉︎」
溢れた麦茶が彼女の胸元を濡らす。
「うわっ!ごめん‼︎風邪引くから早く脱いで…⁉︎」
彼女の制服に手を掛けて、慌ててボタンを外していく。
「じろっ、ちょっ、待って!」
彼女の声に手を止めると、目の前にはパステルピンクに包まれた柔らかそうなおっぱい…と、真っ赤な顔で泣きそうな彼女。
「わッ⁉︎悪ぃ‼︎」
(ヤバい、何やってんだ俺⁉︎⁉︎)
お互いにキャパオーバーでどうする事も出来ず固まっていると、突然豪快に開く自室の扉。
「じろぉ〜!お前折角出した菓子忘れて、る、ぞ……っとぉ?…悪い、邪魔したな…」
菩薩顔の兄。
ばたり、と閉められた扉越し。
兄ちゃんちょっと出掛けてくるわ、と焦りを孕んだ兄の声。
ここで一旦、状況整理。
服のはだけた彼女(涙目赤面)
に、馬乗りの俺。
更にここはベッドの上。
「ちょ!ごめん〇〇‼︎とりあえずこれ着て‼︎」「違うよ⁉︎兄ちゃん‼︎ちがうからぁ‼︎」
着ていたカーデガンを彼女に被せて、慌ててベッドから飛び降り兄を追いかける。
途中、階段を転げ落ちて鼻血を垂らしながら兄に事情説明をし事無き(?)を得た。
3️⃣ 手のひら合わせ
「さぶろーくん…手大きいね」
「は?何突然」
図書館で借りた小説を読んでいた彼女の口から唐突に発せられた言葉。
本に向けられていたはずの瞳は好奇心の色を孕んで僕を見詰める。
「大きさ比べしよ!」
目の前に出された彼女の小さな手。
仕方ない、溜息をひとつ吐いて触れるか触れないかギリギリの所で手を開く。
「ほら、やっぱり三郎くんのが大きいね!」
何故か自分の事みたく嬉しそうに笑って、僕の手を握る彼女。
やっぱり男のなんだねぇ…なんて急にしんみりしだす彼女が可笑しくて
「成長期だし、まだまだ大きくなるよ」
貴女をちゃんと守れるくらいにね、耳元で囁いて、頰にキスをして、その小さな手に指を絡めた。
🐴 電話
『…へ、あ?左馬刻さん?』
珍しく掛かってきた彼女からの電話。
通話ボタンをスライドして応答すると、電話越し何故か驚いて焦る彼女の間抜けな声。
「そーだよ、何だ間違い電話か?」
『ち、違います!…いやぁ、出るとは思わなくて』
「はぁ?何だそりゃ。で、用件は?」
『声が聴きたいなぁ…なんて思っただけです…!でも、まさか出るとは本当に思わなくて…‼︎お疲れ様です…!お騒がせしました‼︎…おやすみなさい!』
「あ゛…?おいッ‼︎」
矢継ぎ早に告げられて、
ぶつり、と切られた通話に溜息をひとつ。
急いで車を走らせて、いじらしくて愛おしい彼女の家まで向かう。
🐰 不意打ち
気の強い彼女とは意見が衝突し、時折口喧嘩に発展する。
彼女は口で勝てないと判ると軽くだが手を出してくるのでタチが悪い。(後に泣いて謝るくらいなら辞めればいいのに彼女の性格が許さないらしい。)
(今日はどう出る?…前回は顔面平手打ちだったからなぁ…アレは勘弁願いたい。)
そろそろ来るか、と思っていると…
ぐい、と引っ張られたネクタイ
急な衝撃につけていたタイピンが外れ地面へと落ちる。
「何すんだ…⁉︎」
言い掛けた唇を塞ぐ柔い感触。
「銃兎さんのばか…」
瞳を潤ませ真っ赤な顔で凄んだ彼女はぽかんと口を半開きにした俺を置いて走りだす。
「…あッ、おい‼︎」
慌てて、タイピンを拾おうとその場にしゃがみ込む。
自分の唇にハッキリと残る彼女の唇の柔らかさ。
年甲斐も無く火照る顔。
「畜生!ンだよ、あれ…ッ‼︎」
ぐしゃぐしゃと髪を乱しながら三下みたいな捨て台詞を吐いて、雑踏に紛れて消えた彼女を追う。
🐦 シタゴコロ
「うわぁ!美味しそう‼︎」
テーブルに並んだ手料理。
輝く瞳が嬉しそうに細められる。
「喜んで貰えたなら小官も嬉しい。最近忙しくて食事もまともにしていなかったのだろう?冷蔵庫が空だったぞ」
「あはは、バレましたか…?理鶯さんは本当に世話好きですね。いつもありがとうございます」
へらりと笑う彼女の目元にはメイクでも隠し切れない浅黒い隈。
心成しかいつもよりもやつれている。
「世話好き…まぁそうだな。尽くすのは好きかも知れない。だが、〇〇。小官にも下心はあるぞ?」
「へ?」
きょとんと小首を傾げる愛らしい彼女の額にキスを落とす。
大きな瞳がさらに大きく見開かれ、青白かった顔に赤みが増していく。
「こういう行為もしたい。と言う意味で小官は〇〇に尽くしていると言う事だ。…だが先ずは体力の回復が優先だ」
「へ⁉︎理鶯さん⁉︎先ずはって事は今後これ以上があるんですか⁉︎」
「さぁ、どうだろうな。さぁ、食事にしよう」
赤面しながら慌てふためく彼女が愛おしいので距離を詰めるのはもう少し時間をかける事にしよう。
🍬 ハンカチ
「も〜!どうしてすぐナンパに捕まっちゃうかなぁ?」
彼女の手を掴んでセンター街を抜ける。
「だって、あの人達どうやって断ってもついてくるんだもん…」
「そういう手口なんだってば〜!にしたって毎回毎回捕まりすぎぃ‼︎」
彼女は優しいからいつも上手に断れない。
そんな彼女を助けるのが僕の仕事。
「ごめんなさい…」
急に離れた手に振り返ると、立ち止まり大きな瞳からぽろぽろと涙を流す彼女。
「もぉ、別に本気で怒ってる訳じゃ無いんだから泣かないでよぉ〜」
駆け寄って、ハンカチで彼女の頰を伝う涙を拭う。鼻をぐすりと啜りながら、いい匂いする…、と彼女が呟く。
「そう?新しい香水の匂いかな?」
ポケットから出した飴のフィルムを剥いで彼女の口へ放り込む。
ちょっと!人のハンカチ嗅がない‼︎
スーハーしない‼︎
「ほら、涙拭いて!飴食べて!はい、笑って?」
うん、君はやっぱり笑顔が一番可愛いね。
📖 ツーショット
彼女のスマートフォンの壁紙は付き合う前に撮ったツーショット。
なんとなく気恥ずかしくて、2人の間は中途半端に空いている…何とも初々しい写真だ。
「恥ずかしいから変えてください」
「いやです。…そういえば、幻太郎さんの壁紙って何でしたっけ?」
「…猫です」
「そうでしたっけ?見せてください」
「嫌です」
スマートフォンを掲げる小生とそれを奪おうとぴょんぴょんと跳ねる彼女。
いじわる、膨れっ面をした彼女の頰をつまむ。
「いひゃいれふ〜」
「人の嫌がる事をするからでおじゃ〜」
「もー!」
軽く叩かれた手からスマートフォンが落ちる。
「ごめんなさい!良かったぁ画面は割れてません、よ…」
彼女の指に反応して映し出された待ち受け画面。
「幻太郎さんも同じじゃないですか〜」
彼女は嬉しそうににんまりと笑った。
🎲 ギャップ
「んじゃ、行ってくるわ。泊めてくれてサンキューな!」
「ちょっと待って」
背後からフードを引かれ、思わずぐぇっ、とカエルみたいな声が出る。
「おい!何すんだよ乱数ァ‼︎」
「帝統、またその格好で〇〇とデートに行くつもり⁉︎」
ありえないんだけど!と顔をしかめる乱数を無理矢理引き剥がすと、俺の頭から爪先までをじぃっと見詰めながら溜息を吐く。
「なんだよ…、別にいいだろ!俺の一張羅だぞ!」
「一張羅なのはいいけどさぁ、〇〇は毎回お洒落してくるんだからちゃんとそれに見合う格好してあげないと愛想尽かされちゃうよ?」
その言葉にぐうの音も出ない俺は歯軋りをする。
「じゃあ、どうしたらいいんだよ…!」
嘆く俺。
待ってました、と言わんばかりににんまりと笑う乱数。
やっちまったと思った時にはもう遅く、身包み剥がれて着せ替え人形にされた。
少し遅れて待ち合わせ場所に着くと、そこにはもう彼女が居た。
「悪りぃ、遅れた…」
「え、帝統⁉︎」
目をまあるくする彼女。
乱数の手によって、普段とは違う服装にさせられたいつもより小綺麗な俺が来たのだから無理も無いだろう。
「乱数の人形にされた…」
「でも似合ってるよ、ギャップ萌え…ってヤツ?…すごいカッコいい」
ふにゃりと笑う彼女の顔に思わず心臓が高鳴る。
「お前だって、いつもとちげぇじゃん!」
「帝統に合わせてみたんだけど…」
失敗しちゃった…?、と恥ずかしそうに俺の一張羅そっくりのモッズコートのフードを被る彼女。
彼シャツ、いやこの場合は彼コートか?
「いや、めっちゃいい…サイコー」
(そんな事ねぇよ、似合ってんじゃん‼︎)
ポーカーフェイスは何処へやら…思わず心の声が盛大に漏れてしまった。
💉 名前
彼女との久々のデート。
「先生、あれ見てください!」
「あのぬいぐるみ先生に似てますよ!」
私を呼んで嬉しそうにはしゃぐ姿がとても愛らしい。
「〇〇くん」
「はい?」
大きな犬のぬいぐるみを抱えた彼女が嬉しそうにこちらを振り返る。
「折角2人きりなのだから、その…先生はやめないかい…?」
「失礼しました…つい、癖で…」
しょんぼりと、こうべを垂れる彼女。
「あっちにイルミネーションがあるそうです。行きませんか?」
隣を歩く彼女はさっきと打って変わって、静かになってしまった。
多分、どう呼んでいいのか迷っているんだろう。
髪から覗く真っ赤な耳が可愛らしい。
そんな姿を観察していると、小さな彼女が目の前の人混みに紛れてしまう。
いつもなら回避する様に彼女を誘導するけれど今日はちょっとだけ意地悪をしてみた。
「せんせっ、〜〜寂雷さんッ!」
グイッ、と引かれたコートの袖。
真っ赤な顔の君。
「ごめん、ごめん。君が頑なに名前を呼んでくれないからいつ呼んでくれるのかなぁと思って」
「…狡いです」
「ほら、もう一度名前を呼んで?」
🥂 喧嘩
今朝、彼女と喧嘩をした。
めちゃくちゃ他愛も無い事だったのに、カチンと来て言い返してしまった。
何時もなら「ごめんね」って言えるのに。
何故だかその時には言えなかった。
だから絶賛後悔中…
「あー、どうしよ…」
スマホの画面、書いては消してを繰り返してソファーに突っ伏した。
「あぁ、もぉ〜〜‼︎」
こんな時は料理をしよう。
ぐちゃぐちゃの頭を整理する為に
大量の料理が出来上がった頃。
いつもより、小さな声でただいまを言った君が帰ってくる。
「…おかえり」
「…ただいま」
お互い何か言いたげな表情をしているのは丸わかり。
「「あのさッ」」
2人の声が重なって、一二三からどうぞ…って申し訳なさそうな君。
「今朝はごめん」
「私こそごめん。言い過ぎた」
「うん、いいよ」
仲直りをした君がテーブルに並んだ沢山の料理を見詰める。
「これ…」
「ムシャクシャして作ったんだけど、気付いたら全部〇〇の好物だった…」
「なにそれ」
「喧嘩しても〇〇が俺の事嫌いになっても、俺っちには〇〇しか居ないって事…!」
「…だから俺のこと捨てないで…?」
目頭がちょっとだけ熱くなる。
泣きそうな俺を見て噴き出した君が捨てないよ!と向日葵みたいな笑顔で笑う。
👔 左手の薬指
先日、彼女から指輪を貰った。
以前、俺が(虫除け用に)彼女に贈ったのと同じデザインのヤツ。
「バトルで優勝して、独歩くんの魅力が日本中に広まっちゃったんだから!」
不安そうな顔で俺に指輪を押し付けて来た彼女。
どうやら女除けのつもりらしい。
(こんな事しなくたって俺はお前以外眼中にないのになぁ…)
俺の左手薬指に輝く、彼女の独占欲の表れに思わず顔が綻ぶ。
「お疲れ様です、お先に失礼します…」
無事、定時に上がる事に成功した俺は足早に会社を出た。
これから花屋に寄って、ジュエリーショップで商品を受け取って彼女の家へと向かうのだ。
彼女の左手の薬指に輝くダイヤのついたプラチナの指輪を想像する。
君はどんな顔をするだろうか。